覚悟の上
「なるほどな…神崎さんのお父さんがAI会社の…」
「ああ。だから、その人に助力を求めるのが一番じゃないかと思ってる」
「言いたいことはわかるよ。こんな機能を持ったアイリスちゃんが奪われるかもしれないってことだろ?」
「話が早くて助かるよ。だからこそどうするべきか迷ってる。」
「だけど、1人じゃどうしようもないだろ?お前の気持ちはよく分かったし。話だけでも聞くのはどうだ?」
確かにそうだな。
1人でも、和也や宮崎がいてもどうすることもできないだろう。
話を…聞くしかなさそうだな…。
「そうだな、ありがとう。今後に関わることだし、お前に相談してよかったよ。」
「何言ってんだよ。長い付き合いじゃねえか。こういう時何もできなくて悪いけど、アイリスちゃんの実体化の成功、祈ってるぜ」
そうして俺はアイリスを連れて神崎さんに話をしにいくことにした。
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「アイリス、ごめんな、俺のわがままに付き合わせて」
——いえ。琥珀くんのためならなんだってしますよ。しかも、今は私のために動いてくれてるのですよね?ならこれほど幸せなことはないです——
あぁ。やっぱり俺はアイリスが好きだ。
声や仕草、なにもかも。もう君なしでは生きられないほどに。
そうして俺とアイリスは学校で神崎さんを呼び出し、話をすることにした。
「どうしたのですか?改まってお話とは?」
神崎さんがぽけんとした顔でこちらを見る。
「君の、お父さんに会わせてほしい。」
「えっ」
神崎さんはとても驚いた顔をしていた。
そりゃそうだ。何回か話したがいきなり自分の父親に会わせてほしいなんて言われるとな
「あの、それは一体どういう?」
「ごめん、詳しく言わなきゃだよな」
俺はアイリスのこと、宮崎大雅と交わした約束のこと、そこから聞いた神崎さんのお父さんのこと、アイリスを実体化したいこと。
全てを話した。
神崎さんは初めは何が何だかわからない顔をしていたが、俺の真剣な顔が吉と出たのか、話を聞くにつれ信じてくれた。
「話はわかりました。でも大丈夫なのですか?そのアイリスさんをうちの会社に見せても。」
「あぁ、もう覚悟は決まってる。俺は何があってもアイリスを守る。それだけでいいんだ」
「分かりました。しかし、父も忙しい身分な上、会うのには多少時間がかかります。私がなんとか時間を作るのでまた後日お話ししますね」
そう言って神崎さんはニコッと笑った。
頼りになるな、本当に。
俺はいい人たちに恵まれた。
これもそれも全てアイリスのおかげだ。