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第八部 渡辺陽菜 第二章

 と言う事で散歩の形で柴吉達と一緒に柴垣家を訪ねることにした。

 

 柴吉が先に連絡しようとしたので、それは止める。


 いきなり、用意されてない形で行かないと取り込まれそうだし。


 まあ、取り込まれるしかないのかもしれないけど。


「仕方ないよ。とりあえず、相談するとこないし。そういえば、妖の城があったのに、そういうのの相談場所が無いよね、このT市。存在するのにいないことになっているって悲しいよね」


「だから、柴垣大輔氏が妖の互助団体を名前を変えてNPOでやっている。だから、そういう意味でも窓口は持っておくべきだからな。派閥を傘下にするかどうかは別で、相談だけでも受けてくれるから」


「じゃあ、うちの爺さんにいつも嵌めこまれているんだけど助けてって言ってみるか。身体の改造までされてるんですって」


「ぶほっ! 」


 柴吉が目を泳がせて言葉が出ないらしい。


「それなら、私も行くにゃん」


 などとミケが嬉しそうだ。


「別に何もないぞ? 」


「派閥の者として、こちらに接触してくれるのは嬉しいにゃん」


「やっと認めやがったか」


 呆れてものも言えない。


「まあ、ミケがあそこの派閥に関係しているのは確かだから、行った時に話がしやすいのは確かだ」


 とうとう柴吉も喋った。


 そうか、それで、こないだパーティーがあると思って来ていたのか。


 後は爺さんの手下かどうかなだけだな。


 思いっきり、そちらも怪しいけど。


「とりあえず、母さんにメール出しておくね。私の荷物はここに置いとくから」


 そう如月彩がてきぱきと動く。


「それよりも、ミケも柴吉も変な気配とか感じないか? あの一条覚が何か仕掛けてきていると困る」


「今のとこ大丈夫と思うにゃん」


「まだ、敵対しているわけでは無かろうし刺激してこないと思うのじゃが」


「いや、最初の挨拶で握手をしようとされたけど、結局、握手しなかったし」


「それなら、警戒はしているな。握手をしたらまずかったから。サトリだと爺さんが自分の事を話していると思ったかもしれんから、それで敵対とまで行くかどうかは分からんけど。爺さんが彼は接触する事でサトリの力を強くするのは知っているし、精神コントロールも出来るようだってのも知っているからな。普通に孫には警告させていると思うだろう。実際には、あの爺さんはしないけど」


「一条覚が自分の想像通りか、俺に予備知識無しで会わせることで、判断したかったらしい」


「あー、そういうとこあるからな爺さん。目的の為に手段を選ばないから」


「そうだよ、複合……体だっけ? 自分の孫をそうするなんて……」


 彩もむっとした顔で話す。


 酷い爺さんだ。


「いや、それは意図せずだ。それ以上は説明できないけど」


「は? 」


「まあ、いろいろとある訳だ。ちょっと妖にしたらあり得ない話なんだが……」


「どういう事? 」


「それは……爺さんの呪術によって話せない事もあるが、母方の祖母殿と母上殿が説明すると思う。わしが言うと殺されちゃう」


「……まさか、信じられないカップルから産まれたのが、俺って落ちか? 」


 俺が驚いて聞いたら。柴吉が黙ったまま目を泳がせて他所を向いた。


「えええ? それは気になるな? 奇跡のカップルって事? 」


「いや、頼む。彩殿も聞かんで欲しい。ちょっと本気で殺されるから」


「ええええ? 」


 彩が不満そうだ。


「つまり、産まれたのが奇跡って意味もあるのか? 」


 柴吉が困った後にコクコクと頷いた。


 どんなカップルやねん。


 親父が人間のはずだから、それだと母方の祖父と祖母がって話かな? 


 もしくは爺さんが実は妖なのだろうか? 


 確かに普通の人間は妖に仕えないしな。


「私が見る限りはお爺さんは人間だけどね」


 などと彩が俺の気持ちを察して教えてくれた。


 なまじ、付き合いが深いので、こちらの心を察せると言うのも困ったもんである。


「まあ、その複合体が凄すぎて、暴走して校舎とかを破壊したんでしょ? 私は記憶が無いから、何かで弄られたのかな? 」


「……内緒な。俺も直接話をされたわけじゃないし、意識が朦朧としている時に聞いただけだから。気がついたら終わってたし。天狗さんの神宝を使って記憶操作したらしい」


「なんじゃ、知ってたのか? それにしては、それに突っ込まなかったな」


「天狗さんが妖の城を修理するために皆で貯めていた金で校舎を直していると聞いてしまったから……」


「ええええ? 」


「爺さんがネチネチと強請った結果だが……」


「ああ、やりそう」


 などと彩が言いきっちゃうのが、この家の現実の恐ろしさだよな。


 爺さんのタチが悪すぎる。


 




 

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