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ニオイ
どうしてこんなことしてんだろ
バカだ…
なのに…
家に帰ってカバンを下ろし
壁にもたれて
崩れるように床に足を伸ばす
窓の外から差し込む光が
夕焼け色に染まって
白い壁もこの時ばかりは燃えるように赤くなる
ヒグラシの鳴く声と
スズムシの鳴く声
一日の終わり
ゆっくりと身体を横に倒して
片腕を枕に寝転がる
不意にタバコのニオイが鼻についた
ニオイは服にではなく身体に染み付いているみたいだ
今朝落としたはずのそれが
昨日の記憶を蘇らせる
心に凍ったように冷たくなり
胸を締め付けられるような痛みが走る
立ち上がって上着を脱いで
廊下の洗濯籠に服を投げ捨てた
シャワーを浴びたいと思った
また独りの夜が来る
最後までお読みいただきありがとうございます