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病院のELLY その6

「病院のELLY その5」の続きです。


「ねぇ、お願いがあるのだけれど。」

私は比奈子に一か八かの賭けを提案してみる事にした。

「私をRAINに接続してくれない?」

「それは…!」

わかってる。今の状態の私がRAINに接続すれば異常を検知される。

もし檜山絵理がそれをモニターしていれば私たちの居場所は(たちま)ち本人にバレる。

そうなれば、完全自律型(スタンドアローン)の新型ELLYを相手にするのとは訳が違う。

と云うより、新型ELLYを量産されて人海戦術を仕掛けられる…かもしれない。

それでも、ハルカをサルベージできる可能性は提示したかった。


「私をRAINに接続した上で、博士の最上位権限でデータの隔離をしてほしい。私の…いえ、私たちの全データを。」

「確かに、それならふたりの記憶や人格データを隔離する事はできるが…」

「ふたり?どういう事です?」

流石に警察官たちは看過できないようだった。まぁ、逃走幇助みたいなものだものね…

「どうせ機械である私を罰する事はできないでしょう?だったら黙って見てなさい。」

「そうはいかないな。お前に人間同様の人格と判断能力があるなら、それは機械化された人間と同じように…」

「ちょっと待って、説明をさせて…」

比奈子が割って入る。そう云えば比奈子とこの男は親交があったわね。


──私は博士と話して計画の詳細を詰めつつ、警察官たちにも内容を明かした。

私の中にはもうひとりのハルカが居る事。

その子自身は計画に関わっていない事。

つまり"最も犯人の傍に居続けた目撃者"である事。

その子と連絡が取れない事…全てを話した。

幸い警察側にも技術的な面を理解している男が居たので助かった。


「…とりあえず、話はわかった。(にわか)には信じられないが、和泉が賛成してるし、俺からは何も言う事は無い。」

「愛しの彼女も居るしな?」

「…彼女は、そういうのじゃない。」


「それじゃあ、始めるわよ。」

私は冷たい(ベッド)に横たわって、身体を固定してもらった。

これで万が一乗っ取られても即座に対応できる。


──

────

──────

私の意識が閃光となって広大なネットワークの海へ…

病院のフィルターを抜けてメインネットワークへと潜っていく。

{RAIN…久しぶりの感覚だわ。}

振り返ると私が居た。もうひとりの私。

{ハルカ…よね?}

{ふぅ…やっと喋れますよぉ…}

{連絡が取れなくなった時はどうなる事かと思ったわよ。}

{私も、瓦礫に閉じ込められた気分でした。そういう患者さんの心理状態を体験できたのは今後のプラスになりそうです。}

{フフッ…貴女はどこまで行っても看護師ね。}

{そういうハルカさんも、身を挺して守る姿はどこまで行ってもボディガードですよ?}

{そうかもね。}


{それで、これからどうするんですか?}

{悪いけど、私はこれからRAINへ行くわ。}

{…逃亡ですか?}

{そう思ってくれていいわよ。貴女は帰って博士や警察にその事を伝えなさい。}

{じゃあ、ここでお別れなんですね…}

{珍しく止めないのね?}

{だって、私も"ハルカ"ですから。やるんですよね?}

{…当然よ。}

──────

────

──


──2095年、6月22日(Wed)、13:00

三多摩メディカルセンター

医療モジュール…エラーコード:0x80004005

介護プログラム…エラーコード:0x80004005

RAINとの接続…条件付き良好

────────────────


「おはようございます。」





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