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守護霊とうっかり道連れ転生  作者: 相木ナナ
20/28

10.前進

 父さんに限れば、靴が無いだけなのは奇跡だ。

 母さんが一週間迷子にならないくらいのミラクルである。


 魔物の羽毛で編んだ長いひざ掛けは、時に体に巻いても防寒対策になるので、父さんはぐるぐるまきのまま味噌汁を飲ませることにした。


「もー、アスランったらあまやかして!寒いならあたしの加護で暖めてあげるのに」


「姉さん……真冬に家の壁を壊したくないから、よそう?」


「そうね、確かに。ヤるなら春だわ」


「……姉さん、雑煮を作ったから出来れば二種類とも味見してみて」


 春までに、姉さんがこの件を忘れてるだろう。うん。

 多分、忘れるというより上書きで次の事件を起こしているんだとしても。


「新しい茶色のスープね~」


「醤油っていうの、それで味つけたやつだから」


主君ミロード、餅は一人何個切ればいい?」


「え……んー……味が2つだから小さめで二個?その後にそのまま食べたいから固くならないように”収納”しといて」


 冬に餅ときたら、海苔と醤油の磯辺焼きを始めとして沢山味が楽しめるよな。

 醤油という一大勢力の参入で、みたらし味を始めとする味覚が広がるし。


 ああ、なんてことだ……!あんこを未だ開発していないとは。

 せっかくの醤油だよ、これで小麦粉を改良していけばうどんや蕎麦が……。

 あ。

 

『蕎麦は未だ開発していないが、やっととりかかるのか、主君ミロード


『気づいてたら言えよ!!十割蕎麦じゃない限り小麦粉が居るからって思って、うっかり蕎麦そのものを”種子生成”してなかったじゃんか』


『……フランスでも蕎麦の歴史は古い。ガレットは蕎麦粉だ、忘れるとはなんということだ』


『エルが気づいていたんなら、自分から勝手に開発したっていいんだろ!』


 そんなにこだわりがあるなら、どんどん作ればいいのに。

 しかしフランスと蕎麦粉か、意外な組み合わせだけど確かにガレットって、フランスの郷土料理だったな。


 時々元フランス守護霊アピールしてくるけど、エルの場合元フランス人というカテゴリーじゃないような気がする。いいとこ、元フランス人の霊だろ。

 オレがエルと”念話”でもめている間に、家族は暖炉を囲んで雑煮を食べていた。


 蕎麦はとりあえず来年の抱負の一つとして、オレもできたての醤油の雑煮をすする。

 硬い餅を焼いたやつではないので、放っておくと溶ける。

 柚子の香りつけがいい感じだ、舞茸は食感でも旨味でも美味しい。表面に”岩石鶏”の脂がほんのり乗っていて、醤油の味がまろやかになる。


 味噌味も、香ばしいネギと餅が絡んでいて醤油より濃厚なコクがあった。

 しいたけも悪くないけど、ここはしめじのが良かったかも。

 味噌が麦味噌も混ぜたことで、素朴な味が出てるし。これは鶏系の肉より、牛や豚系の肉でとことんこってりでも良かったかも?

 

 反省は次回に生かすとして。

 つきたての餅を磯辺焼きにするところから、みたらし味、わさび醤油、菜の花と大根おろしのポン酢、ナッツとゴマの変わり種や生姜と黒糖、砂糖醤油など、お腹いっぱいまで試して。


 春は草餅なんかもありだなぁと、寒い冬はあったかい気持ちで過ぎた。

お雑煮は、同じ県内でも醤油、味噌、白だしと違っていました(自分調べ

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