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第十部 ファンクラブ 第九章

「我が君が律蔵さんに勝手にしてくれって認めちゃうからですよ」


 などと柴垣家を退居して車の中で間宮さんにいろいろと説教された。


 いや、もう疲れ切ってたし。


 俺のファンクラブがNPOかぐや姫で登録開始されて、たった一時間で会員数が千を超えたとか。


 この様子だと、万単位は間違いないし、10万行くかもって間宮さんが不安がる。


 NPO自体が市のNPOなだけでなく、結構全国に影響力があるのもあるのだろうと言う話だが、まさか、こんな事になるとは……。


 大体、一時間でこれはおかしいだろ? 


 まだ、俺は一般人なんだけど。

 

 会費はうちの爺さんの提案で年に300円とか安いのはあるんだろうけど。


 どうやら、グッズで稼ぐつもりらしい。


 勘弁してほしい。


 誠にネットの名簿をメールで見せてもらったら、学校の友達とか皆が参加していた。


 誰かばらしたのか? 


 とか聞くと、NPOに関係している妖の子弟が知って拡散、松宮先生の音頭で学生や先生が次々と参加しているらしい。


 生徒の父兄まで参加していると聞いて唖然とした。


 俺が結構、父兄の間でも実は人気があると聞いてドン引きした。 


 それと市長のNPOが実は結構有名で、そちらが主催していると言うので非常に安心感があるとか。


 いや、うちの爺さんが関わってんですけどねぇ。


 まあ、市長のNPOって全国で表にはっきり出ている、実は妖に対してのNPO団体ってここくらいらしいから。


 誠の祖父曰く、人間と同じ程度の力しか持たない妖だからこそ、人間に溶け込むのがうまくてニーズを掬い上げた結果なんだそうな。


 そりゃ、誠の高祖父さんを見ていると確かに妖にも高齢から来る問題もあるし、実際にそれ用に山の方に妖専門の老妖ホームがあるとか。


 そりゃ、皆が集まってくるはずだ。


 誠が弱小なれど数は妖派閥で断トツ一位とか言うはずだ。


 実際、いろんな不安を考えて対応して、しかも人間の国会議員になっているのだから、厄介な対処も出来ると言う事らしい。


 特に柴垣家がシバカキと言う弱小の妖怪だからこそ、分かる部分もあってこまごまとした部分に配慮があるからだろう。


 力のある者にはわからない視点を持っていると言うのは大きいのかもしれない。


「どうします? 」


 間宮さんの部下が心配そうに呟いた。


「いや、俺的には不快だし、不安だけど、このままで放置で良いのでは? 」


「はあ? それでいいんですか? 」


 間宮さんが驚いて叫ぶ。


「多分、まだ爺さんのコントロール下にあると言えるので」


「ああ、お爺さんがネットで騒がれてから、すぐに来たもんね」


 俺の言葉に彩がなるほどって顔をした。


「いや、まあ……そうかもしれないんだけど……」


「多分、何か理由があると思います。爺さんがそれをさせると言う事は……」


「ううん。否定できませんよね。そういう人だし」


 間宮さんが呻く。


 横の出来る部下の公安さんも頷いていた。


「ひょっとして、何かのきっかけで認知とかいろんな信仰心とかそういうものが対象の妖の力を増やしたりって事はありますか? 」


「……あり得るかもしれませんね」


 俺の言葉に間宮さんが呻く。


「そうか……そういう意味もあるのか……」


「かぐや姫様の神社を置く意味を考えると……」


「我が君のパワーアップの為にやっている? と言う事ですか? 」


「良く分かりませんが、その可能性はあるかと。人の思念で妖は存在するし、妖異として現れるのなら、逆に崇拝対象にしてしまうと言うか……。平安時代とかの貴族時代の僧侶の扱い見ていると、ほぼアイドルに近かったりしますからね。そう言うアイドルとしての信仰が神仏の感応力に関わってくる可能性は否定できないかと思います。場の空気っていろいろと大事ですから」


「……我が君」


「いや、本当に16歳に見えないですね。真面目に。達観しすぎもあると思うんですが……」


 などと間宮さんと公安の出来る部下さんが唖然として俺を見た。


「いや、単に爺さんの本とか読んだだけなんですけどね」


 実は律蔵爺さんは本の虫と言うくらい本を所蔵している。


 なので、暇つぶしに小さい時から読んでたのも大きい。


「それにしても、しようがないけど、段々と普通に暮らすのが無理になってきたよな? 」


「いや、結構、変な人とかに告白されたりしていたから、元々無理だったのでは? 」


「……そうか、彩が守ってくれていたものな……」


 しみじみと考えてみるとそうなのだ。


 覇王如月とか言われながら守ってくれたのが彩なのだ。


「ありがとう……」


「いやいや、そういうのは良いけど」


 などと彩が頬を赤くしてプイと横を向いた。


「そういうとこは、まだ年齢並みですよね」


 などと間宮さんに言われる。


 いや、なんか、そういう言い方されたくないな。


「幼いんじゃないですか? この程度だと、昨今は」


 などと間宮さんの出来る部下さんに言われてため息をついた。

 

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