第1話 悪女、出会う
初めまして!!!こちら処女作となっております!初めてのことだらけすぎてテンプレになってたらすみません!!
突然だけど皆さんは悪女ってご存知?ああ、よくあるのは夢小説とかいうやつでヒロインを虐めたり貶めたりする子よね。でもね?本当の悪女っていうのはそんなことしないの。それどころか何もしないの。なぜって?それはね…
今年高校1年になった私はある意味有名な学校「聖ミストリア高校」に入学した。ある意味有名っていうのは簡単に言うと不良から名門貴族様まで通うというとんでもない学校である。そんな学校1年目あたりで潰れそうなものだが実際は100年の歴史を誇る立派な学校である。その全貌は明かされておらず事実謎が多い学校なのである。
そんな学校の正門を前に軽く心を躍らせ毎晩丁寧に手入れをしたストレートの黒髪ロングを揺らしながらゆったりと笑みを浮かべた。蠱惑的に、目線の一つ一つを意識し薔薇のように美しく蝶のように自由に星のように惹きつけていく。これが私「神楽小都」ここではどんな物語が見れるのか楽しみね。
入学式ほど面倒なことはないわ。講堂で長い話に長時間の着座で流石に頭が痛くなるわね。そこで近くに立っていた係の教師に声をかけた。
「すみません。少々気分が悪く外の空気を吸ってきてもいいでしょうか?」
できるだけ気分が悪そうにハンカチを口元に押し当てながら言った。すると案の定すぐに外に出させてくれた。長い話は聞き飽きたわ。そう思いながら入学のイメージとも言える桜並木を見上げながら桜のカーペットを歩く。少し歩くと花壇が見えてきた。委員会の人たちが世話をしているのだろうか、とても綺麗に花が咲き誇っていた。花壇の近くにあったベンチに座っていると講堂から人がぞろぞろと出てきた。もう終わったのだろうか?そう思い立ち上がると男の呻き声が聞こえた。なんだろうと好奇心に負けてこっそり見てみるとガタイのいい男の人が背の高い男の人に頭を踏みつけられていた。
「あのさあ?俺言ったよね?百花組の詳細調べろって。遅くね?もしかしてお前百花のユダか?」
ひゃっかとはなんだろう。考えながら聞いていると背の高い男の人が踏みつけていた男の髪を引っ張りながら言った。
「俺は別に弱点を探ってこいって言ったわけじゃなくてあいつらの情報を掴んでこいっつったの。わかる?」
「は、はい…」
なんとなくこうした方がいい気がした。私直感って大事だと思ってるから。私は彼らの前に出てきて言った。
「ひゃっかってなあに?」
と。踏みつけられてた男は驚いた顔をしていたけど背の高い男の方は驚いていなかった。それどころかやっと出てきたかと言いたげにニヤリと笑みを浮かべながらこちらを見た。先ほどは遠くてよく見えなかったがなかなかの美形だった。肩より少し伸びた黒髪を下の方で結び右肩に流し、穏やかに下げた目尻に左目の目尻下に小さくアクセントと言いたげな黒子。肌は日を知らないと言われても信じてしまうような白い肌。服を少し着崩し鎖骨が見えどこか魅惑的である。それでいて何個も指についたゴツいような指輪や耳についたピアス。もうすでに塞がりかけている様なものもあるだろうか。私はこれが儚げ系イケメンというのだろうかなんて考えながらこちらもそっと笑みを深めて儚げ系イケメンくんと向かい合った。
「君だあれ?こんなところにいるなんてこの学校で見たことない子だね?」
髪を引っ張っていた男から手を離してこちらに興味深そうにゆったりと横に体を揺らしながら歩いてくる。そんな様子の彼に私はイラつきを覚えた。
「先に質問したのは私よ。無礼にも程があるわね」
そんな高飛車な私の様子を見て穏やかな目尻が軽く動いたかと思えばそれもそうだねと言い私の頬に向かって手を伸ばそうとした。それをピシャリと跳ね返して目を細めた。
「触らないで。そんなことを許可した覚えはないわ」
そう言うと彼は目を見開き興味が失せたかのように手を下ろした。
「気高いね。でもさ?どんなに女王に憧れていたとしても女王様にはなれないよ」
「私は女王になりたいわけじゃないわ。周りが女王にするのよ」
他人が聞いたらどれ程傲慢な人間だと思われるだろうか。しかし目の前の彼はそう思わなかったんだろう。失った興味がこちらに向き直ったと確信した。
「なるほどね。百花のことだったかな?こちらにどうぞ女王様」
どこかからかう様に手を差し出してきた。こちらに無遠慮に触れてこようとしないあたり律儀なのだろうか。そっと右手を乗せて彼にエスコートされるまま花壇の前のベンチに座った。その隣に静かに彼が座った。
「この学校は元来百花と言われる貴族層と千華と言われる生徒会、愁嵐と言われる不良層の三つが存在している。この学校ができた当初から存在している三つの組織だ。百花と愁嵐は長年対立してきたがその対立を抑えているのが生徒会の千華。この学校の詳細が秘匿されているのも千華のおかげでもある」
彼は意外にも丁寧に教えてくれた。百花と千華と愁嵐。どこも因縁が深そうなのにこの安定されているシステム。でもこれは、
「そんな100年続いたシステムももう限界がきている。いかにも倒れそうでなんとか形を保っていた天秤が軸から壊れようとしている。ある女生徒によってね」
それはいい方にだろうか、それとも
「俺も彼女はいい子だと思ってるけどね。明るくまるで太陽の様にこちらまで照らしてくれる子だ」
そう優しい口調で言うもののその目は興味が失せた目をしていた。気に食わない
「貴方は彼女が好きなの?」
興味本意で聞いてみた。そんな口調で言うのに明らかにその興味のないと言いたげな目。
「それを君が知る必要はないよ」
ああ、こいつはつまらないな。チグハグでバラバラ。何か欠けているがそれは愛情ではない。彼女に対して一定数以上の感情はあるかもしれないがそれを悟られたくはない。なぜ?彼女を守るため?だとするなら彼は彼女にどういう感情を?
「君は怖い目をするね」
いきなりそう言われた。怖い?美しいと言われたことはあるが怖いは初めて言われたことだった。
「怖い?なぜ?」
「君の目は見透かそうとしている目、それでいて全てを隠そうとする目。綺麗な黒色の目」
やっとこちらを向いた。好奇心で入り込もうとしている瞳。嫌いじゃない。それでも私の興味はわかない
「だったら貴方の怖いと言う目をこれ以上見せないためにもここからさよならすることにするわ」
そう言って立ち上がると彼は今度は優しく私の手を掴んだ。振り解くこともできたがそうはしなかった。
「待って。君名前は?」
最初に話した時とは違い好奇心と好意的な視線で私を見ていた。
「貴方に教えると私の名前が軽く聞こえそうだからやめておくわ。それに知らない人に教えたくないもの」
そう言うと彼は軽く笑みを浮かべながら立ち上がってわざとらしく胸に腕を当てて礼をした。
「これは失礼。2年c組楪琇。千華の人間であり統括長をしています。シュウとお呼びください」
驚いた。千華?生徒会ということ?生徒会の人間が何故…統括長、そういうことか。自分の中で完結していると恭しく私の手を取り甲に口付けた。驚きはしたが特にリアクションはない
「貴女の名前は教えてくないんですか?」
自分は教えたのだからと言いたげな顔をして言った。教えるなんて言っていないのにね
「貴方にはまだ教えない。教える価値を私は貴方にまだ見いだしていない」
そう言うと彼、シュウは肩をすくめた
「ではアゲハと呼ぶね。自由な蝶の様な君にぴったりだ」
そうシュウは満足そうに言った。アゲハ、美しく空を羽ばたき華の蜜を吸い上げる気高い蝶。しかし蝶の中にも毒を持つものは存在する。シュウはきっとそういうつもりではないのだろうが私は存外この名前を気に入っていた。
70000字書いてやる!と思ってたら力尽きてしまいました…第2話をお楽しみに!!