02.変化
ブチギレ
「風の精霊よ、その御力の加護を言祝ぎ参らせよ!”風塵弾”!」
小屋から飛び出してきたネヴァンが、人を突き飛ばす程度の風魔法を発動させた。
そしてその先には、誰でもなくオレが頑張って仕込んだ土鍋が着火を待って鎮座していて。
魔法が直撃した鍋は、ひっくり返ってあっけなく地面に転がる。
何人かの悲鳴が聞こえたような気がするが、何よりオレの頭の中が怒りで真っ白になった。
転生前だって、オレが悲嘆や絶望に暮れることがあってもキレたことがなかった。自分のパワーが制御出来ないからセーブしていたとしても、ブチギレたことはない。
そして転生してからこっち、エルと喧嘩したり何だったりはしても兄弟喧嘩的なことで、ここまで怒髪天をつくという規模はなかった。
「おい、てめェ……ふざけてんじゃねぇぞ……?」
オレの無意識は、代わりに殴ろうとしてくれた姉さんを横にどかすのを忘れていない。
「なんか言いたいなら、直接言えやボケェ!てめえが今ぶちまけた米はな、水研ぎしたあとに昆布を敷いて二時間給水させて、ふっくらと炊けつつ味が染みるようにしてあったんだよ!!炊き込みご飯だったから、具材の筍は、米の研ぎ汁でアク抜きして!!筋を取って灰汁を抜いた蕗に、長ネギは外側を炙った後に蒸して甘くしたし!!菜の花、三つ葉で彩りを重視してしめじと、皮目を炙って香ばしくした”香高鳥”のほろほろ食感とコリコリ食感を残す手間!!すり下ろした生姜と食感のための細切りにした新生姜!味付けは昆布醤油と薄口醤油の合わせ醤油と、焼きゴマ、五年物のみりん!ものっそい手間と丁寧な作業で、真剣にオレが作り上げた究極の炊き込みご飯だったんだぞ!!てめえが今この場でオレに頭からカチ割られても、文句は言えねぇだろうな……?一生食い物に詫びる人生にしてやろうか……?」
キレたあまり、オレは竜巻を起こしていた。
風の魔法の中でも上位魔法、あたりの地面から雑草を根こそぎ巻き上げる半径二メートル規模で、いつでもネヴァンに当てられるように中は”鎌鼬”が発動するダブルコンボ。
「主君!!!いけない!!」
「うるっせえ!!離せ!!」
念波でオレの怒りが伝わったのか、いつの間にか移動してきていたエルヴェシウスに背後から羽交い締めにされたけどそんなことで止まるはずがない。
みんなにおやつを任された、楽しみにされているという事はささやかかもしれないけど、前世でも味わったことのない信頼や期待。
家族で楽しくご飯をすることが嬉しくて、少しずつ近所の人たちにも馴染んで来て、だからこそガッカリされたくなくて毎日美味しくなるように工夫してたんだ。
たかが――って思われるかもしれないけど、蔑みの目や拒絶の顔に怯えなくなって、やっとオレは――。
「ぶっ飛ばしてやる、絶対許さねぇ!!」
何より悩んだのは、炊き込みごはんの具でした……。
春の野草をメインにしようかと思ったのですが、フキノトウは下処理しても結構苦い、つくしなんて膨大な下処理してもあまりその辛さに応じた味もなく、ノビルなら美味しいし使いやすいかなとおもったんですがユキノシタと同じくらい知名度がなかった……野草のキングは個人的にユキノシタです(子供のときは夕飯前に庭から取りにいかされた関東県民)天ぷらにすれば他になくても文句言いません。
そんなこんなで、一番馴染みがありそうな蕗と菜の花で春っぽさをせめて要素に加えました。
そしてアスランには「旨味・栄養付与」能力があるので、通常の仕上がりにプラスされてるはず。
調理が増えてきたのに加えて、キャラクターも増えてきます。作者のPCは利子ぃって変換するのをやめてくれないので、新キャラとも戦争しています




