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第八部 渡辺陽菜 第八章

「多分ね。多分、律蔵さんは、それをやったのが御前じゃ無いかって思っているのよ」


 そこでとんでもない話が出てきた。


「はあああああああああああああああ? 」


「日本人というのはコントロールしやすいのよ。そして、それは一番怖いことだけど仕方のない事。災害大国なのよ、この国が。だから、災害があった時に呆然としていたら死んで滅んでしまう。だから、いきなりの急展開の情勢で心が変わるの。そうしないと生きていけないから。いわゆる生き残るのは強いものではなくて、変化に対応できたもの。それを地で言っているのが日本人なの」


「だからこそ、心を読めるだけで相手を精神コントロールも出来る一条覚を爺さんは恐れているのか……」


「そう……」


「え、なんで? 」


「100人いるうちの10人を洗脳するだけで、全体の方向を変えれるから。理性はそうなった時に意味はない。特に環境に適応しようとする日本人は一気に変わる。変えることが出来る力が精神コントロールなんだ」


 彩に聞かれて、そう答えた。


 何かのきっかけがあった時に、洗脳コントロールされている人間をある程度駒としておいておけば良い。


 それだけで全体の方向性を変えれる。


「でも、日本人は1億2千万もいるにゃん」


「でも、誰からも注目されていて、その人の言うことを聞こうと皆がするような、まあ指導者やインフルエンサーみたいな人がいたら、その人達だけを洗脳するだけで、全体をコントロールできる。別にピンポイントで抑えるだけでいいから」


「なるほど……にゃん……」


「顔も超絶美少女でそれで頭が良ければ、そりゃ、うちの爺さんも推すはずだわ」


「は? 」


「うちの爺さんと君は昔に話したことがあるのよ。君は忘れていると思うけど」


「え? 情報保全隊の妖特科のトップでしょ? 」


「そうよ。だから、君を推しているの。トップに据えるならあれくらいでなくてはいけないって」


「いやいや、そういうのは……やりたくないんですけどぉぉぉぉ! 」


「私も君のそう言う所は推すよね。実際に、持つ力が凄すぎるから、そういう風に一歩引いて見れるのは良いよ。美少女だし。私も推すって爺さんに言っておこう」


「なんでやねんっ! 」


「こんな美少女なのに男の子ってのが良いわ」


「ちょっと、神楽耶に手を出したりしないでくださいね」


 彩が強く念を押す。


 こんな怖い人なんか勘弁してほしい。


 睨み合う中、柴吉がため息をつきながら、柴垣家へ案内する。


 それで柴垣家の屋敷に行く周りに家がない小道に入りだした。


「それにしても、奇門遁甲をミックスさせた、良い結界だよね」


「奇門遁甲って事は出る場所によっては死んだりするんですか? 」


「そういうのは……あるけど、屋敷の襲撃された時用に普段は機能しないようになってるわよ」


「いや、あるんですか? 」


「そりゃ、やばいのもいるもの。妖の相談役みたいなのもしてたら、人間だって変な人がいるのに、妖の力で変な事をされたら嫌でしょ」


「いや、死ぬのに」


「大丈夫よ。死んでも、呪詛だから犯罪にはならないわ。そういう意味で、現代社会って妖とか呪術師にしたらやり放題だよね。何でもできちゃう」

 

 そう楽しそうに陽菜さんが笑った。


 笑うとこじゃねぇよ。


 怖い怖い。


「陽菜姉さんって、えええええええええええええええええええええええ? 」


 渡辺香織が柴垣家の大きな大きな屋敷の方からこちらに駆け寄ってきた。


 それで俺と如月彩を見て、凄い顔をしている。


「なんか、記憶は消されているみたいだけど、あんた名乗りを上げたみたいよ。駄目じゃん。自分の身分を監視対象に言ったら」


 陽菜さんがそう突っ込んだ。


 いや、ご自分は良いのだろうか? 


「何で? ええ? 言ったあ? 私に記憶はないけど? どうして? はあああ? 」


 などと混乱しながら逆切れしていく。


 うん、いつもの香織だ。


「<(わざわい)>とやり合ったんだよ。その時に一騎討ちみたいに名乗りを上げたの」


 俺が詳しく説明する。


「あちゃー。渡辺家の血のなせる業ね。なるほどなるほど。それなら分かるわ」


 などと、陽菜さんが納得した。

 

「ええええええ? やっぱり渡辺綱の血って卑怯じゃん」


 などと如月彩が不満を漏らす。


「いや君も強いよ。真面目に香織と互角以上にやれると思うけど。私と戦った感じだと」


 などと陽菜さんが話す。


「えええええ? お姉とやったの? 彩。マジで? 多分、渡辺家歴代でも最強クラスなのに」


「負けたよ」


 凄くしょげたような感じで彩が俯いている。


 負けたのがすごく悔しかったみたいだ。


 涙すら滲んでいる。


「しょうがない。本当の話を言うよ。<(わざわい)>を追い詰めたのは彩だよ。君が追い詰めたんだ」


 そう俺がそう言っちゃう。

 

 彩にそこまで悲しい顔をされると仕方ない。


「フギィィィィ! 」


 ミケがそれを聞いて毛を逆立てて驚いていた。


 まあ、驚くよな


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