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第十二部 大ムカデ 第五章

「でも、大ムカデと戦うとして果し合いの場所ってどこがありますか? このT市の沖合にあるK島の地下闘技場しかないでしょう? この火事の惨状を考えてみてください」


 雪ネズミはそう話す。


 なるほど、離島のK島にあるのか。


 それなら、あたりが溶けたり炎上しまくっても大丈夫か? 


「いや、だから、娘はそんな馬鹿な果し合いなどさせないと言っているだろう? 」


 そう隆史おじさんさんが反論する横で彩がその毛抜き形太刀を素振りしている。


 目がキラキラしていてやる気満々だ。


 マジで止めれないなぁ。


「私は彩さんなら勝てると思ってます」


 間宮さんの出来る部下がとんでもない断言をした。


「いや、あんた天狗で妖だとしても公安なんだろ? 子供を守るのが警察の役目の一つだろうが? いや、大人の役目だろ? 」


 隆史おじさんの断言があまりに真っ当で否定できない。


 それで、燃えていた間宮さんの出来る部下も黙った。


「いや、プロレスなら大丈夫だろ? 」


 などと爺さんがとんでもない話をしだす。


「え? 私はそれは……」


「演舞や型でこう来てこうやるとかやるだろ? あれの拡大パターンだと思えばいい」


「いや、それは違いますよ。プロレスは芸術ですから」


「でも真剣勝負じゃないでしょ? 尋常の勝負と違うよね」


「プロレスは真剣勝負です! 尋常の勝負ですよ! 」


 などと間宮さんの出来る部下が悉く邪魔をした。


 なんでやねん。


 いつもは、きっちり話をまとめてくれるのに今回は別の方に行く。


「いや、真剣勝負にしたらいい、攻撃箇所を大ムカデはその太刀にして、彩ちゃんは牙だけの攻撃にしたに良い。どちらかが折れたら終わりと言う事で。三代目俵藤太のデビュー戦って事にしたら、少々は許されるだろ。何しろ少女だし……」


 などと爺さんが話す。


「なるほど、女子プロレスで、昔にあった、どんなやり方でも三カウント取れば勝ちとか言うやつと同じような感じにするんでするね」


「別に相手の一番強いところを破壊するんだから、彩ちゃんの師匠の流儀的にも良かろう」


「確かに」


 などと彩は納得してしまった。


 俺はどちらかと言うと尋常の勝負とごうごうと燃え上がった大ムカデはそれで良いのかって思う。


 そもそも、誰がその話を大ムカデに持っていくのだろうか? 


「説得が一番難しいのでは? そのルールでやるとしても……あの大ムカデは三代目の妖の王の説得すら無視したほどの武闘派ですよ? 」


「いずれ、大人になれば再選で良いんじゃないか? するかどうかは別として。そのくらいのハンデは相手も許すだろう。子供だし」


 などと間宮さんの俺と同意見の反論を爺さんが上手く丸め込む。


「爺さんが説得に行ったら良いのでは? それなら丸め込めるだろ? 」


 それで俺が爺さんに頼む。


 爺さんなら、あの大ムカデでも説得できると思ったのだ。


「いや、わし、あれと因縁があるからな……」


「因縁があるんかい! 」


「どこでですか? 」


 俺と間宮さんが叫ぶ。


「御前の命令でな……」


「ええ? 」


「かなり派手な殺し合いをしている。ただ、あれは……その……弱点があってな? 」


「弱点? 」


「ちょっと待って、それを聞いたら私が卑怯になる」


 そう言って彩がそれを止めた。


 彩は、どこまでも一本気で竹を割ったような性格だ。


「いやいや、簡単だよ。彩ちゃんと性格が同じなんだ。だから、牙で受け続けていたんだろ? 多分、薙刀の攻撃も……」


「ああ! そう言えば! 」


「確かに」


 俺と柴吉が納得いった。


 彩が牙しか攻撃しないのは間違いなく彩の性格だが、それを受け続けたのは大ムカデの性格なのか。


「まあ、あれだ。馬鹿正直と言うのも問題だ」


「だ、騙し討ちにしたの? 」


 などと彩が爺さんに恨みがましい目で見た。


 騙し討ちとか、そう言うのが許せないのが彩だ。


「いや、時間が無いので、この勝負の続きは果し合いでって約束して、約束した場所に行かなかった」


「ほあ? 」


 彩が凄い声を出した。


「あいつ、戦闘には毘沙門天様の眷属の誇りがあるから、果し合いとかそういう言葉に弱くてな。そういう話をして取り決めさえしてしまえば、追ってこないのよ」


「いや、それで良いんですか? 」


 間宮さんの出来る部下が凄い顔している。


「だって、もう会う事無いじゃん。世界は広いんだし。そもそもわしはそういう仕事は幻影とか使って、別人としてやるからな。あの後にわしを必死に探していると思うが、わしの匂いも姿も違う。だから、ぱっと見ただけとかではわしと気が付かないし」


 糞だな。

 

 相変わらず。


「……そう言えば、40年くらい前にあの大ムカデがあちこちに現れて誰かを探しているって情報があったんですが? 3年位探していたらしいですよ」


「3年……」


「3年も……」


「まあ、妖は寿命が長いから」

 

 そう爺さんは、ほっほっと笑った。


 いつものように罪の意識は全くない。


「それは酷くない? 」


 彩が怒る。


「だから、わしみたいになったらいかんぞ。彩ちゃんにはあれとの約束を守ってもらいたい」


 などと爺さんが言うと彩が深く頷いた。


 こういう爺さんの丸め込みがなぁぁぁぁぁぁ!

 


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