04.変化
「じゃ、代わりに新作の麺を食べてくれるかな……?それで味の感想が知りたいんだけど」
「やったぁ、他のもあるの!?アスラン天才!!」
「姉さんも、リシィもロニも……みんな、ありがとう」
自分のこと以上に怒ってくれて、オレは嬉しくて。
……渾身の炊き込みご飯が台無しにされたことはすごくムカつくけど。
また少し自分に自信が付いた気がする。転生して、少しずつ大嫌いだった自分という存在を認められるように。
お礼を言われた相手は、三人揃って何故お礼を言われるのかわからない顔をした。
そういう「当たり前」が、まだ慣れなくてくすぐったい。
照れ笑いして胡麻化すと、あたり一帯が謎の空気になった。
「――あああもう!!うちのアスランが可愛い!!!嫁には出さないわよっ!!」
「……やっぱり美少女だわ……無自覚がまた罪よ……」
姉さんとリシィがなんだかわからないことを言っているけど、予定と違うメニューになったオレは”空間収納”からあれこれ出していてツッコミそびれた。
かき揚げとかも、色々作るべきだったなぁ。
白身系の味の魔魚で試作したかまぼこも、まだオレの中では満足していないんだけど。
出汁に野菜も肉も入っているとはいえ、蕎麦だけなのはなにか物足りないので、つみれや野菜をトッピングするのに大慌てする。
「……これ」
今や全員にハブられて立ち竦んでいるネヴァンにも、最後に熱い蕎麦が入った器を差し出す。
いつも取り巻きがいたガキ大将も、今やボッチである。
悔しいけど、いじめは前世のオレが散々苦しんだものだから。
渡す前に、充分に加減をして、オレはロニが打った方と反対側のネヴァンの頬を平手でスナップをきかせて叩く。
「許したわけじゃねーから。今回は見逃すけど、次に同じことしたらこんなもんで済まないと思え。食べ物を無駄にすんな」
「…………ごめん……」
消えそうな声で、確かに謝罪が聞こえた。
人を殴ったりしたことは前世込みで未経験で、充分手加減したはずだけどネヴァンの頬はオレの手形が相撲取りのサインばりにくっきりと。
コミュ能力は転生年齢より更にまだ低いオレだけど、前世の十六足す六歳としては大人気ないのかな、オレ……。
「腫れてるから、冷やせよ。飯が終わったら、冷たいタオルやるから」
オレは何か対応を間違えたのだろうか。
結果、蕎麦は大いにウケてくれて、醤油も出汁も手応え抜群だったのだが。
この後から、何故かネヴァンはガキ大将からオレのストーカーとなり、ロニやリシィ以上にオレの周囲に張り付くようになった。
何故だ……オレのコミュ力では全然正解がわからない。
なんでだ!!!
怖くて、心の中をサイコメトリーすることも出来ない。
作中のものは、あとで追加やなんかでレシピを入れたほうがいいのか迷っています……。
エルが今後やらかしたものには、載せます。




