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第十一部 土蜘蛛 第二章

 家の前に誰か来ている。


 三人だ。


 いや、三妖か?


 感覚的にそう感じる。


「結構、強いね」


「土蜘蛛って蜘蛛なの? 」


 彩の言葉に俺が爺さんに聞いた。


「本当は単に大和朝廷に抵抗した民族なだけで人間の姿なんじゃがな。近世に蜘蛛の姿で妖と認知されたので、蜘蛛の姿になれる。まあ、普通の人間だぞ? 戦闘しなければ」


「戦闘しなければって、蜘蛛化すると、どのくらい強くなるの? 」


「うーん。蜘蛛化するとでかくなるからなぁ」


「いや、何でこっちの派閥は保険にしたの? 」


 俺が彩の質問に呑気に答える爺さんに聞いた。


「ああ、結構、良い人……妖……揃いなんだ。ただ政府系との関係が今一つでな。まあ、大和朝廷に溶け込んだものも居れば、そうでない奴もいる。そう言う溶け込まないのは微妙に意地も残っていて、いろいろと面倒くさいからな。それで次点として見ていた。ぶっちゃけ、お前は公安と自衛隊の情報保全隊との関係があるから、その辺りはあまり良い顔はされんからな」


「いや、そういう関係は爺さんが作ったんだろ? 」


「お前が買われているだけだ。わしは評判が少し宜しくないからな」


「少しじゃないじゃん」


 俺が言うと横で彩が苦笑した。


「でも、声はかけてたんじゃないの? でないとわざわざ来ないよね。家まで……」


「前から付き合いはあって、向こうから話が来た。ちょっと厄介な妖と揉めてんだ。向こうも……」


「また、厄介そうな話を……」


「だから、次点にしてた」


 いけしゃあしゃあと祖父が笑う。


「ところで、姫って、何? 」


 彩が良く聞いていた。


「土蜘蛛は昔もそうだが、女性のトップが多くて、今もそうだ。先代が補佐しているが、現状のトップはお前と同い年だし。多分、お前が女性の姿なんで、そういう意味で気に入られているかもしれん」


「いや、それはトラブルの元では? 」


 彩がそう強く言いきった。


「わしも昔からの付き合いがあるんで、柴垣家が駄目ならと言う話はしていた。だから、こないだ柴垣家とキレたと見たお前に接触しようとして来た。それをこともあろうに政府の公安の天狗を差し向けたとお怒りでな……」


「ふぁぁああぁぁぁあ、あれは悪手だったのか? 」


「でも、ああしないと攫って行く可能性があったから仕方あるまい」


「攫うんだ……」


 彩が驚いたように聞き返す。


「意外と無茶苦茶するからな。正直、仏教界……特に密教とも微妙に関係が深い」


「えええ? 宗教勢力なの? 」


「実は血筋に凄い人が昔にいてな。それでそれの関係を脈々と繋いでいる」


「誰? 」


「多分、自慢で言うと思うから、聞いてみたらいい」


「え? 俺が話すの? 」


「わしでは埒が明かんから来たんだろ。そもそも、それでうちの妖代表として柴吉が説得に行ったが、駄目だったわけだから、後はお前しかいない。ちょっと姫様とか幹部は癖があるから気を付けてくれ」


「はああああ? これ以上、面倒事をかけるなよ! 」


 俺が座ってたテーブルをドンと叩いた。


「向こうが納得しないから、直接に話すと言っているのだから仕方あるまい」


 そう柴吉が疲れ果てた顔で話す。


「一応、蜘蛛化されるとでかいからな。10メートル級になるのもいる。そうなると流石にこの屋敷にかけた隠蔽用の結界ではギリギリだ。なるべく怒らせないようにして欲しい」


「あんた、自分でやっといて、孫にケツ拭きをさせるのなんとかならんのか? 」


「一応、攫われるのを止めてたんだがな」


「何で攫うのよ」


「厄介事があるんだよ。それをお前に頼んで何とかしたいらしい」


「頭が痛い」


「ちょっと、巴御前の薙刀を持ってくる」


「いやいや、それだと戦闘になっちゃう」


 などと俺が彩を止めるが止まる訳もなく。


 あーあーあーあーあー。


「先にお前が向こうに話して、如月彩が薙刀を持って来ると言っておけ。戦闘する気はないと言えばいい。ああ見えて、彩ちゃんは有名だから、それだけで向こうはそれ以上に考えん」


「有名なんだ」


 俺が驚いてしまう。


 まあ、覇王如月で有名だもんな。


 そう言われると、仕方ないか。


 仕方なしに、コーヒーの残りを飲み切って、ため息をついた後、のそのそと服を着替えに行く。


「えええ? 服を着替えるの? 」


「パジャマじゃ失礼だろ? 」


 俺がそう話す。


 最近は女装していた意識があるので、こんな可愛らしいパジャマで厳しい話は出来ない。


 結構、赤ちゃんの時から女性として育てられていたから、男だと理解し始めて、自分の常識がどれほど歪んでいたのか気になる。


 水泳とかは全部休んでいたし。


 ピンポーン!


 呼び鈴がなる。


 ピンポーン!


 ピンポーン! ピンポーン! ピンポーン! ピンポーン! ピンポーン!


 居留守を使っていると見たのか、激しく呼び鈴を押し出した。


「ちょっと着替えるから待ってって言って来てくれ」


 爺さんが柴吉にそう話す。


 それで柴吉が走っていった。


 どうやら、気が短いらしい。

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