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守護霊とうっかり道連れ転生  作者: 相木ナナ
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08.転生

初の料理

 7歳の姉さんが文字を教わったりと、家畜の牧草やりから離脱したことで、オレも大半の昼間の時間をミスパル森林に”瞬間移動”して作業出来るようになっていた。

 何かとコミュ障なオレを、牧草作業中に他の子供と話しかけるように誘ってくれたり、大体ずっと横にいてくれたのだ。

 

 軽量化した竈に真ん中だけ丸くくり抜いて、熱伝導率をいじった米釜を固定してからオレは問題に気がついた。

 鰹節作業など幾千の作業工程をくぐり抜けてきたエルヴェシウスだが、家で料理をすると才能のなさを発揮している。


 熱伝導の違いでそんなミスをしていたのかと思ったら、前世で長く守護霊をしていたせいか、味覚が死んでいるのか、どうやっても素材が泣く。


 米もオレたちで作ってきたのだから――実動はエルだったけど――余計に腹が立つのだ。

 マニュアル的な作業は出来ても、調理というものはセンスが必須で、そしてエルには才能がなかった。

 この時から、生成は二人で。作業の手動の魔法はエルの担当で、料理実践はオレの担当となる。

 今まで作ってきたものは、酒以外はオレが味見してきたし、酒類は父さんやばあちゃんにエルが届けて味見をしてもらっていたけど、先行きが不安になる事実の発見だ。

 

 火加減と、”時間加速”で蒸らすのを短縮して、二度ほど仕上がりに不満が出たものの――硬めな米と柔らかすぎた米は”空間収納”に放り込む――なんとか合格ラインの米を炊くことに成功。


 調味料は既にコショウやハーブ、ゴマ、油などは品質改善・改良命名で流通させていたが、味噌や醤油は未だだった。

 従って米の煮汁に昆布出汁をひいて、削った鰹節とゴマを混ぜて海苔を巻いたシンプルなおにぎりがオレの限界だ。

 出汁を摂ったあとの昆布は、香りの高いゴマ油で水分を飛ばして炒った後におにぎりの具に入れてある。

 せめて醤油があればおかかになったのだが。いやいやでも5才児としては頑張ってるぞ、オレ。


 魚介と”殺菌消毒”した卵とすし酢でちらし寿司という案もあったが子供の第一ステップとしてはハードルが高い気もするし。

 言い聞かせて、こういうことに不慣れなオレは家で失敗する可能性を踏まえて成功した練習おにぎりを”空間収納”し、なにげに帰宅する子供の群れに混じった。

 

 前世含めての人生で初めてのオレの料理は、おにぎりというささやかな代物だったけども、予想以上に家族に大喜びされた。


「アスランは天才だ!!」「こんな美味しいものを食べたこと無い!」という身内びいきなお世辞はおいておいても、誰かの為に料理をしてそれを喜ばれるということを体感した。


 米に具材が混じっていることが、かなり画期的だったようだ。

 転生してすぐに米を品種改良したとはいえ、その白米の食べごたえで副菜はせいぜいスープくらいという世界。


 インディカ種の風習で、ブイヨンスープに米を入れてしまう人や、硬さが欲しくて玄米を混ぜている人も多い。

 そして、やっぱり握って固めるという概念が未だ根付いてなかったのかもしれない。


 エルが言うには、中世フランスでもイタリアやオーストリアのほうが食事では優れていて、初期には皿すらなくスプーンとナイフだけでフォーク文化はあとから来たそうだ。

 皿がなくてじゃあどうやって食べてたのかと思ったら、パンを皿代わりに数枚重ねてスープはボウルで隣の人と二人で一つでシェアするのだとか。

 中世ヨーロッパでその文化なら、ガラス皿や耐熱皿まであるこの世界は加護魔法バンザイだ。

 

 そう、オレは対人スキルはゴミで転生してきた。

 だから人と関わる知能指数はイコール転生年齢なのだ、当然家族に絶賛されて味を占めた。

 褒められたり、受け入れられるのに料理という才能がけっこう使えるということに。

 いや、たとえそういう事がなくても、家族はオレを否定しなかっただろう。でも、きっかけというものは得てして単純なわけで。


 少しは美味しいものを食べたい、というだけの気持ちから、喜ばれる・一緒に食べる相手がいることでの、のめり込みがこの時に確実に異常なほどはねあがったのだ。

 まあ、自分を肯定されたことがなかった前世。思えば逃げることばかりで、何かにこだわったりのめり込むことなどなかった。


やっと少しだけ、調理……。

書き手は親の留守中に弟へスクランブルエッグを作ろうとして、油を使ったつもりがみりんで、甘いスクランブルエッグを作ってしまいました。初めての料理は失敗したと思っていたのに、甘いたまごにドハマリした弟が母にソレを催促して、出汁卵派の母に恨まれた記憶があります。ごめんよ、色で判別しただめな子です。

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