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プロローグ

 たまに見る夢がある。

 

 そこは白と紅色のハスが咲き乱れる公園で、わたしと男の子がしゃがんで隠れている。


 その男の子は金髪碧眼で、幼くも整った綺麗な顔立ちをしている。宝石みたいな目には涙が浮かんでいた。


「大丈夫? まだ苦しい?」


 手を握りしめ心配するわたしに、男の子は息を整えてにっこりと笑う。その表情は天使のよう。

 この世のものとは思えないその姿に見惚れてしまう。


「君のおかげで良くなったみたいだ。君は浄化の力が使えるんだね」

「じょうか?」


 聞きなれない言葉にわたしは首を傾げた。


「特別な力のことだよ」

「とくべつ? じゃありっぱな解呪師になって、(しゅう)ちゃんのおよめさんになれるかな?」


 わたしの言葉に男の子がむっとして返す。


「僕のお嫁さんじゃだめなの?」

「えっ」


 わたしはドキドキしながらも戸惑った。


「おとーさんが柊ちゃんのおよめさんになりなさいって」


 柊ちゃんはわたしの幼馴染で、憧れの人だ。だから柊ちゃんのお嫁さんを目指すのが当然のように決められていても、不思議に思ったことはなかった。


「君は柊ちゃんが好きなの?」

「うん! 好きだよ! 柊ちゃんは優しくてすごいんだよ!」


 幼いわたしには、「好き」がどういうものかなんてわかっていなかったと思う。ますます不機嫌そうにする男の子は、わたしの手を握り直すと言った。


「じゃあ、僕が柊ちゃんよりもいい男になって君を迎えに来るから、そのときは僕のお嫁さんになってくれる?」


 さあっと風が吹き、ハスが揺れる。月光が、雲の隙間からスポットライトのように男の子を照らした。

 キラキラと輝く金色の髪が綺麗で、宝石のような瞳はわたしをまっすぐに捕らえている。


 まるで時間が止まったかのよう。その美しい光景にどきどきしながらも魅せられたわたしは、いつまでもぽおっと彼を見つめていた。

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