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ステータスとスキル


 1日ぶりの再開を果たした俺と祈は今後の話し合いをする為に昨日も使った会議室に来ていた。


「ん、美味しい」


 淹れてもらったお茶を飲んで既に和んでいる祈。

 こうして静かにしていると小動物的な可愛さがあるな。

 そして、そう思ったのは俺だけではなかったらしく、

 

「可愛い」

「うむ、ここまでの器量好しは我が国でも珍しいな」

「ええ、というかエルフ族にも中々いませんよ」


 リア達が揃って祈の事を褒めるが、当の本人はお茶請けに出された煎餅(せんべい)を食べながら静かにお茶を飲んでいる。

 というか今の言い方……


「ヘイゼルさんってやっぱりエルフなんですか?」

「ええ、そうですよ。そういえば、役職は言いましたが、種族までは言っていませんでしたね」


 俺の問いを肯定するヘイゼルさん。

 耳が長いからそうじゃないかと思ってたけど、ごたごたしてたから確認している暇がなかったんだよな。


「失礼かもしれないですけど年齢は?」

「今年で248歳になりますね。まだまだ、若造ですよ」


 すごいな、何がすごいって248歳を若造って言い切ったことがすごいよ。

 見た目どう見ても20代前半くらいにしか見えないのに。

 異世界に来てから一番のファンタジーかもしれない。

 俺がヘイゼルさんの年齢に驚いていると、祈が口元をハンカチで拭っているのが目に入る。


「お待たせ」

「祈、いいのか?」

「ん、大丈夫。満たされた」

「えっ、お腹が空いてたから黙々と食べてたの?」

「こっちに来る為の準備で忙しくてご飯食べてる暇がなかった」

「それでしたら今からでも食事を用意させますが?」

「平気。今食べたから昼まで持つ」


 祈はこういう時に嘘は言わないから大丈夫だろう。


「それで、何から始める?」

「とりあえず、異世界に来たらまず最初に確認することがある」

「確認?」

「自分の能力値」


 つまりはステータスか。

 確かに存在するなら見てみたいな。


「俺はやっぱり魔法が使えると良いなー」

「同じく、火魔法とか派手でカッコイイ」

「でも、雷魔法とかの方が便利そうじゃないか?」

「氷魔法も捨てがたい」


 俺と祈の二人で「どんな魔法が使いたいか?」談議で盛り上がりかけるが、すぐに確認した方が早いという結論に落ち着く。


「でも、どうやって確認する?」

「最初はお決まりの言葉を言うのが良いと思う」

「ああ、()()()

「というわけで兄さんもご一緒に」

「えっと、盛り上がってるところ悪いけどそんな方法じゃステータスは……」

「「ステータス!」」


 リアが何か言っていたが俺と祈が同時に叫んだせいで聞き取れなかった。

 しばらくの間じっと待ってみるもののステータスが頭に浮かんだり、目の前に表示されたりする気配はない。

 いや、分かってたけどな?

 こんなのでステータスが見れるのは二次元だけだって。


「……流石に声に出したくらいでステータスが見れるなんて考えは都合が良すぎたか」

「当たり前でしょ。ステータスを確認するには"鑑定"のスキルか、専用の魔道具を使わないと確認出来ないのよ」

「まあ、そうだよな、って祈?」

 

 どうしたんだ、と聞こうとしてやめる。

 祈が自分の目の前の空間をジッと見つめていたからだ。


「……兄さん」

「どうした?」

「兄さんには私の目の前に()()あるように見える?」

「いや、何も見えないな」

「そう……、ちょっと待ってて」


 祈が目の前の空間に向かって手を振ったり、何かを触るような仕草をする。

 まるで何かを操作しているような仕草だ。


「これで良し。兄さん」

「ん? うおっ!?」


 突然、俺の目の前に半透明な板が現れ、そこには文字が書かれているのが見て取れた。


 神凪祈からのパーティ申請を受諾しますか? 

        Yes No


 これって……


「ゲームのパーティ申請?」

「兄さん、受諾してからもう一回言ってみて」


 受諾……

 Yesの部分を押せば良いんだよな?

 祈に言われた通りに半透明な板のYesの部分を触ると板が消える。

 そして、もう一度「ステータス」と口にするとさっき程より少し大きな板が目の前に現れ、そこには俺のステータスとおぼしき情報が書かれていた。

 俺はその情報の()()()部分を見て言葉を失い、呆然としてしまう。


「えーと、カナタ? イノリ? さっきからどうしたのよ」

「うむ、その方法ではステータスは見れないと分かったであろう?」

「魔道具を用意してますので、ステータスを確認するならこちらを使って頂ければよろしいかと」


 リア達の言葉で俺は正気に戻り、内心の動揺を悟られないようにすぐさま言葉を返す。


「あ、えっと、すいませんヘイゼルさん。魔道具はいらなそうです。俺も祈もステータスを確認できたので」

「「え!?」」

「か、確認できた? いったいどうやって?」


 リアとエリオットさんが驚き、ヘイゼルさんもやや慌て気味に(たず)ねてくる。


「たぶん、祈のおかげだと思います。とりあえず、ステータスを書くので何か紙を貰えますか?」

「分かりました」

 

 ヘイゼルさんはそう答えると部屋の角にある棚の引き出し開けて、中から紙を数枚取り出す。

 その間に俺は制服の内ポケットからボールペンを取り出し、一本を祈に渡しておく。


「どうぞ」

「ありがとうございます」


 渡された紙に祈と共にステータスを書く。


「ん」

「こんな感じです」


 書き終えたのでリア達の前に見えるように置く。

 俺と祈のステータスはこんな感じだ。


神凪(かんなぎ)(かなた)

Lv:1 種族 人族

MP 1000

STR 200

VIT 200

AGI 200

DEX 100

ユニークスキル


エクストラスキル


ノーマルスキル

剣術Lv:2 魔力操作Lv:5 料理Lv:5


称号

神の加護


神凪(かんなぎ)(いのり)

Lv:1 種族 人族

MP 3000

STR 100

VIT 100

AGI 100

DEX 200

ユニークスキル

遊戯者(オーグメンテッド)の憧れ(・リアリティ) 霊魂記憶(ソウル・メモリー) 並列思念(パラレル・プロセッサ)


エクストラスキル

錬成Lv:1


ノーマルスキル

銃術Lv:8 土魔法Lv:1 調合Lv:4


称号

神の加護


「……兄さん」

「なんだ?」

「ドンマイ」


 おい、こら、やめろ、そんな温かい目でこっちを見るな。

 ていうか、リア達はリア達で微妙に目を逸らすな、悲しくなってくるわ!


「うぉっほん、あー、私の方からステータスの解説をしていこうか。このステータスがどれくらいのものなのか二人とも分からないであろう?」

「……よろしくお願いします」

「うむ、まずはレベルと種族だが、レベルはこっちに来たばかりなのだから1で当然だし、種族に関しては見たままだな」


 ここまでは特に問題ないので俺も祈も黙って頷く。


「次にパラメータだな。筋力(STR)耐久力(VIT)敏捷(AGI)器用さ(DEX)は個人差はあるが、二人とも概ねレベル1の平均くらいか」

魔力量(MP)に関してはどうですか?」

「カナタ君のレベル1で1000という魔力量はかなりの逸材だ。しかし……」


 エリオットさんの目が祈のほうに向く。

 そうだよな、俺の1000で逸材なら祈の3000はなんて表現したらいいか分からないよな。


「ん、続き」

「うむ、では次はスキルについてだ。三種類に分けられているのは見てもらえば分かると思うがまずはノーマルスキルについてだ」


 祈が続きを促したのでエリオットさんがスキルの説明を始める。


「ノーマルスキルは簡単に言うと努力次第で取得することのできるスキルだな。二人共自分のノーマルスキルで既にレベルが上がっているものがあるであろう? それは、君達が今まで努力して身に付けた技術のはずだ」


 俺はステータスをもう一度見てみる。

 ……確かに、そうだな。

 剣術は中学の時に剣道を習ってたからレベル2、料理は常日頃からやってるからレベル5ってことか。

 祈のほうはサバゲーに定期的に行ってるから銃術がレベル8、動画サイトで見た実験とかを自分でもやってみたりするから調合がレベル4ってところか。

 でも、それだと……


「俺のスキルで"魔力操作"って言うのがあるんですけど、これは?」


 何故かレベル5まで上がってるが、正直、心当たりがない。


「魔法を制御するのに使うスキルね。スキルレベルが高ければ高いほど精度の良い魔法が使えるわ。でも、貴方達の世界では魔力は周知されていないのに何でこんなに高いのかしら?」


 リアが質問に答えてくれたが、肝心なところは分からなそうだ。

 仕方がないのでこの疑問は一旦置いといて、続きをお願いする。


「次はエクストラスキルだ。これは特殊な条件を満たす、もしくは特定の種族しか取得できないスキルなどが分類される」

「俺は持ってないな」

「私は"錬成"を持ってるみたい」

「錬成はドワーフが生まれつき持ってることの多いスキルですね。人族で持ってる人は珍しいですが、ゼロではありませんね」


 今度はヘイゼルさんが錬成について説明してくれる。


「次はユニークスキルだが、これは文字通りだな。その人間しか持ちえない固有のスキル。持っている人間は相当レアなのだが……」


 全員の目が祈に向けられる。


「三つ持ってる」


 淡々とそう答える祈。

 どうやら、家の妹は俗に言う"チート主人公"なのかもしれない。

 妹に素質があるのを兄として喜ぶべきなのか。

 一人のオタクとして大したスキルが自分になかったことを嘆けば良いのか。

 そんなことを思いながら、思わず黄昏(たそがれ)てしまう俺なのであった。


ギリギリセーフ!

早くも毎日投稿という目標を破るところでした……

まあ、万が一破ってしまったら、どこかで帳尻を必ず合わせるようにするので投稿がなかったら、「どこかで1日2話投稿するんだなー」くらいに思っていてください

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