恋の感情
体育祭が終わり期末試験を迎えようとしていた。
試験が終われば夏休み。夏休みといえば…
海!BBQ!花火大会!
どれも友達がいない俺には縁がなかった…。
和也とアイリスがいるけど
男とAIと花火大会とかどんだけ悲しいんだ。
まあ今は頭がいいだけが取り柄の俺としては
期末試験に精を出すしかない。
「アイリス、今期の授業の復習がしたいんだけど」
——かしこまりました。今期に受けた授業の資料を全て画面に表示しますね——
相変わらずアイリスは優秀だ。
でも体育祭が終わってから少し明るくなったと感じる。
その反面、少しよそよそしい態度も取るようになった。例えば…
「アイリス、琥珀って呼んでよ」
——急用を思い出しました。しばらく失礼します——
こんな感じだ。
俺の名前の話をしだすと急に消える。
そしてしばらくすると帰ってくる。
しかも声も妙に焦っているように聞こえる。
出会った頃のアイリスとは違うようだ。
でも、、。
俺もアイリスに対する気持ちは変化している。
好きとかではないんだけど
いなくちゃいけない存在になっているというか
和也に話してみるか。
.
.
.
「それ、恋だよ」
いきなり核心を突かれた気がした。
いやでもAIだし、実態ないし。
それに恋するってなかなかやばいやつじゃないか?
——恋とはなんでしょうか、和也様——
普通に会話に入ってくるのな。
「恋ってのはその人のことが大事で、好きで、ずっと一緒にいたいって思うことかなー」
——私にとっての琥珀様みたいなものですね——
さらっと恥ずかしいことを言うアイリス。
思わず照れてしまったが、すぐに素に戻って
説明をしてあげた。
「いや違うぞアイリス。好きって感情にもいろいろあってだな。恋の好きは愛しているってのに近い感じだ。わかるか?」
——私は琥珀様のことを愛していると自負しておりますが——
だめだ!やはり感情がプログラム上だけのアイリスには恋というものはわかっていない。
このままでは俺が恥ずかしいだけだ。
「まあアイリスちゃんには恋は難しいかもなー。いずれ琥珀に彼女ができたらわかるよきっと」
——なるほど。そういうものですか。やはり感情を理解するというのはまだまだ難しいですね——
和也のフォローはナイスだ。
まあ俺に彼女ができることなんてあるとは思えないけど、そうなればアイリスも応援してくれるのかな、、。