第十部 ファンクラブ 第六章
「まあ、どのくらいお金を持っているかはこちらで調べても分からないけど、身を隠す別荘とか持っているので、相当持っているはずですよ」
間宮さんの部下がさらに教えてくれる。
「調べられないくらいの資産って……」
「まあ、御前と戦うくらいですから、相当な防衛とかしてますからね。だから、裏社会ですら名前が通じるくらいですよ。あの爺さん」
「裏社会? 」
思いもしなかった話をされる。
「ああ、確か、暴力団の組長の相談役とかもしてたはずだから」
などと誠が話す。
「なぜ、孫の俺が知らない話を知っているんだ? 」
俺が唖然として誠に聞き返す。
「いや、だって、あのお爺さん、本当に怖いってうちの曾祖父が……」
「龍二さんか……」
「大体、暴力団関係の情報は実は銀行が持ってんですよ。それで、うちの妖達で銀行に勤めている者もいるから、情報が入ります。真面目に暴対法が出来てから、やくざの格好とかしませんからね。サラリーマン風の姿をしますから。しかも、やくざとか名乗らないでしのぎをしますし。だから、実行犯は闇社会の人間で暴力団で無い連中がします。それで凄く分かりづらくなっているらしいですよ。やっはり、我々の妖の世界にもいますが、社会に溶け込めない人間はいて、そういう人たちの受け皿になってた暴力団が、今は暴対法で駄目ですからね」
「普通に暴力団だと格闘技の世界にいるよ。身体を鍛えないと、最後は自分の身体が資本だから。昔はそれこそ普通に一杯いたって。暴対法と高齢化で減ったけどね。そういう意味で言うと警察関連の人も多いよ。教える意味合いで言うと師匠も両方に教えるし」
などと誠だけでなく彩まで話す。
別に暴力団の現状とか聞いてないのだが。
「暴対法の前までは市長とかやっていると、いろんなややこしい問題対策で暴力団の人って裏で普通に出入りしてたしね」
「いや、警察の前で話す話ですか? 」
「いや、本当ですよ」
などと間宮さんとしっかり者の部下さんが誠に苦言を呈した。
「で、妖でなくて、暴力団の話になっているけど、なんなの? 」
俺もさすがに彩と誠に突っ込んだ。
爺さんの話なのに……。
「いや、どこにでもやばいとこにはいるって言う感じの人だから。神楽耶のお爺さん」
「なんなんだよ、ゴキブリかよ」
「確か、休眠してた宗教団体を買って、宗教団体もしているって噂がある」
「はああああああ? 教祖なの? 」
「その話は聞いたことがあります。教団に対する寄付とか非課税ですからね。まあ、それ以外は普通に税金がかかりますけど」
「どこでやってんですか? 」
「教団の神殿があるって聞いたけど。家に大きな神棚があるんでしょ? 」
「いや、でかい神棚はあるけどさ……」
真面目に訳が分からない。
得体が知れない爺さんである。
「結局、また、一条覚なの? 」
彩がいつもの如く一直線に間宮さんに聞いた。
「いや、こないだの黒法師はそうだと思うのですが、続けて仕掛けてくるタイプじゃないですしね。そこまですると戦争になるでしょ? さすがに。あのあたりは熟練の腕達者でしょうし」
「そうですよね。考えにくいです」
「それで、まさか律蔵さんかと思ったのですが、あの人もバッチ作らせたり意味不明なことをしますが、この段階で神楽耶さんを世界に認知させるのは悪手だと思うと思います」
「まだ、妖の王の候補の段階で、それは最有力候補ですけど、まだ覚醒していない人もいますし。それらが出揃ってならあり得ますけど。今の段階で目立つのはデメリットの方が多いです」
「目立つとまずいんだ」
俺がごくりと喉を鳴らした。
「だって、<凶>みたいなのがいますからね。そういうのに目を付けられる可能性が高い。やばい妖はまだまだいますから」
「じゃあ、困るんだけど……」
「それなのに、加速度的に情報が広がっているんですよ」
「じゃあ、誰が? 」
「え? と言う事は……。まさか、誠のNPOに誰か妖がいてやっているって事? 」
俺がそれで思い立った。
「そうです」
「我々もそう見ているんです。多分、妖のニューカマーだと思いますが……」
「あ、ああ、そう言えばネット関係の妖が最近産まれて、うちにいたなぁ……」
などと心当たりがあるらしくて、誠が呟いた。
「ネット関係の妖? 」
「そんなのいるんだ! 」
俺と彩が叫ぶ。
「妖異があって、そこから念が起きて、それから魂を持ったように妖は産まれてくるんです。それは妖だと言う世界の認知と本人の自覚が世界の認知から産まれることで発生するんですよ」
間宮さんがそう話す。
「我々だって、多分、元は修験道の行者からの連想でしょうしね。前も言いましたが、本来の格好はもろにユダヤ教の祭司の格好に近いんです。古墳時代にも白人の骨が見つかってますし、何らかの形で逃げてきた人たちがいて、同じ日本人として認知されなかった。その結果妖として認知が熟成されることで我々が産まれてきたんだと思います」
間宮さんのしっかり者の部下もそう説明してくれた。
正直、妖だけど、訳が分かんない。




