第十三部 二人目の 第九章
「で、御前はつまり生きているって事ですよね。しかも、身体を乗り換えながら」
などと大輔さんが聞き始めた。
俺達では話が進まないと見たのだろう。
『そう言う事だ。最初はもともと持っていた未来視を強くしたくて、さらに未来が見える妖を複合させてこの身体を創り出した。その為に沢山殺して、やっと、この子を創り上げた』
「全部自分の血筋でするの? 」
『今まで乗っ取った事のある妖の血筋の方が親和性が高いからな。だから、昔はそういう妖を選ぶようにして身体を乗っ取っていた』
「じゃあ、自分の子供は使ってないんだ」
それで俺が気になっていたことを聞いた。
『それは複合体を創り出す前までじゃな。だから、わし……いや、この子も一条覚も自分の子供じゃ』
「えええ? 」
『それで沢山産ませては殺しをして、結果として律蔵とか部下がそれを許さず造反を起してしまった。そんな事をするまで造反などされた事はなかったのにな』
「なんで、そんな事を始めたの? 何となく想像はつくけど……」
「多分、長い年月をいくつも他人の身体を通して生きてきて、いろんな無理が出たんじゃないかと思うんだけど」
『流石に自分が持って移っていた力が弱くなってきた。このあたりで強化せんと仕方なかった。分かっているなら、聞くなよ! なんじゃ、この律蔵みたいな二人はっ! 』
それで陽菜さんと俺が呻く。
「お爺さんに似ているって言われると二人とものたうち回るから」
などと彩が言ってくれた。
あんまり嬉しくないが……。
「それで何で二つに分離したんです? ガタが来ていたんですか? 」
『いや、この身体だから勘違いされるが、身体自体は子供に見えても年齢は四十近いのだ。最初にこの身体を未来視が出来るように強化しまくった。そして、この身体に入って未来を見て、自分の終わりが近づいているのが分かった。それを何とかしたくて一条覚の身体を用意した。本来はこの身体で終わらすつもりだったから、あまり調整が出来てなくて、その結果、こっちの身体に心が残ってしまった……いや、というか、この身体がコピーしたように覚えてしまったのかもしれん、御前と言う男の心をな。だから、この身体の本来の心にわしの……御前の人格が残ってしまった』
「そ、そんな事あるんですか? 」
『魂の根源が弱っていたみたいだしな。事故ではあると思う。一種の多重人格みたいなものじゃな。それでわしはとりあえず、魂の移動というか乗っ取りが終わって、まだここにいたので、どういう事か未来視で見て一条覚に始末されるのが分かったから逃げた。コピーのようなものだったとしてもわしではあるのだ。それで、この山童の本来の育つはずのない心はそれから育って、今見ているように二重人格みたいになってしまった。……その辺りはわしも良く分からん……あくまでそれ自体すら想像だ』
「で、とりあえず。本体を始末しないと自分がやばいって事ですか? 」
「あっちも自分なのにねぇ」
『いや、律蔵みたいに思われるのが嫌なら、そう言う事を言うなよ』
「うげっ! 」
陽菜さんが嗚咽している。
俺も苦しい。
『未来視であれが生きていると、どのルートを見てもわしを殺す。それも実験材料にして。そんなのはわしはごめんだから、一番安全な場所に潜んで隠れて表に出ないようにした。この子の人格はわしが多分、コピーで弱いせいではぐくまれたものだが、何というか……ずっと一緒にいると子供みたいに思えてきてな』
「自分の子供を実験体にしてたのに? 」
「今更? だって、本当に子供でしょ? 」
それで、オッドアイの少年の中の老人が黙った。
どうやら、後悔しているようだ。
今更だとは思うけど……。
『徐々にわしの心の範囲は狭まっておる。いずれ消えると思う。あくまで転写されただけの魂のようじゃからな。だから、この子だけでも助けたい。それで奴を倒すのを協力してほしい』
何という身勝手な話だ。
「いや、貴方達が思ってらっしゃることを言うと話が進まないので」
「うん、結論を聞いた方が良いと思う」
などと大輔さんと誠が俺と陽菜さんに先回りして言った。
ちょっと酷くね?
俺と陽菜さんが喋ろうとしたら遮るように話した。
「いや、別に……」
「お姉ぇは黙ろう」
「神楽耶も黙ろう」
などとさらに香織と彩に言われて俺と陽菜さんは沈黙した。
『隠れ続けれると思ったのだが、子供としてできた人格がとうとう妖の王の候補に選ばれてしまった。こうなればいずれどうやっても逃げれなくなる。それで、奴を討つチャンスを願って隠蔽に隠蔽を重ねて待っていたのだ』
「つまり、共同戦線で一条覚と戦うって事ですか? 」
「まあ、私は良いけど」
「俺は嫌ですよ」
「でも彩ちゃんは家族だから守るんだよね」
「……仕方ないですね」
『おお。良かった。これで倒す方法の目が出る』
「で、具体的に方法は? 」
『わしが未来視してスマホで島の地下闘技場のお前たちに連絡するから、それで叩いて欲しい』
「ふぁああぁぁ? 直接戦わないの? 」
あまりの身勝手さに俺がキレる。
『わしの戦闘部分は全部向こうに持ってかれたし。あくまで写し絵みたいなもんだからな。しかも消えていくし。それに、多分、奴ならわしが島に居たら気が付いて、最初に始末しに来るだろう』
「まあ、確かにね……でも山童って怪力じゃ無かった? 」
『あんたもそうだが、律蔵ファミリーが強すぎる。わし程度は邪魔になるだけだ』
「なるほど」
「なんで、なるほどで済ます! 」
「現実だもの」
などと陽菜さんに言われて俺が完全に絶句した。
実は次と次の次の部あたりが、この作品の最初の山で……。
ルール知らないで某所で応募してたら、日付を勘違いして、ルールの中で、その最初の山をいれるはずが失敗しました。
徹夜してやろうかと思ったのだけど、書いてて文章ミスが増えてどうしょうもなくて諦めました。
んで、少し書いてたのを追加で投稿します。
ルール読んで投稿してたらよかったのに、悔しい。




