05.変化
「お嬢ちゃん先生!この間教わった配分でソーセージ作ったから、味見してくれよ」
「その呼び方やめてって言ってんのに……ナリスさん、それより相談があるんだけど」
初夏の熱気が降り注ぐ中、オレは村の大通りにいた。
牧草を家畜にやる仕事が、このところオレは免除気味になっていて、おやつを仕込む時間として割とフリーダムになっている。
そしてオレが牧草の丘にいると、小屋で文字の勉強をしているはずのネヴァンが脱走して付いてくるという別の理由込みで。
土鍋ひっくり返し事件以来、なにやらべったりと付いてくるのだが、家族以外への対人スキルは相変わらず底が浅い。
人から拒絶されることがあっても、こっちから否定することが出来なかった前世。未知の体験で未だに対応が謎だ。
もはや縄使いのエキスパートである姉さんが、今はネヴァンを屋内に縛り付けているはずだけど……。監禁がお家芸という、苦笑いしかない。
「お、なんかまた新しい道具か?」
強面のおっさんは、精霊祭の時にオレと姉さんにダメ出しをされた肉屋兼鍛冶屋の店主だ。
店が休みの日や、冬場はよくうちにきて料理教室にも参加しているので、オレが家族以外で気さくに話せる人の一人。
「うん、こういうヤツを作ってみたんだけどさ」
「……武器か、お嬢ちゃん先生」
「ちげーわ!」
言われると思ってたよ……。
魔物肉の下処理用に、開発した、いわゆる前世のテンダライザー。肉の筋切り器だ。
なにしろデカいものが多い、フォークで穴を開けるなんてやっていたら腕が吊る。
かといって筋組織をむやみに肉叩きや包丁の背中で叩いていけばいい、ともならない。部位によっては組織破壊するのは難易度が高すぎる。
よって、オレの前世知識と現状の使いやすさを考慮して生み出したのが、毛先が金属の細い針で出来た巨大ヘアブラシみたいなものだ。
大きさと握りやすさのせいで、ちょっと平たくて針が細かい釘バッドに見えてしまう。




