表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/118

第一部 柴吉 第一章 

 その日は朝から曇っていて肌寒かった。


 寒かったから、身体が縮こまっていたのも間違いない。


 特に運動は幼馴染の空手から古武道をやっている如月彩(きさらぎあや)の領分であるので、特に俺は何もしていない。


 中学生に上がる前に、幼馴染の如月彩がいつ俺を男の子の服に戻すのか? と俺の祖父母に聞いて、いやこのままだからと祖父の竹内律蔵が断言してから、とんでもない話をされた。


 俺の女装は長男を女性として育てて病魔から守ると言う風習からではなく、かぐや姫みたいな子を育てるのが夢だったとか言う祖父の我儘らしい。


 衝撃のあまり、その時は眩暈がした。


 なんで、そんな祖父の馬鹿な話に俺が巻き込まれるのか……。


 しかも、亡くなったと思っていた父母は生きていて海外で生活しているとか言われる。


 一度も両親に会った事無いんだけど。


 そして、俺を日本で祖父母が育てる事になって祖父は燃えたんだそうな。


 孫娘が欲しかったと。


 そして、本人が独自で在野の学者として<かぐや姫>を研究していた祖父はかぐや姫みたいな孫娘にしようと暴走した。


 そんな事から俺は竹内神楽耶(たけうちかぐや)と名付けられて、こんなアホな人生が始まったとか。


 突っ走る祖父に引っ張られて祖母も俺をかぐや姫のようにと言う事で赤ちゃんの時から少女のような服装と格好をさせた。


 まるでお人形さん遊びのようだったと後年に言われるが、その結果、俺は真面目に儚げな美少女の様な容姿になった。


 のちに何でそういう美少女になったのか知るが、当時はなんでだとショックを受けるばかり。


 その容姿のせいで何度もクラスメイトの男子に告白されるし、しかも、当然、男であると言う真実を告げるから離れていく。


 それで、振られた奴は俺を友達となんて思わないし、男性に告白してしまった気まずさから近寄ってこない。


 結果として、俺の友達は全部女の子になった。


 さらに、幼馴染の親友がボーイッシュな美少女の如月彩(きさらぎあや)だったのだが、男子から告白されて孤立する俺を守らなきゃと思ったのか、猛烈に空手や古武道を始めて気が付いたら、中学の実戦空手の全国大会で優勝するような怪物に育った。


 これがちょっと空手が出来る程度なら、如月彩がいる限り男は誰も俺に近づかないとか言う事は無いだろうが、全国一位の実戦空手のインパクトは凄い。


 顔面パンチも防具をつけてする本格派だし。


 だって、いつも俺の横で仁王立ちしているし。


 それと、あまりに儚げな美少女に俺が育ってしまったせいで、中身は男なんだけど、男子教師やら女性教師が依怙贔屓で大切に守るもんで、如月彩が俺が男でも良いからとしつこく付きまとう変な男子を暴行してるのに、教師は見て見ぬふりするし、暴行も無かったことにしていた。


 警察すら何故か依怙贔屓する状況なんで、何かあるんではと思っていたが……。


 まあ、そんな感じで、やっと高校一年生になったのだが、高校になると近隣の中学に通っていた生徒も学校に増えるから、いきなりの告白も増える訳で、またまた如月彩が血祭にあげるので、今や幼馴染の如月彩は覇王如月とか言われてたりして、ちょっと申し訳ない。

 

 とはいえ、父母は海外で、祖父母しかいない俺にとって、彼女のご両親に家族ぐるみの付き合いをしてもらって、本当に如月彩を身内のように思ってたから、彩が覇王になる過程をそのまま守ってもらう事で、放置していたのは事実であった。


 そして、それはいつもの登校日に起きた。


 高校一年生になって、もうすぐゴールデンウイークも来ようとしている時期なのに、ここ数日は肌寒かったせいか、俺も動きが鈍かった。

 

 もともと、運動とかしてないし、俺がスポーツすると教師が止めるほど儚げな容姿をしているのもまずかった。


 目の前で交通事故が起こった。


 それはよくある事だった。


 儚げな超絶美少女の様な俺の容姿が悪いのだろう。


 実際、神秘的と称する女子生徒もいるくらいの容姿らしい。


 そのせいで車を運転しているおっさんとかが俺に見とれてあちこちにぶつけてしまうのは良くある事だった。


 その日は悪い事に俺を見ていたおっさんの軽トラが対向車線の車にぶつかって、その後に対向車線から来た自動車が俺の方へ飛び込んできた。


 それで、横にいた彩が俺を庇う様に抱き着いて飛んで避けたはずが、車を避けたものの、そのまま二人で電信柱に激突した。


「ああああああああああっ! 神楽耶っ! 大丈夫? 大丈夫? 」


 そう彩が俺を見て絶叫している。


 自らが電信柱に頭をぶつけたらしくて、血を流している彩が必死に無傷の俺に叫び続けていた。


 それに対して俺は何にもぶつかっていないのに彩が血まみれになって俺を揺さぶるので、その姿を見て気絶した。


 勿論、いきなり投げ出されたショックもあると思う。


 何しろ、元々全然運動もしていないひ弱な身体である。


 その程度の事で俺は本当にどうしょうも無いのだ。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ