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第十二部 大ムカデ 第一章

 大ムカデはかって偉大な主である毘沙門天様にお仕えしていた。


 それなりの由緒のある寺で祀られた毘沙門天様の眷属であった。


 その民衆の信仰が深かった毘沙門天様の力の余波を受けて、妖としても巨大な40メートルを超える巨体になった。


 だが、もはや戦争が無い時代である。

 

 ある意味、そんな巨体は必要が無いのかもしれない。


 それでも、毘沙門天様に真摯にお仕えしてきた。


 状況が変わったのは明治になってからである。


 明治の御一新として、神道と仏教は神仏習合でほぼ同化していたのに、それを明治の国家神道は否定した。

 

 神仏分離令である。


 それは仏教の仏や神々すら否定するものであった。


 それがいつしか廃仏毀釈に移行した。


 それまで江戸時代に寺が町人の戸籍を管理して、旅行の許可の届け出など市役所みたいなことをしていた。


 最初は真面目にしていたのも、いつしか一部の僧侶も堕落した。


 それで町人たちを強請るタチの悪い僧侶もいた。


 それは決して、大ムカデの寺の僧侶ではないのだが、明治に入って、寺や仏像が焼き討ちされるようにそれが他の寺まで今までの恨みが飛び火した。


 自分の仕えている毘沙門天様が祀られた寺も放火に会った。


 沢山の寺の仏像が焼かれた。


 ずっと祈りを捧げられていた仏は全て薪のように焼き払われた。


 それで自分の信仰していた寺が焼かれた。


 しかも、自分のお仕えしている毘沙門天様の仏像が焼かれてしまった。


 それを守り切れなかった。


 その後悔とともに大ムカデは激怒した。


 彼は寺を……主の毘沙門天様を焼いた者どもを悉く殺した。


 仏敵であるとしたのだ。


 そして、戦い続けた。


 それはとうとう三代目の妖の王の耳に入り、それを止めるようにと妖の王は使いを出してきた。


 それすら、その大ムカデは力で追い返した。


 妖の王など何するものぞと。


 そして、まだ魂として焼けた寺にとどまる毘沙門天様の為に戦い続けた。


 だが、毘沙門天様はその戦いを良しとみなされなくて、大ムカデを諭し虚空へと帰られた。


 大ムカデは戦う意味を失った。


 それで、行く場も無く、その焼かれた寺が復興した時に舞い戻り、主である毘沙門天様が戻られるのを待ち続けた。


 しかし、放火などの嫌がらせは続いた、それを大ムカデは力で撃退した。

 

 そして、妖の王の使いは何度も諫言に来た。


 暴れられては困ると。

 

 お前のお仕えする毘沙門天様は須弥山に戻られたでは無いかと。


 そして、妖の王の近くにお前の居場所を作る故、来るとよいとも言われた。


 だが、神仏の眷属の誇りが残っていた。


 彼には毘沙門天の眷属としての誇りが残っていたのだ。


 だから、寺の近くに潜み、寺を守り続けた。


 だが、衝撃の展開が訪れる。


 明治政府は神仏分離令を出しただけでなく、寺の面倒を放棄した。


 ひょっとしたら、寺を幕府側と見ていたので冷たかったのかもしれない。


 僧侶は一部の時代は御稚児さんや内緒で妻を持つ不届き者もいたが本来は妻帯しない。


 僧侶たちは、新しく仏教の僧侶になろうとするものがいないので、このままでは寺が存続できないと政府に訴えた。


 焼き討ちをされたり憎まれている僧侶になろうとするものなどいなかったのだ。


 だが、それに対しての政府の回答は冷たかった。


 僧侶になるものがいなくなったのはお前たちのせいだろう。


 それならばお前たちで結婚して子供を作り後を継がせたらよいと。


 それで沢山の僧侶が動揺した。


 寺は残さねばならぬ。

 

 仏教徒として去ることも出来ぬ。


 彼らは仕方なく戒律を破り妻帯した。


 それは毘沙門天の眷属であった大ムカデにとっては仏教と言うものに対する冒涜のように見えた。


 僧侶が妻帯しないのは、人の穢れを受ける仕事だからである。


 供養する仕事だったからである。


 女色はそれに反する。


 戒律にも反する。


 そして、子孫が産まれれば、その僧侶としての供養での因縁を子孫が被ることになる。


 それは彼らの仏教を守るための苦闘の結果の方法だったのだが、毘沙門天の眷属の大ムカデには承服できなかった。


 それでは僧侶をやめた還俗と同じではないかと思った。


 もはや、悩んだ時に道を教えてくださる毘沙門天様もいらっしゃらない。


 だから、彼は寺を陰から守っていたのを止めた。


 何もかも嫌になった。


 そして、眷属離れとなった。


 だが、毘沙門天の強力な眷属であった誇りが妖の王の世話になる事を拒絶させた。


 彼は眷属離れだが、眷属の誇りは捨てれなかった。


 そうして、自分が隠れるにふさわしい場所を見つけたら、そこには土蜘蛛と呼ばれる昔からいる妖達が住んでいた。


 彼らは古い屋敷の並ぶ村で集まって暮らしていた。


 それで恐ろしい敵が来たと排除されそうになったので、戦った。


 土蜘蛛族と戦って戦った。


 それは眷属の誇りが無い戦いであった。

 

 彼ら土蜘蛛は同じ戦士でも考え方が違い、最後まで踏みとどまって戦おうとしなかった。


 命に危険が及ぶと逃げるのだ。


 それが毘沙門天様の戦士である眷属の大ムカデには辛かった。


 そして、そんな彼が宿命のように会ってしまった。


 あのムカデ族の宿敵である俵藤太の血筋に。


自分の別の作品にありますが、祖母の拝み屋さんの所に廃仏毀釈で焼け爛れた不動明王様が持ち込まれて、供養してました。

新しく作り直そうとしたら、祖母が直さなくとも良いと言われたらしく、ずっと脇で祀られてました。

祖父がそれで勝手に移動したところ、拝み屋をしている拝殿で悪いものが祓えなくなったそうで、急にトラブルが増えて、祖母が祖父に激怒して場所を戻してました。

実は一番頑張ってらっしゃったみたいです。

お身体は半分炭化しておられましたが……。


ところで、私はこの作品を楽しくて書いてますが、どうも評価が今まで書いた中で一番悪いです。

他所で「うしおととら」みたいと言われました。

やっぱり話が古いのかなぁ。

後、男の娘って見られそうな最初の設定が悪いのかも。

でも、もう一つのもちゃんと終わらせますが、こちらもちゃんと終わるまで頑張ります。


まあ、つらつらと書きましたが、今後ともよろしくお願いいたします。

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