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第七部 覚 第五章

「あの人だよね。爺さんが止めたいのって」


「そうだ」


 俺が素直に聞いたら、あっさり答えてくれた。


 爺さんが俺にハッキリ言うのは本当に脅威に感じている時だけだ。


「どういう経緯なの? 」


 俺がそう爺さんに聞いた。


 保健室の先生が話を聞きたそうにしていたが、それを間宮さんの部下の公安の人が話を聞けないように連れ出した。


「昔な、財界や政界でフィクサーと呼ばれる御前と言う御方のお抱え呪術師をしていた。フィクサーとして本物の本物なので名前は知られていない。わしも御前としか知らなんだ。真名を知られると呪術に絡めとられると言うのをよくご存じの御方で、それ故にわしにも本名は最後まで教えてくださらなかった」


「いや、名前を知られていないってあり得るの? 」


「多分、妖なんだと思う」


 彩が不思議そうに聞くので、俺の方が答えた。


「そのとおり。本来はフィクサーになれる人物では無かった。だが、妖の王が亡くなられて、妖をまとめるものがいなくなり、さらに当時のフィクサーと呼ばれるあらゆる人物達に取り入る事で本当の意味でのフィクサーになった」


「仲が悪いだろうフィクサー達に全員? ……それは精神コントロールなのでは? 」


「凄いな、わしの孫は。その通りだ」


「何をしたかったの? まさか、大日本帝国の復活とか? ……三代目の妖の王が倒れて駄目だった事をもう一度やろうとか、そんな馬鹿な事を? 」


「はあ? 」


「え? 」


 俺の言葉に間宮さんも公安の部下も唖然とする。


「うーん」


 爺さんがそう考え込むように黙った。


「いや、いくら何でもっ! 」


「おかしいですよ! もう100年も経っているんですよ? 世の中の考え方も違う! 」


 間宮さんの部下が叫ぶ。


「いや、妖は種によっては1000年生きる人もいるでしょ? <(わざわい)>を見る限り昔の時代の感覚でいるものは結構いるはず。時代についていけないともいえるかもしれないけど。でも、人間の歴史は戦争の歴史だし」


「その手の考え方もあるんだが、どちらかと言うと妖と人のハーフによって、人の革新が始まると言う考えたがあって……」


「まあ、能力は上がりますよね。真面目に……」


 間宮さんがその爺さんの話には納得した。


「しかし、そう言うのってどうなんですかね? わざわざ妖のハーフにするとか……」


「いや、元々、日本の神道がそれだから。あるがままを受け入れるから、他所の宗教の仏教も同化させてしまった時代があるし。元々、仏教自体がヒンズー教と融合していた部分もあって融和的だったのもあるけど、そうやってハイブリット化してきたのが本来の日本人の中核の思想だと思う」


「いや、お前凄いな。本当に16歳なのか? 」


 などと爺さんが苦笑した。


「まあ、我々天狗の修験道って元々、ユダヤ教か原始キリスト教の影響があるの確実ですもんね。虎の巻とかユダヤ教のトーラーの事だろうし、修験道の衣服もユダヤ教の祭司が着る服から来てますしね。それで聖徳太子が何故か馬小屋で産まれてますし」


「秦氏がそういう影響を受けた氏族では? とか言うけど、実際、そうなら日本の有力な神社はかなりが秦氏の氏族からの神社ですし」


 公安の人達がぶっちゃける。


 オカルトの話をオカルトの妖の天狗さんが話すと言うのは結構面白い現象なんだろうけど。


「オカルトじゃないんですか? それ? 」


 彩が俺が言わなかった事を言っちゃう。


「晴明神社の宮司さんがずっと安倍晴明を調べていて、母親が多分帰化人で、白人だったらしいってのは研究成果として言っている。実際に古墳時代に発掘した骨のDNA解析で白人の骨が見つかっているし。<まれびと>もそう言うのを受け入れる日本の思想なんだと思うけどね。まあ、宮司さんの調べでは実は安倍晴明って力は凄かったけど、ハーフだったので出世が遅れたって言うから、そういうのに対する差別が無かったって事は無いんだと思う。それで母親が狐とか言われてるんだろうけど。あってもおかしくないから」


「神楽耶はオカルト好きだよね」


「そのオカルトの妖らしいから、俺……」


 俺の話を彩に突っ込まれて突っ込み返す。


「妖をオカルトと否定されると我々としても困るんですが……」


「実際にいるし」


 などと公安の間宮さんの部下さん達がグチグチ言う。


 まあ、存在に認知が居るので否定されるのは困るんだろうな。


「本題からずれちゃうから。何をしようとしていたんです? 御前は? 」


 間宮さんが真顔で爺さんに聞いた。


「御前は妖のくくりを持っていたが、人間と妖のハーフであった。それで、人の革新を目指して妖と全ての日本人の融合を目指していた。いや、多分、自分に対する鼓舞もあったのだと思う。何しろ、妖のハーフと言うものは、いわば混血だからな。そういう風な帰属的な意味でいろいろ考えてしまうものもいる。全然考えないのもいるけどな」


「まあ、ずっと日本人の傍にいたのが妖ならそうでしょうね。日本に産まれた種族と考えるなら混血だとか純血だとかばかばかしいと思う。そもそも、日本人のDNAってハイブリッドだし」


 格好良く言えばハイブリッドだが、雑種だからな。


 そういう意味で日本人の民族性と文化と思想が日本人足らしめていると言う事だと俺は思う。


 


年末年始の間だけでも出来る限り一日二回投稿します

その先は無理かもしんないですが

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