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守護霊とうっかり道連れ転生  作者: 相木ナナ
11/28

01.前進


「アスラン?具合悪いの……?」

「げ、元気だよ」


 茶髪のこの子は――ヤバイ、子供の数はそう多くないのに。名前出てこないとすぐにサイコメトリーで個人情報を探り出すオレ。

 ”分身”を笑えない社交性。しかし今更誰だっけとか聞けるわけがない。


 ふむ、木の加護持ちのロニという名前で、同い年の5歳と……。

 ……何を話せばいいんだ。5才児にいきなり詰む。


「アスランって、お兄さんや、レヴィちゃんと一緒だと楽しそうだけど、家畜に牧草上げたりしてる間は全然おしゃべりしないよね」


 兄さんって誰だ。エルか!近所でも兄だとか叔父だとか、皆勝手に判断して深堀りしてこないのは助かるけど、とっさだとハテ?という顔をしてしまう。

 そして何の用事で話しかけてきたんだ、家族以外に察せとか出来ないからなオレ!

 

「いいなぁ、アスランは加護も2つ持ってて、”空間収納”も持ってて。ぼくもそういう特殊な能力があればなぁ」


 ロニがどんどん話してくれるやつで良かった。

 しかしまともに相槌も打てないオレは、マジで大丈夫じゃないな。

 そんでもって、前世から特殊なギミック搭載しすぎてうんざりしているオレとしては、全然共感できない話題をどうしたらいいのか。


「子供だからって言われるけど、牧草の”発芽”以外は未だ出来ないし……ハーブの種で練習してるけど、全然出来ないままだし」


 木の加護の所有者の多くが得意な基本スキル、”発芽”。これはどうも普通は種ありきだと最近知ったオレ。

 ”種子生成”があるからオレの場合その元手もなく稲作や麦、大豆だのと収穫してたけど、”成長促進”も半日がいいとこで土の栄養や水分がないと成長の限界がすぐにくる。


 つまりは、土の魔法と水の魔法も同時に使って、風魔法で速度そのものを加速しているオレは、充分に加護の範囲を逸脱しているのだ。

 ああ!”栄養付与”の魔法を生み出してるから、もう無意識に田畑の土壌はオートで回復してるのか……。

 さっきマヨネーズとかも作ってたけど、”撹拌”も風魔法で片付けて複数作業してたし、単なる楽しい農作業ではないと……?


「アスランは、もうハーブとか育てられる?」


 言えねえ。

 既に穀物を国中に流行らせているとか、野菜から果物まで”品種改良”して名前をつけて回っている元凶だとは。

 ロニくんよ、君は相談する相手を根本的に間違えまくっているぞ。


「……ハーブなら」

 昨日乾燥させて、粉末にして塩とハーブミックスにして。バジルソースも作って、イタリアンドレッシングもついでに作ってました!


 後半の事実を言葉にしてないだけで嘘ついたわけじゃないと言いたいが、これは結構なごまかしだよな。


「えーすごいなぁ!ぼくも加護の力が強くなるように、もっと木の精霊(グヴィンディ)さまにお祈りしよう」


 オレは加護がエルヴェシウスだけど、その精霊王は完全に作業パートナーだ。

 ちやほやと祈るより強く出たほうが、なんなら左様しそうだけど精霊信仰する世界にそんなことは言えないよな。

 家畜放牧終了のベルが、小屋から鳴るのを良いことにとっとと退散するオレ。

 たった二言しか喋ってないけど、頑張ったな、オレ。ほんと話を聞くことから始めよう。


「アスラン、またあしたね」


 明日って、毎日話さなきゃいけないのか!?

 友達というものはそういうものらしいが、思わず硬直した。もう既に話題がないのに、どうすればいいのか。


 そしてオレが”分身”のところに戻ると、大量の瓶と蓋と更にブレンド試作された味噌に、ジャムの山。

 

 おおう、簡単な作業と試作を投げっぱなしにすると、オレの嗜好にはないこともしてくれんのね。


 存在は知ってたけど、ジャムというものは特にほとんど食べる機会がないまま前世は終わっていた。

 砂糖があって、”品種改良”されたフルーツも沢山ある。酒や酢だけじゃなくて、こういう使いみちもあるのか。

 林檎ジャム、いちごジャム、ぶどうジャム。すももジャムやラズベリージャム、オレンジジャム……マーマーレードに”命名”せずに統一してくるあたり、優秀過ぎる。


 パン作りに入ったら、このジャムを活かそう。

 そう思いながら、オレはジャムからヒントを貰って砂糖をまぶしたドライフルーツを大量に製作したのだった。

 そしてこれが想定より大幅に、国中のデザートとして定着した。

 

 なんやかんやロニはこれをキッカケに友達第一号となり、そこから小さな交流が生まれることになった。

 オレの個人史としては、ドライフルーツが流行ることより大きな前進である

たった二言で限界きちゃった。

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