第十部 ファンクラブ 第一章
そんな楽しい一日も終わり、今日から高校で授業である。
もちろん、新校舎は突貫工事であるが、そんな数日で直る事も無い。
そんな時に、朝一でこないだの間宮さんがいた場所に柴垣誠が俺たちを呼び出した。
こみあった話は放課後で良いんじゃないかとか思うのだが。
特に、陽菜さんが私が紹介したんだからと騒ぎまくったし、俺の前の歓迎会の豪華さに比べてあまりにもしょぼい料理だとか、神をも恐れぬ騒ぎ方で、これはいけないって雰囲気になるほど横でグダルから、何かあったかのもしれない。
皆、<赤錆>さんの自慢話と彩のヨイショで盛り上がったせいで、陽菜さんは自分が注目を受けていないのも傷ついたらしい。
あのあたりは、うちの爺さんが「相変わらず、残念な人ですな」とか本人に言っちゃって、余計に俺も申し訳なかった。
と言う事で陽菜さんの話かと思って、彩だけでなく、しれっと香織もついてきていた。
「彩さんは仕方ないけど、なんで香織さんまで? 」
「いや、お姉ぇの事でしょ? 」
などとちょっとしょげ気味。
やはり、爺さんよりたちが悪いのかもしれない。
最後は私のおかげなのにぃぃぃって酒飲んで愚痴りまくっていた。
「容姿は端麗なのにね」
「残念なのよ。本当に残念なのよ……性格が……」
彩の言葉に香織が激しく反応する。
彩は彩で、その酷い酔っ払いのグダり方を見て、涙を流して悔しがったのが馬鹿みたいだったなどと、すっかり醒めたらしくて、「ああはなりたくないな」などと帰りに酷いこと言ってたけど、香織の前ではお姉さんを貶せないらしい。
2人とも仲が良いからな。
正直、俺も見ていて、この食事は嫌いだからと普段から飲みの誘いを断るとか言ってたけど、飲みに行ってたら誰も誘わないだろう。
爺さんが冷笑するくらいだから、酷すぎた。
「大事な話なんだけどさ」
「あくまで一日仮派閥だから」
「でも、もう政府の方には登録されるよ? 」
「そんなのあるの? 」
俺が思わず叫ぶ。
「だって、公安と自衛隊の妖特科が認めたら、傘下の派閥って認めない所は無いし」
「マジですか」
陽菜さんに関わるんじゃなかった。
あの人、本当にああいう絡めとり方は爺さんに似ている。
間宮さんが推しているから、自衛隊の特科まで推しだしたら、逃げれないじゃん。
それにしても、昨日の酔っぱらってのグダリ方は酷かった。
陽菜さんは最後の方に彼氏とかと付き合うとすぐに向こうが別れを言ってくるとか、何が私の不満なんだとか騒いでたが、多分、ああいう所が見えてくると醒めちゃうんだろうなと。
しかも、多分、どんな彼氏でも自分より弱いし。
それで、妖特科だと彼氏作るのも難しいしとか俺に言われても。
多分、それじゃないと思う。
理由は。
結局、そんなこんなで愚痴と世知辛い話をいっぱい聞いた。
「ごめんね、昨日」
香織がそれを察して、俺に謝ってくる。
「真面目に陽菜さんはお酒は飲まない方が良いと思う」
「ああ、グダルもんね」
「というか、世知辛い話ばかり言うから、横で聞いててキツイ」
「何? 世知辛い話って……」
「彼氏が出来ないって……いろんな手を使っても皆が逃げてくって……俺を嵌めこんだみたいに、まさか嵌めこんで彼氏を作ってんのかな? 」
「容姿は端麗なのにね」
「いや、彩は、それしか言う事無いわけ? 」
さすがに香織が文句を言った。
自慢の姉らしい。
切ないな。
「でも、自衛隊の妖特科で、妖関連はトップのお爺さんがあまりしないから、ほぼ陽菜さんがやるって言うから、どうしょうもないよね」
俺がしょうがないので、諦めろって事で誠に話す。
ああいうタイプは関係から逃げようがないだろうな
特に派閥のトップの家で、政治家一家だと逃げれないだろう。
「いや、そんな話するつもりで読んだんじゃないんだけど」
などと誠が困った顔をした。
「え? 姉さんの話じゃないの? 最後の方は酔っぱらって、いろいろと言ってたじゃない」
「いつもの事だし」
ガーンって感じで香織が衝撃を受けていた。
諦めがついているよって誠の顔が切ない。
「柴垣家として陽菜さんの対応のマニュアルも出来ているし……」
「マニュアルがあるんだ! 」
俺が叫ぶ。
恐ろしい。
クレーマー扱いである。
「えええええええええ! うちのお姉に酷くない? 」
香織が叫ぶ。
自慢の姉らしいからなぁ。
「いや、だって、酔っぱらってグダッテいるのに、ちゃんと話を覚えているから」
「はあ? 」
俺が唖然とする。
「凄いんだよ。あの時、はいはい言ったよねとか、後で来るし」
「なんか変な相槌してない? 」
「いや、してないと思うけど……そう言うのは早く教えてくれないと……」
俺がそれで誠に文句を言った。
逆に酔っぱらうのも絡めとる為じゃんかっ!
想像以上に恐ろしい。




