スキルツリー
投稿再開します!
ゴブリンジェネラルとの戦いから一夜明けた翌朝。
俺と祈、そしてリアは訓練場に来ていた。
「ふぁ~」
「ん、兄さん寝不足?」
「ああ、ちょっとな……」
「……私は休むように言ったはずだけど?」
「大丈夫です! バッチリ、ハッキリ目が覚めました!」
どうやら、リアはまだお冠らしい。
今日は刺激しないように細心の注意を払わないと駄目そうだ。
「それで、今日訓練場に来たのは……」
「ん、ステータスやスキル、そしてドロップ品の確認の為」
「だったわね」
昨日は確認している余裕がなかったからな。
という訳でまずは……
「「ステータス」」
神凪悠
Lv:15 種族 人族
MP 2300
STR 2100
VIT 1900
AGI 2300
DEX 1500
ユニークスキル
エクストラスキル
ノーマルスキル
剣術Lv:7 生活魔法Lv:2 魔力操作Lv:6 料理Lv:5
称号
神の加護 Fランク冒険者
神凪祈
Lv:15 種族 人族
MP 5000
STR 1900
VIT 1900
AGI 2200
DEX 1800
ユニークスキル
遊戯者の憧れ 霊魂記憶 並列思念
エクストラスキル
錬成Lv:2 テイムLv:2
ノーマルスキル
槍術Lv:5 斧術Lv:5 銃術Lv:8 土魔法Lv:2 魔力操作Lv:2 調合Lv:4
称号
神の加護 Fランク冒険者
「「おおー」」
パラメータも遂に2000を超えるのが出てきたな。
祈も2000越えが……うん、魔力の数値は見ないようにしよう。
「スキルは……武器系スキルの伸びが良いな」
「ん、兄さんは剣術のカンストが見えてきた」
この世界のスキルはレベル10が上限らしいので、確かにあと少しでカンストしそうだ。
……そう考えると祈の銃術も相当高いんだよな。
もしかして、サバゲーだけじゃなくてFPSゲームをやってたのも影響してるのか?
「どうだったの?」
「えっと、俺も祈もパラメータが……」
「ん、兄さんちょっとストップ」
俺がリアにステータスを教えようとすると祈が止めに入る。
「どうしたんだ?」
「ん、実は遊戯者の憧れに新機能が追加された」
「「新機能?」」
「それを使えばわざわざリアに言う必要なくなる」
「そうなのか? ていうか、ユニークスキルに能力が増えるなんて事あるんだな」
「ええ、稀にそういうことがあると聞いたことがあるわ。というかいつの間に?」
「ん、実は……」
祈曰く、昨日のゴブリンジェネラル討伐でレベルが15になったことで新機能が解放されたらしい。
その新機能が……
「スキルツリー……か?」
「ん、スキルツリー」
マップ
範囲拡張Lv:1(5)―
インベントリ
容量拡張Lv:1(5)―
パーティ
上限拡張Lv:1(5)―
「パッと見た感じだと遊戯者の憧れの基本機能……マップ、インベントリ、パーティの強化用スキルツリーってところか?」
「ん、正解」
「で、問題は後ろの"5"っていう数字だな。多分強化に必要なポイントか何かだと思うんだが……」
「ん、今24ポイント持ってる」
「初期ポイントが24ポイントなのか?」
「レベルが上がる毎に1ポイント貰える」
なら、初期の10ポイント+レベルアップで得た14ポイントで24ポイントか。
レベルアップでしかポイントを増やせないとしたら使いどころは慎重に選ばないと……
「ん、とりあえず全部に振ってみる」
「はっ!? あっ、祈ストップ!」
祈の暴挙を止めようとするが、時すでに遅く……
範囲拡張Lv:1が解放されました!
マッピング距離が2倍になりました!
容量拡張Lv:1が解放されました!
インベントリの容量が2倍になりました!
上限拡張Lv:1が解放されました!
パーティメンバーの上限が3人になりました!
「ああ……」
「ん、これでよし」
そうだった……祈はこの手のスキルツリーは満遍なく取るタイプだった……
「まあ、次の取得先が見れるようになると思えば良いか……」
「ん、そういうこと。次の取得先を見る前に……リア」
「私……って何これ? 透明な板?」
リアの目の前にウィンドウが現れる。
ああ、さっき言ってた「リアに言う必要ない」ってそういうことか。
パーティメンバーになればウィンドウもステータスも見えるようになるからな。
「……パーティ申請?」
「ん、イエスを触ればリアも遊戯者の憧れのスキルが使えるようになる」
「えっ、カナタだけしか使えなかったんじゃ……?」
「ん、上限が三人に増えた」
「そ、そうなの? えっと、こうかしら……?」
リアがウィンドウにゆっくりと触れると……
リーゼリア・K・フェルミナスがパーティに加入しました!
リアのパーティ加入のログが脳内に響く。
どうやら、うまくいったみたいだ。
「あっ! 祈の目の前に透明な板が見えるわ!」
「ん、ちゃんと私のスキルの影響下に入った」
「みたいだな」
これでいちいち俺達のステータスを口頭で伝えなくても、ステータス画面を見せるだけで済む。
さて、無事にリアもパーティに入ったところで、今度は三人でスキルツリーを確認する。
マップ
範囲拡張Lv:2(5)
範囲拡張Lv:1<
PTM表示(5)
インベントリ
容量拡張Lv:2(5)
容量拡張Lv:1<
解説表示(5)
パーティ
上限拡張Lv:2(5)
上限拡張Lv:1<
メッセージ(5)
「うん、見事に枝分かれしたな」
「ん、予想通り」
「これがすきるつりー? なの?」
強化に必要なポイントは5ポイントで変わらずか。
さて、残り9ポイントをどうするか……
「拡張系のレベル2が出てきたのは予想通りとして、問題は同じポイントで取れる残りの三つか」
「ん、PTM表示はパーティメンバー表示だと思う」
「だな。たぶん、マップにパーティメンバーの位置が表示されるとかじゃないか?」
「ん、なら必要ない」
「……必要ないの?」
だって俺達三人が離れてることほとんどないしな。
「次の解説表示は……欲しいな」
「ん、欲しい」
「そこは即決なのね。これを取るとどうなるの?」
「「アイテムの解説が出るようになると思う」」
「……なるほど、それは便利ね」
今まではインベントリに入れたアイテムは名前が出るだけだったけど、それに解説が付くとなると格段に便利さが増す。
具体的には俺達の知らないアイテムもインベントリに入れてしまえば解説してくれるので調べたりする必要がなくなる。
「これは取るの確定でいいと思うけど……」
「ん、一応最後の一つも見る」
「メッセージか……シンプルだな。これはパーティメンバーに伝言を送れるとかだろ」
「……必要ないわよね? 今のところは」
PTM表示と同じだな。
俺達がほとんど離れない以上、メッセージでやり取りする機会はほとんどない。
「じゃあ、5ポイント使って解説表示を取得だな」
「ん、なら早速……」
祈がウィンドウを操作する。
解説表示が解放されました!
インベントリのアイテムに解説が付くようになりました!
「わっ! びっくりした……」
「ああ、最初はびっくりするよな」
急に脳内にログが流れ込んできてリアが驚いている。
祈はその間にインベントリを開いて、アイテム欄を確認しているようだ。
「ん、これは便利。見て」
<バンド草>
薬効成分を含んだ薬草の一種。
回復ポーションの調合素材。
「へぇー! こんな風になるのね」
「益々ゲームチックになったな……便利だから良いけど」
後は、スキルツリーがどうなってるかだけど……
インベントリ
容量拡張Lv:2(5)
容量拡張Lv:1<
解説表示
どうやら、解説表示の先はなさそうだ。
「さて、これでステータスとスキルの確認は終わりだな」
「ん、後はお待ちかねのドロップ品の確認」
ゴブリンジェネラルのドロップ品はとりあえず全部インベントリに放り込んである。
表示して見ると……
<Cランクの魔石>
ゴブリンジェネラルの魔石。
<剛力の長斧>
使用者の筋力を引き上げる秘宝具。
STR+500。
<魔導の指輪>
持ち主の魔力操作を引き上げる秘宝具。
魔力操作+1。
他にもいくつか宝石がドロップしていたが、普通の宝石だったので置いておく。
「これが"秘宝具"か」
"秘宝具"は魔道具と違い魔力を消費せずに使うことができ、ダンジョンでのみ入手が可能なアイテムだ。
「豪華だな。ゴブリンなのに」
「それはそうよ。階層主はどんな魔物でもドロップ品を落とすし、ましてや今回は本来の階層主より強いのを倒したんだから」
「ん、苦労して倒した甲斐があった」
「で、これの分配だけど……まあ、考えるまでもないな」
俺は魔導の指輪を、祈は剛力の長斧をそれぞれインベントリから取り出し、試しに装備してみる。
「魔力具現化」
魔力で大剣を生み出してみるが……しばらく待っても消えて無くならない。
ゴブリンジェネラルとの戦いで魔力操作がレベル6になった上、魔導の指輪で底上げしたからか?
壊れてしまった鉄の剣の代わりになるかもしれない。
「魔力具現化……維持できるようになったのね」
「ああ、実戦で使っても問題ないと思う……祈の方はどうだ?」
「ん、力が漲ってくる。それに、武器は変えないといけなかったから丁度良い」
祈のハルバードはゴブリンジェネラルとの戦いでボロボロになってたからな。
「せっかくだから少し打ち合ってみたら?」
「そうだな……やるか?」
「ん、やってみる」
互いに武器を構え、同時に打ち合う。
魔力の刃と長斧が何度かぶつかり合うが、僅かに俺の方が押されてしまう。
「うおっ! これが剛力の長斧の力か!」
「ん! 兄さんこそ! まともに打ち込ませてくれない!」
パワーで超えられてるのが分かってるんだから当たり前だ!
俺達は互いの武器の性能を把握するまでしばらく打ち合いを続け……
「っと! こんなもんか」
「ん、武器の性能は理解した」
「……今更だけどどうしてカナタは大剣を使ってるの? 片手剣の形にもできるのよね?」
俺と祈の模擬戦を見ていたリアが疑問を口にする。
「リアの言う通り片手剣の形にもできるぞ? ただ、片手剣にするメリットがなくてな……」
「メリットがない……?」
「俺も魔力具現化を編み出した時に気付いたんだけど、魔力って固さはあるけど重さはないんだよな」
今もそうだが、右手で握ってる大剣からは何の重みも感じられない。
しかし、実際に物を斬ったりはできているので固さは確かに存在している。
どれくらいの固さなのかは俺も分かっていない。
少なくとも、鉄の剣でかすり傷しか付けられなかったゴブリンジェネラルの体を斬り裂けたのだから鉄よりは固いのだろう。
「重さを考えなくていいなら、攻撃範囲の長い武器を選んだ方が良いだろ?」
「……なるほど、一理あるわ」
勿論、武器にはそれぞれ良し悪しがあるので一概に長くてデカい方が強い訳じゃない。
例えば、狭いところで大剣を振り回せないしな。
「まあ、せっかく形を変えられるんだ。その都度使い分けるさ」
「ん、やっと兄さんもちゃんと魔法が使えるようになった」
……厳密には魔法じゃないんだけど。
あくまでも魔力操作の応用の範囲だ。
「とまあ、こんなところだな。この後は……」
「ん、行きたいところがある」
「街かしら? なら城門のところで待ってて。ちょっと取って来る物があるから」
そう言い残して、リアは訓練場から出て行った。
俺は大剣を消し、祈もインベントリに長斧をしまう。
「さて、じゃあ行くか」
「ん、それで兄さん。寝不足の原因は何?」
「うぐっ!」
突然の祈の言葉に思わず変な声が出てしまう。
ゆっくりと祈の方を見ると、ジッとこちらを見つめていた。
「えっと……祈さん?」
「言い方を変える。誰と会ってたの?」
「……そう判断した根拠を聞いても?」
「夜戻ってきた時、紅茶の香りがした。兄さんは緑茶派。夜に喉が渇いたとして紅茶は飲まない。つまり、誰かに勧められた」
あの時起きてたのか……
「で? 誰と会ってたの?」
脳裏に浮かんだのは紅い瞳が印象的な少女。
俺は昨夜の出来事を思い出すのだった。
第2章スタートです!
一応、毎日投稿を目標にやっていく予定ですが、作者は筆が遅いのでどうか暖かい目で見守ってください。
「面白い!」と思ったらブックマークやポイント評価、感想という形で応援してほしいです!
ブックマークは上部と下部に、ポイント評価は下部から一人10ポイントまで入れられます。
作者の創作意欲が刺激されて、励みにもなるので是非ともよろしくお願いします。




