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第十二部 大ムカデ 第八章

「えええと」


 俺がお婆さんを見て驚いた顔をした。


「どうしたの? 」


 そうそこにはいつもと変わらないうちのお婆さんがいた。


 料理上手で母親代わりの自慢の祖母である。


 あんな爺さんと結婚したばかりに苦労してと思うが、そんなそぶりは見せたことも無かった。


 その祖母の一瞬だが、震えるような波動を感じたような気がした。


 なんだこれは?


 それで周りを見たら、彩と香織は感じたらしく、ちょっと驚いた顔をしていた。


 間宮さんも同じ感じだが、なんとなく納得しているような感じだ。


 柴吉はと言うと目を泳がせた。


 おいおいおいおいおい、犬飼と言うかぐや姫の育てのお婆ちゃんの神様がついていると聞いていたが、それとはまた別次元の感じがした。


「ハツカネズミさん? いや雪ネズミさんかしら? うちの彩ちゃんの為に話をしてきてくれるわよね」


 そうお婆ちゃんが威圧した。


 それで雪ネズミさんが動揺している。


 いや、これは彩を守るための覚悟が見せた殺気かもしれない。


 その証拠に怖さを感じる。


 雪ネズミさんの目が泳ぐ。


「うちの婆さんは守るとなれば怖いからな」


 などと爺さんが宣った。


 確かに怖い。


 普通じゃない威圧感を感じた。


 これが母性と言うものなのか……祖母だけど。


「わ、分かりました。あらゆるブッカーとしての伝手を使い。大ムカデさんを説得します。とりあえず、T市のK島の地下闘技場は構いませんね」


「そこしか無いじゃろ」


 などと爺さんは淡々と話す。


 それで雪ネズミさんは話が終わると一目散に逃げた。


「隆史さん真由さん。彩ちゃんはわしと婆さんが命をかけて守るから」


 そう爺さんが宣言した。

 

 はめ込み屋で碌なもんじゃないけど、そう言う守る守らないに関しては絶対にやり遂げるタイプだ。


 かって御前の下で働いた仲間を全部殺された時から、守ると言う言葉は命がけで守ると言う事だと心に決めたと言うだけはある。


「では、よろしくお願いいたします」


 それで、いろいろと知っている隆史おじさんも真由おばさんも彩の尋常の勝負を認めるように頷いた。


「やったー! 」


 などと喜ぶ彩を見て複雑である。


 多分、決めたことはやり通す彩だし、結局するのだろうけど……。


 やれやれである。


「まあ、我々もこうなったら彩さんを守りますので」


 などと間宮さんを無視して、自分が大ファンだった二代目俵藤太である隆史おじさんに間宮さんの出来る部下が勝手に約束していた。


 それで何か言いたそうな間宮さんは黙って、仕方なくだけど、間宮さんを見る隆史おじさんに頷いた。


「ありがとうございます」


「よろしくお願いいたします」


 それで隆史おじさんと真由おばさんが深く深く間宮さん達に頭を下げた。


 正直、俺的にはまだ反対だけど、言う事聞かない彩だし、仕方ないかなと認めるしかない。


 多分、隆史おじさんも真由おばさんも同意見だと思う。


「やったぁぁぁぁ! ビックイベントだぁぁぁぁ! 」


「ちょっと、あの地下闘技場なら土蜘蛛派専門の座席があるよね」


「ありますあります」


「これは皆で行かねば」


 などと元凶のくせに土蜘蛛さん達の言葉である。


 まあ、でも、蜘蛛化すれば強いと言うし、何かあれば助けてはくれそうにないけど、枯れ木も何とかの賑わいくらいに抑止力になるかも。


「じゃあ、陽菜姉さんと一緒に私も行くわ。友人だし」


 などと飛んでもない事を香織が言い出す。


「いや、それはどうかな? 」


「ええええ? 貴方はともかく、陽菜さんまでくるんですか? 」


「やれやれ」


「香織は良いんだけどなぁ」


 それで俺だけでなく、一斉に皆から陽菜さんが来ると言う事に突っ込みが出た。


「ちょっとぉぉぉぉ! 酷くない? 」


「愚痴が……」


「愚痴が」


「愚痴が辛い」


 などと全員が同意見なの辛い。


 嵌めこむけど、強くて頼りになるし良いんだけど愚痴がなぁ。


「まあ、でも戦力としたら、人間の方側では最強クラスだからなぁ」


 などとまさかの爺さんが庇う。


 というか、マジでなんか起こるのだろうか。


 雰囲気的に、それを爺さんが凄く警戒しているのが分かる。


 まあ、確かに一条覚が一番やばいのは確かで……御前かどうかわからないらしいけど……。


「まあ、どちらにしろ、大ムカデの許可を得てからだな。雪ネズミの野郎は頑張るだろうけど……」


 そう隆史おじさんは仕方なく認めたものの、まだ気持ち的にはグラグラしているらしい。


 その気持ちは分からないでもないけど。

 

 いろいろと厄介な話が続く。


 それにしても、微妙に癖がある人……妖ばかりだなとため息をついた。

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