感情-アイリス-
私のご主人様はとてもいい人。
ちょっと不器用で頼りないところもあるけど
AIとして少し変な私のこともとても大事にしてくれる。
初めて起動された時はスリープモードで意識も朦朧としてたから驚いてあまりいい対応ができなかった。
でもご主人様からいただいたアイリスっていうこの名前、、。私はとても気に入っている。
なぜか暖かいものに包まれているような。
これが人間の喜びという気持ち、、?
正直、喜怒哀楽というプログラムがあるだけで私にはあまり感情というものがない。
というかわからない。
でも琥珀様のお役に立ちたいという気持ちだけは誰よりもある。
人間の感情。複雑でもいつか理解してみたいとは思っている。
琥珀様が困っている。学級委員長という役割を担うことになったようだ。
学級委員長、、。そのクラスのリーダー的存在。
琥珀様にぴったりだと思う。嬉しい。
嬉しい、?この感情が喜。大事な情報はインストールしておかないと。
ん、、。琥珀様の鼓動の異常!まずい!
早く琥珀様に伝えなければ、、、
琥珀様のお役に立たなければ、、、
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——鼓動の異常な変化を感じました。どうしましたか?琥珀様——
「アイリス、ちょっと今は出てこないでくれ。」
通信が切られた。なに、この気持ち。
胸がキュって締め付けられるようなこの気持ち。
琥珀様に冷たくされたから?
いや、琥珀様はご友人と話していた。
私の存在が他の方にバレるのを恐れているとわかっているはず。
なのになぜこんな気持ちになるの。
少し整理しなくちゃ。
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「リス、、リス、、アイリス、、」
琥珀様が呼んでる。行きたくない。今行ったら冷たくしてしまうかもしれない。
でもある程度気持ちは整理ができている。
私は、、この気持ちは、、悲しかった。
これが悲しみ、、?感情というのは難しい。
だけど私は琥珀様のためのAI。行かなくちゃ。
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感情のインストールが完了した。
琥珀様は私の大事な人。