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異世界の争い

「こちらが私たちが住む街ベルネです。どうぞお入りください。」

私が異世界転移したということを知ると、ハルは態度が一変した。タメ口だったのが敬語を使うようになり、かなり怒っていた顔も今では、どこかの騎士のような顔をしていた。

ザワザワ ザワザワ

めちゃくちゃ見られている。なんでこんなに見られてるんだろう?

「おいっ‼何をしているんだ、ハル!そいつは人間だぞ!何この街に入れているんだ‼」

あぁ~!そういうことか、獣人の人は人間が好きじゃないのか!だから、何でここにいるんだ?って顔で見てきてたんだ。

「ウィリム、この方は異世界から来た方だ。意味が分かるな?」

ハルがそういうとウィリムという人の顔が一変した。

「申し訳ありません‼聖女様‼ハル、俺は長老たちに伝えてくる!」

へ?せ、聖女?私が?

「すみません。そういう話も付いたらしっかり話しますので、もう少しお待ちください。」

「わかりました。」

私が聖女?異世界から来た女だから?ありえないでしょ。だって私、普通の高校1年生だよ?

そんなことを考えながらハルについていくと、一つの建物に着いた。

「こちらになります。」

ガチャッ

「「お待ちしておりました。ベルネへようこそ、聖女様。」」

「こちらへどうぞ、長老たちがお待ちです。」

コンコンッ

「どうぞ」

「ハルです。入ります。」

扉を開けると、中にいる5人全員が頭を下げている。

「聖女様、こちらにお座りください。」

「はい、わかりました。」

席に座ると、ほかの四人も座り、ハルとウィリムはその後ろに立っていた。

「ハルさんとウィリムさんは座らないんですか?」

「申し訳ありません。私達は護衛なので、一緒には座れないのです。」

「そうなんですね、わかりました。」

「まずは私たちの自己紹介をしましょう。私はオオカミ族の長老、ガル。」

「わたくしは、猫族の長老、ネルカでございます。」

「私は、鳥族の長老、ネモ。」

「わっちは、狐族の長老、ファナでありんす。」

「俺は、狐族で騎士、のウィリムです。」

「俺はオオカミ族で騎士、団長をしております。ハルです。」

「私は、人間の清水美咲といいます。よろしくお願いします。」

やっぱりハルさんって騎士だったんだ。しかも団長さんってすごい人だったんだ。

「それでは、このガルが説明させていただきます。まず、聖女というのは異世界から来た女性のことです。次に、あなたがなぜ呼ばれたのかというと、人間たちが他種族を滅ぼすために、あなた様の力を借りようと呼び出したのでしょう。」

「それなのになぜ、私は獣人族の皆様に歓迎されているのですか?」

「それは私たちにとっては、聖女とは救い主だからです。私達には先日、神から神託を受けたのです。その内容は、数日以内に聖女が現れ、種族の争いを止めてくれるであろう。という内容でした。その言葉が全種族の頭に響くように伝わりました。そんなことが起こるのは初めてのことです。どうか、この世界のため、人間たちの暴挙を止めていただきたい。」

一斉にその場にいる人たちが私に向かって頭を下げてきた。

「私には、そんなす特別な力はないと思うんです。さっきも春さんに助けていただかなければ、死んでいたと思います。それでも、この世界には笑顔ではない人たちがいるんですよね?だったら、その人たちを笑顔にできることはやらしてください。」

「笑顔にすること?」

「はい!できる限り人を集めてもらえますか?そして広めのステージも。」

「ステージとは?」

「私が乗れて、大きく動けるものはないですか?」

みなさんが考えてくれていると、ハルさんが..

「それだったら俺が毎朝、号令で使っている台はどうだ?」

「それで構いません。お願いします。」


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