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第四部 淡雪 第六章

 屋敷の中に市長の柴垣大輔さんと衆議院議員の柴垣龍三さんとクラスメイトの柴垣誠と入る。


 勿論、柴吉と如月彩も一緒だ。


「あれ? そう言えば誠は何で龍の字を? 」


「いや、多分、妖の互助団体は世襲ですので、息子も最初から龍の字はご遠慮させていただいているのです」


 そう市長に説明された。


 なるほどなぁ。


 政治家になった事で、いろいろと情報通になって、融通も利くので、他の妖から互助団体のトップにって話になったんだろう。


「随分、屋敷が大きいんだね」


 彩がいつまでも続く廊下で呟いた。


「高祖父と曽祖父は信じられない歳になっちゃうから、一応、屋敷の奥の方で生活しているんだ。流石に120歳とか300歳とか信じられないでしょ」


 などと誠が答えてくれた。


 龍一さんが結婚したときにはすでに相当な年だったんだな。


 などと思う。


「むう。そうか……やはり消える時が来ているのか……」


 などと柴吉が匂いを嗅いで呟いた。


「高祖母を騙したのではと悔やみだした時から、ボケだしまして、自分を責めていたので死期が早まったのだと思います」


 柴垣龍三さんが説明してくださった。


 聞くと、普段は東京にいるのだが、今回うちの祖父の律蔵からの話で、俺が来ると言うのでわざわざ地元に戻ったのだそうだ。


「何しろ、かぐや姫様の加護を得られた、妖の王の候補様ですから。妖の王になれば我ら妖としたら我らの神と同じですし」


「いやいや、俺は妖の王の候補は降りるつもりなんですが……」


 そう答えたのに聞いちゃいない。


 俺が降りるのは無理だとさっき話してたからスルーしているらしい。


「ここか……」


 柴吉が奥の襖の前で呟いた。


 それで、柴垣龍三さんが襖を開いた。


「おお、いらっしゃってくれたか」


「親父、爺ちゃんは? 」


 柴垣龍三さんが横に座っている80歳くらいの顔の似たおじいさんに話しかけた。


 あれが誠の曽祖父なら110歳とか言ってたんだが、若いな。


「うむ。ボケた感じで朦朧としている。延々と、騙して済まなかったと呟いている」


「ううむ。流石にもはや……」


 そう、柴垣龍三さんが悲しそうな顔をした。


「何とか、うちの高祖父に許してやるとお願いできませんか? <婆娑羅(ばさら)>様」


 誠が必死にお願いしてくる。


「<婆娑羅(ばさら)>様、お願いいたします」


 柴垣大輔さんも必死に頭を下げてくる。


 だが、残念だけど、<婆娑羅(ばさら)>様は反応しない。


 全く無反応だ。


 それで柴垣龍三さんと柴垣龍二さんも必死に頼んできた。


 いや、困ったなぁ。


 俺が本当に困る。


 俺が頼んでも出てきそうな御方じゃないし。


 その時、突然に部屋に淡雪が落ちてきた。


 部屋の中なのにだ。


 それは非常に幻想的な雰囲気だった。


「神楽耶……あんた……」


 彩が驚いた顔で俺を見た。


 俺が淡く光っている。


「これは……でも、<婆娑羅(ばさら)>さんじゃないよね」


 俺があの時<ひとつ>の時の雰囲気と同じ気配を感じた。


 ……まさか、かぐや姫?


 突然に許してくださいと寝たままボケて呻いていた柴垣龍一が起き出した。


「ハルっ! この淡雪は! ハルでは無いのか? お前に会った時と、お前が亡くなった時に降っていた! わしは! わしはお前に妖である事を言えなんだ! だけど、お前は知っていた。だから、最後までそれを明かさないわしに当てつけて『これで消えなくて済みますね』って言ったのだと思って……騙して、すまなんだ……本当にすまなんだ……」


 柴垣龍一が泣き出した。


 そして、俺の前に這い出て来て泣きながら正座した。


 その時、部屋に降る幻想的な淡雪が突然に人の姿になった。


 年老いた優しそうな老婆の姿だ。


『良いんですよ。私は貴方を責めたんじゃありません。貴方が寂しくないようにと思って言ったんですから』


 そう皆の頭に響く。


「お袋? 」


「お婆さん? 」


 唖然として龍二と龍三がそれぞれ呟いた。


 どうやら、その老婆はハナさんと言う龍一さんの奥さんの様だ。


「そうか、済まなんだ。お前がどう言うか怖くて怖くて妖である事を言えなんだ。騙して済まなかった」


 そう龍一が号泣した。


『いえいえ、最初から知ってましたよ。貴方が寝ている時にうなされて呟いてましたし。だから、頑張って子供も作りました。孫やひ孫たちに囲まれて寂しくなかったでしょう』


「そうか……そうか……」


 座り込んだまま龍一が泣き続ける。


『時間ですね。かぐや姫様が一緒に行っていいとおっしゃいました。これからはずっと一緒ですよ。あの世でも人間と妖は暮らしているのですから……』


 そう言うと座り込んでいた龍一を起こして手をつないだ。


 二人の姿がどんどん若くなる。


 昔、会った時に戻ったようだ。


「かぐや姫様、皆、ありがとう……」


 ポロポロ泣きながら龍一が頭を皆に何度も下げる。


「さあ……」


 そう言って、ハナが龍一の手を取ると、淡雪の中に二人で走っていく。

 

 そうして、淡雪が消えた後に、二人の姿は部屋から消えていた。


「逝かれたようだな」


 そう、ぽつりと柴吉が呟いた。


 俺はかぐや姫の姿に見えているらしい状態でずーっと『えええええええええええええ? 』って顔してた。


 皆にはその表情は見えていないようだった。

ブックマークも感想もつかないので、やっぱり面白くないのでしょうか?

非常に悩みます。

何か問題があるのでしょうか?

出来ましたら教えてくださいませ

単純に面白くないと言われたら終わりなんですが……汗。

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