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守護霊とうっかり道連れ転生  作者: 相木ナナ
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03.転生


 オレはというと、加護はエルヴェシウスそのもの。厳密にいえば大いなる精霊王(ルウェンリン)の加護の持ち主。

 前世からの超能力に加えて全属性加護、平凡に生きたいオレには悪夢なチート盛り合わせだ。

 複数加護の持ち主は少数存在しているが、大抵は二個まで――三個もあれば国家規模らしいなのに、どういうことだ。

 

 まして、加護が分かると加護の色の付いたアンクレットを15歳の成人の際に義務付けられる。

 ただ、この世界は加護は親と本人の自己申告で役所に登録出来るのだ。

 能力の暴走はエルの加護のお陰で起きていない、外ではオレは木と風の複合加護の持ち主で、エルは水と土の複合加護だとしらばっくれてる。

 しかし、過去に家族の前では多々やらかしているのだが、ユルい親は「そういうこともある」という一言で深く考えていない。

 

 母さんが加護とはまた別のレアなギミック、”空間収納”を持っていたので、オレが同じ能力を持っていてもあまり目立たなくなったのは助かった。

 ”千里眼”や”空間収納”などは、百万単位に数人――そして精度や容量は割と限られている。

 オレとエルは同じ能力を共有しているし――もっとも加護がエル本人なわけだから当たり前なのか――”空間収納”も容量が二人分で二倍なのかもしれない。

 加護の特有特徴の性能が強いのも、二人分だからなのか。

 超能力という前世の遺産が魔法に交じる為に、実はオレもよく分かっていない。

 とりあえず、全力で今後も目立つことは葬っていき、静かに凡人として生きることが第一目標だ。

 

 加護が生活に当たり前に影響してくるこの世界、一番強くでるのは職業だ。

 攻撃力が強い火の加護、癒やしの快復能力魔法のある水の加護、解体とスピードを持つ風の加護、防御が高くて鉱物などを得やすい土の加護の持ち主は、魔物を倒す冒険者が多い。

 冒険者と言っても、旅に出るRPGのようなやつじゃなくて、魔物の肉や素材を解体かつ入手する者で、村の組合にまとめて売ったものを更に肉屋、鍛冶屋などが仕入れにいく。

 本来の仕事は、店側で特殊な素材が欲しいと、組合に張り紙を出してもらって冒険者に報酬を払う――ぶっちゃけこの田舎でそんな依頼はほぼ無い。

 冒険者とは魔物ハンターであり、警備や猟師・漁師という役割がそれで、”空間収納”スキルがあればどんな加護でも勧誘される。

 

 鮮度が落ちないし、大量の荷物の持ち歩きというデメリットも排除するから、母さんは未だに冒険者現役――だった。

 過去形として言えないのは、この困ったお茶目母は、加護に恵まれても方向感覚が無かった。

 買い物にも出せば村から速攻ではぐれて、早くて数週間は帰宅できないので、オレが家族内限定で瞬間移動と千里眼を解禁するのは早かった。

 そして全員、便利だ!で終わるこの家族、単純だけど前世の記憶で苦しむオレは大好きだ。

 

 出かけて放浪、結果的に冒険者として食い扶持を稼ぎ、”空間収納”で飲食を防いでいたマザー。

 あまりの迷子癖ゆえに空間収納スキルを授かったのか。収納スキルを授けられて、方向音痴が悪化したのか。

 そんな性癖を持つ母のお陰で、街ではちょっとした有名な家族である。

 特に村と村の関所に居る役人さんたちには、母を見かけたら縄で縛ってでも引き止めてくれと頼んであるほどだ。

 


 木の加護は冒険者には不向きだが、建築や農家、織物屋、木こりや、加護の固有スキルで商人をするものが多い。

 父さんも農家だけど収穫したら最後、家にはソレがたどり着かないのでその場で”空間収納”するのは母さんからオレとエルに引き継がれている。

 そう、母さんだけでも”収納”能力があったのに、オレとエルまでもあるのでご近所の歩く冷蔵庫・貯蔵庫として重宝されているのだ。


 思えば、対人コミュニケーションがゴミだったオレが、最初に人に必要とされ、誰かから頼み事をされる嬉しさを知ったのはこの能力のお陰だったかも。

ギャクコメとはいえ、こんなうっかり家族は受け入れられるのか

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