第五部 願い 第三章
「いや、間宮殿はああ見えて150年以上生きている」
柴吉が異様な事を話す。
「ああ、妖とのハーフだからか」
「その通り、そのせいで先代の妖の王が弱って亡くなる前に会っている。後事もある程度頼まれていると聞いたから、見る目が厳しい。だから、これはまた大きな話になるな。我が君まで言っちゃうと」
「……取り消して貰おう」
「まだ、そんな風に逃げて……お前は特別だから逃げれないと言うのに……」
「そういう重たい、皆の願いみたいなのは、俺に振って欲しくないんだけど。自分には重すぎる」
「そういう所が逆に買われているんだ。俺が俺がなんて奴は大きなトラブルを起こす。わしが若い時の間だけ見守ってた羽柴秀吉みたいな感じでな。ある意味、妖の王は自分が自在に出来る万能感は得られる立場だからな。だからこそ、強気でなく、目の前の事を淡々とする者が妖の王になるべきなのだ」
柴吉が言い切る。
「じゃあ、かえって神楽耶は妖の王たる振る舞いをしていると言う事? 」
「妖の王たる振る舞いと言うよりも、多分、日本政府とかにしても、穏健な俺の方が良いと思っているだけだろ。混血もいるんだ妖は10万どころじゃないだろ。しかも、特殊な能力を持っている連中だし。そら、穏健派が良い。政府とかに都合がいいだけだと思うけどね」
俺がぶっちゃける。
妖が本当なら日清戦争とか日露戦争にも戦場で日本の味方をした妖の話は良く出てくる。
第二次世界大戦ではあまり聞かないけど、つまり、そういう事だろう。
それだけの戦力となりうる集団だと言う事だ。
元々、柴吉の話だと、鎌倉幕府の北条氏支配で汚れ仕事を専門にしていたらしいし、足利尊氏の奇跡の勝利にも介入していたと言うなら、普通に政権を揺らがす力を持っている連中だと言う事だ。
そんな奴らがかなりの数いて、しかもどれだけ潜伏しているかも分からないと言う話だ。
仲間内でも分からないから、存在が怪しい如月彩も分かんないみたいだし。
「……妖の城が出ると妖が活性化して、隠れていた妖……もっと言うと初めて自分が妖だったと気が付く日本人もたくさんいるんじゃないのか? 」
「え? 良く分かったな」
柴吉が驚いていた。
「だから、日本政府側も凄く神経質になっていると言う事だろう。だから、妖側の協力者を募って、公安とか宮内庁に置いている。もしもの戦闘とかも考えているんだろうし……。まいったな……かぐや姫様と言う武力を持っていて、穏健派……出来たら妖の王になりたくないって俺は一番都合が良いんだろうな。政府の保護とか余計な事をしたけど、余計に厄介な話に入り込んだかもしれない」
俺が呻く。
その時、俺が光り出す。
「ええええええ? かぐや姫様? 」
俺が驚いた。
「せ、戦闘開始か? 」
柴吉が身構えるだけで、銀色の巨大な狼に戻った。
彩も身構えた。
何故か指を入れる輪っかのついた小さな鉄の棒を持っていた。
……それ、古流の暗器では?
「そんなものを準備していたんだ」
「だって、妖に人間じゃ勝てないし」
などと俺が彩に突っ込んだ。
それから前を見る。
「あ、天狗だ」
俺が呟く。
どうやら、かぐや姫様が見せてくださっているようだ。
ずっと守って貰っている方に様付けしないと失礼かなと思ってつけた。
「天狗? 見えているのか? いや、見せてくださっているのか……」
などと柴吉が驚いた。
「あれが俺達に関わろうとしていたのかな? 」
「公安の天狗だと思う」
「ええええ? 天狗ってどちらかと言うと反体制なのでは? 」
柴吉の話に驚いた。
「いや、妖の動きがおかしかったから、それで自発的に抑えるために天狗のグループの一部が国についた。妖に対しての弾圧とかされても困るしな」
「なるほどなぁ。政府について妖に対する変な弾圧されそうなら先に動いてその妖を潰したり抑えたりしておくと言うのか。流石だなぁ」
柴吉の話に頷いた。
たしかに、政府の中に浸透すると言うのなら、それが一番近道かもしんない。
「ちょっかい出すつもりのはどうなったの? 」
「去ったみたい……いや、誰かいるよ……あまり強くないけど……」
「本当だ。なんだろう。引かないつもりらしい。粘っても公安の妖が捕まえるだろうに」
「いや、そのままにしている。……どういう事? 」
かぐや姫様が俺に見せている映像では、誰か小柄な妖が座り込んで、家の前にいるのが分かる。
「誰なの? 」
「分からん」
柴吉も首を傾げていた。
というか、かぐや姫様が俺に見せている映像に間宮さんが映る。
「……あれ? 俺に会わせる気なのかな? 」
などと俺が首を傾げた。
下手な派閥に関わり合いになりたくないのだけど……。




