迷い
「アイリスさんを実体化…?どういうことだ?」
俺はずっと前から考えていた。
どうにかしてアイリスを、現実の俺たちの世界に持ってくることはできないかと。
難しいことは分かっている。
でも。どうしてもアイリスに会いたい。
「先輩、一つ質問だ。まず、そんなことが現実に可能なのか?」
「可能だと…そう思いたい。」
今の時代、ロボットなどにAIを搭載することが主流となってきている。
なにもアイリスを現実世界に直接召喚しようというのではない。
アイリスに、実在する肉体を授けてあげたいのだ。
その意図を一から宮崎に説明した。
「なるほどな…でもそりゃ、俺たちの力だけでは無理だな。1人、心当たりがいる」
「心当たり?」
「姫花、とその姉の委員長、あいつらの父親だ」
神崎さんの!?
「あの家庭は大手企業グループって知ってたか?」
確かに神崎さんの家庭はお金持ちだって聞いていたけど、それとアイリスの実体化になにか関係が?
「あそこの父親は主にAI開発を専門に扱ってる。最新技術の大手なんだよ。もし、アイリスさんを実体化するのなら、その助力は必要不可欠だと思うぜ」
AI開発の大手企業。
確かにそれは最強の助っ人となる可能性が高い。
が、それと同時に不安でもある。
AIの大手がアイリスのことを欲しがらないわけがない。
他の企業にも作り出せない、世界に唯一の存在だからだ。
これさえあれば、企業発展がとてつもなく進むだろう。
アイリスを…取られる。
それだけは避けたい。本末転倒になりかねない。
だが、俺たちだけでやってのける自信がない。
——琥珀くん?なにか不安なのですか?——
「ああ。君を取られるかもしれない。」
——私は今のままでも十分幸せですよ。実体化なんて恐れ多いです。——
「分かってるよ、君の気持ちは。でもアイリスに会いたいんだ。」




