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第十三部 二人目の 第六章

 それは校門に立っていた。


 こちらが来るのが分かっていたらしい。


「どうします? このまま入ると学校内の皆が巻き添えに……」


 大輔さんが慌てる。


「多分、人質ですよね。話すつもりで待っていると思うので、もしもの時はこの高校をって……」


「神楽耶君もそう思う? あれ? 確か君より子供では無いかって目撃した妖から聞いてたんだけど……老練だよね。見た目は確かに子供だけど……」


「同意見ですか……」


「そうとしか考えられない。強い気配を押し殺しているように見えるし」


「そこまで分かるんだ。その通りだね。あれでも抑えてんだと思う。でも場所がねぇ。あれじゃ目立つし……。それは良いのかな? 」


「気配が一条覚に似てます」


「ああ、同じ事を思った? 似ているよね。でも、一条覚は市から出ているから……」


「はあ? 監視対象なんですか? 」


「そりゃ、律蔵さんにあんなに騒がれたらね。あの人、ああ見えて騒ぐことが珍しいのよ。厄介事なら自分で片付けちゃうし」


「ああ、そうでしょうね」


「だから、こちらも警戒しているんだけど……」


「どうします? 」


「私が行ってみる。自動車で待っていて」


 そう言うと、まだミニバンが止まって無いのに、平気で流れるように降りた。


 その降り方があまりに格好いいので、登校している生徒が驚いている。


 ぱっと見た感じは単なるOLさんみたいなスーツを着ているので、良くあんな風に動けるなと感動する。


「やばいのかな? お姉ぇが拳銃を懐で握っている」


 香織が心配そうに呟いた。


 流れるような動きで、陽菜さんが、つかつかと校門にいる相手の場所へ向かった。


 何というか、相手の少年? は黒髪なんだけど一瞬金髪に見えたりするくらい輝いている。


 俺だけがそう見えているのかもしれないが。


 端正な顔をした美少年と言っていいような容姿だが、目だけが異様に見える。


「オッドアイ? 」


 誠が少し少年の顔を見て、呟く。


 黒と青の眼球だ。


 これは目立つな。


 俺も人の事言えないが。


「覚醒してますね。神楽耶様みたいに美しく見える。容姿に変化が出るタイプかな? 」


「そんなのあるんですか? 」


「かぐや姫の影響が大きいだけで、神楽耶様にもあるんですよ。一種のカリスマ性みたいなものですかね? 神秘性というか……魅了と言うか……」


 大輔さんが路肩にミニバンを止めた。

 

 とりあえず、様子を見るつもりらしい。


「参ったな。学校に行く前で待たなくてもいいのに。遅刻してしまうよ」


 俺が呻く。


 いい加減、休みすぎているし。


 そうしたら、大輔さんと誠がちょっと驚いた顔で俺を見た。


「え? 」


「いや、腹が座ってますね」


「あれ、相当やばい相手なのに」


「いや、問題は遅刻でしょ」


 など俺が言うと彩だけ頷いた。


 香織は真剣に姉を見ている。

 

 結構、陽菜さんが本気の気配がする。


 戦うのを辞さずって感じだ。


「何の用かな? 」


「……参ったな。話したいのはあんたじゃないのに……」


 そう困ったように、その少年は聞いてきた陽菜さんに呟いた。


「え? 」


 その瞬間に一瞬でミニバンの俺の座席のガラス窓の外に来た。


「ちょっと! 」


「え? 縮地? 」


 香織と彩が身構える。


 香織は伸び縮みする特殊警棒をいつの間にか持っていて、彩はいつもの指輪のような鉄の棒のを持っている。


 サイズ的には12センチくらいかな? 


 あれでツボを押したり、相手を制圧したり、ナイフとかなら受けたりできる。


「君と話したいんだけど」


 なぜか開けてもいないのにミニバンの俺の座席の窓が開く。


「え? スイッチが! え? 」


 運転手席で大輔さんが焦った。

 

 誰かが電動スイッチを押しているようだ。


 テレキネシスかな?


「ごめん、学校に行きたいんだけど」

 

 俺がそう言いながら観察する。


 気配が……一条覚に似ている。


 そして、いくつかの気配を感じる。


 一人なのに……これは一条覚が持つ気配だ。


 爺さんに聞いたら複合種が持つ気配らしい。


 まさか、そんなタイプは俺と一条覚しかいないと爺さんは断言していたのに。


「このチャンスを待っていたんだ。あいつは罠の仕込みで市の外に出た。あんた一度だがあいつの黒法師を見破っただろ? それでこれ以上刺激しないために、そういうのを仕掛けなくなった。だから、今しか話が出来ないんだ」


「……妖の王の候補って聞いたが……」


「いや、それは勝手になっただけで……ううん……」


 凄く困った顔でそのオッドアイの少年が悩む。


『変われ』


 その時にオッドアイの少年の声が変わった。


 まるで老人のような声だ。


「は? 」


「え? 」


 聞き耳を立てていた、ミニバンの全員が驚いた声を出した。


『そこで聞いておれ。聞こえておるだろうが……』


 それで少年が急いでこちらに戻ってきた陽菜さんに声をかけた。


 表情が……表情が……老人みたいに見えた。

 

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