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世界観察  作者: ちゃぶ
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学習する

どれどれ2ページ目はと。


【さて、これから貴方にはある星、またはある一定の空間に関する管理をしていただきます。管理といっても特に専門知識が必要なわけでもなく、転生者の細かな振り分けや大まかな環境の調整、種族間や国家間のバランス調整、文明への刺激等をしていただきます。また、担当区域によって内容が異なる場合がありますので、詳細は貴方の教育係となった方に聞いて下さい。】


なにこれ超ざっくりしてる。要するにとある文明の影響範囲内を安定的に存続させてってことなのかな?しかし刺激というのは……


【自室にある端末を利用し、教育係の方に連絡してください。情報室にて本人確認基準を作成し、製造所にてアバターを生成してください。生活方法について基本的に教育係の方と共に行動し、学習してください。また教育期間は1年間以上5年間未満で6ヶ月以上を下界生活が必須となります。】


ん? アバター? 下界生活? なんのことだろう。えっと次のページは……Q&Aか。ってもうなの?! うわっ、14ページのうち説明文は2ページだけで残り全部Q&Aかよ。これ説明が少なすぎて後から質問されたことを付け足した感じだな、多分。


さっきから適当な対応に短すぎる説明を受け、もしかしたらここの人達、いやこの組織全体としてかなり適当なのかもしれないという、ちょっとした不安がよぎった。そう、ちょっとした。

『適当にてきとう』とでも言うか、要領よく手を抜いて楽をしたり効率化を図るのはいい事だと思う。形式に縛られず現場の判断を尊重するということも。だか大切な基盤までもが適当だとなってくると後々にのしかかってくるのではないか。そのような不安だ。


例えばどんなQ&Aがあるんだろう。

なになに……


【元の世界に帰ることは出来ないのですか。 ───出来ません。元の世界を担当する事は禁止されています。但し、中央統制室に認められた場合のみ、条件付きで行くことは可能です。】

え、帰れるんだ。死んだのにそれ出来ちゃっていいんだ。でも多分この認められるのか条件が厳しいんだろうなぁ。


これは驚愕の事実と言えるだろうが、早く元の世界に帰りたいという欲求は殆どなかった。そこから離れてからあまり時間がたっていないからだろうか、今いる方の空間が本業になるという実感がまだ湧いていない。時が経てば帰りたいという欲求が増してくるのだろうか。


えーっと他には……


【絶対に管理業務をしなければならないのですか。拒否することは出来るのでしょうか。───拒否するという制度はありませんが、管理は必須ではありません。ただし3年間以上運営に携わらないか、何の活動もしない場合には転生もしくは無に還すことも考えられます】


無に還すって……なにそれこわい。

これ実質拒否権無いようなもんじゃないか。

まぁなんというか、転生モノの作品は色々と消費してきたけど、転生させる側に立ってみるのも面白いかも。

正直見てる分にはいいけど、魔物と戦ったり人類の期待背負ったりするのとか普通にしんどそう。間違いない。

とはいえ技術があまり発展していない世界で一般市民として生活するのも、元の世界での便利さにどっぷり浸かっていた僕には無理そうだ。

となるとこの管理者側というのは盲点。

しかし転生か管理者か選べないのは仕方ない。ん? 今僕は転生した……訳ではないか。体そのままだし。なら転移?といっても死んだはずなんだよな。そこんとこどうなってんだろうか。


そういや自室にある端末っていうのはどこ?

そう思い部屋の中をくまなく、とはいってもなにせベッドと台所ぐらいしかないので1分とかからず大体見回したが、それらしきものは無い。

ダメだ。何も無さすぎてなにか変に嫌な感じになってくる。

えーっとQ&Aにはっと、えー、あった。


【端末というのはどこにあるのですか。というか部屋に何も無さすぎて嫌になってきます】


全く同じこと思ってて草。


【───ドアノブの右の辺りを3回タップすると端末が出てきます。あと家具とかは自分で追加してください。】


へーそうなんだ。

えっとドアノブの右辺り……ってここでいいのかな。パッと見なにもないけど。


そう思いつつもタッチパネルに触るような具合に3回連続でタップしてみると、なんとも不思議なもので、壁が変形するわけでもなく、黒い板の様なものが壁を通り抜けて浮かび上がってくるようだった。その黒い板は大体A4ぐらいの大きさだろうか、十分に薄く、驚くことに重量を感じられない。恐らく紙1枚よりも軽い。


なんだこれ。こんなに薄くて軽くて折れたりしないのだろうか。

しかも薄すぎるのもあって、一切の物理ボタンが無いじゃないか!

マジでやめてくれ、こういうのは。ほんとに使いづらいだけだから。

えっと、どこかタップすれば起動するのかな。


【端末の起動方法を教えてください。───画面を素早く3回タップすると起動します。また、その端末の所有者以外は起動できません】


えーと、起動したはいいがどうする、か。

まずは、【初めての方はこちら】を押してみよう。


【本人確認のために端末本体を持ったまま動いてください】


動くとは。歩いたらいいのか?

適当に部屋の中を歩き回る。


【成功しました。次は声を出してください】


「あーーーーーーーー」


【成功しました。所有者登録が完了しました。以後の利用は本人に限られます】


なにこれ。性能よすぎん?

スマホの指紋認証とかだと何回も試したけど、なんか近未来って感じだぁ。


今後の流れ、緊急連絡、タブレットという3つの選択肢がある。

なら今後の流れだな。ポチッと。


【今後の流れ まずは教育係の方の連絡先がタブレット→連絡先に入っているので、連絡をとって共に情報室へ行き、本人確認基準を作成してください】


なるほどね、そんなこと書いてあったね。

えっとホームボタンこれか? 露骨に家のマークがあるけど。で最初の画面に戻って、タブレット押してと。

うわっなにこれ。まんまLpadじゃん。

画面にはまさかのLpadと恐らく全く同じものが表示されている。さっきのプロジェクターといい、一体どこから入手しているのやら。


まあそんなことは僕が死んだのにここにいる、ということに比べればどうでもいいようなことだろう。そういえば元の世界にもいけるみたいだし、普通に買えるのかな。

よし、連絡先はこれか。一覧を押して教育係をポチと。


───ピピピピ、ピピピピ

えっ電話? 急にちょっと待って誰が出るの


「はーい」

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