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フール  作者: 雨世界
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第1話 ずっとあなたを待ちながら。

 フール


 ずっとあなたを待ちながら。


 浮遊大陸 禁忌指定侵入禁止地区


 また寝てる。本当に天才はよく眠るんだな。それもどこでも。こんなにぐっすりと。(なんだか本当に子供みたいだな)

 緑色の葉の生い茂る木の幹に背中をもたれるようにして、すーすーと気持ちよさように寝息をたてて眠っているフールを見てハーミットは思った。

 まあ、確かに眠くなるようなとてもいい天気だけどな。

 とても寒かった冬が終わって、温かい春がやってきて、花が咲き、草木が芽を出して、世界には柔らかい風が吹いている。(昼寝をするのはちょうどいい天気だった)

 青色の空と緑の大地と白い岩と色とりどりの小さな花。

 そんな風景を見てから、ハーミットは木の木陰の中に座って、じっと眠っているフールの顔を見る。

 相変わらずとても美しい顔をしている。

 生きている人というよりは生きていない作りものの人形のように美しい顔だった。

 ずっと見ているつもりはないのに、フールの顔を見ていると目を動かすことができなくなってしまう。(そんな魔法のような力が本当にあるみたいだった)

「ほぁーー」

 ようやく目を動かすことができるようになると、大きなあくびをしながらハーミットは大きく腕を空に向かって(まるで空を捕まえようとしているみたいにして)伸ばした。

 おれも少し寝るかな。まだ『浮遊大陸』についたばかりだし、いろんなところを調べるのはフールが起きてからでいいだろう。

 ハーミットは遠くに見える大地のなくなっているところに目を向けた。

 そこは大地の終わり。『本当に大地がなくなっているのだ』。

 そこにはフールとハーミットが乗ってきた小さな赤色のプロペラの飛行機があった。

 フールとハーミットがいるのは大空の高い高いところに浮かんでいる浮遊大陸だった。『禁忌指定侵入禁止地区』といわれる本当なら誰も足を踏み入ってはいけない聖域のような場所だった。

 そこにフールとハーミットは許可を取らずに無断で足を踏み入れた。

 今世紀最高の天才と言われるフールが浮遊大陸にいきたいと言ったから、相棒パートナーのハーミットはわかったと言って一緒に浮遊大陸までやってきた。

(フールが月に生きたいと言えば月にだって一緒に行く。月に行くための方法はフールが考えてくれる。きっとロケットを自分で作るのだろう)

 それはハーミットにとっては当たり前のことだった。

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