琥珀の願い
「俺が…負けた?」
隣で結果を見ていた宮崎大雅がそう呟いた。
負けるわけがない。そう思っていた男の絶望した顔がそこにはあった。
確かに点数は一点差だ。どちらが負けてもおかしくはなかった。
俺だって完璧な自信があったわけではない。
多少のミスは覚悟していた。
アイリスのため。その気持ちが俺を勝ちへ導いてくれたのだ。
「一ノ瀬琥珀…。俺の負けだ。素直に認める。非礼を謝りたい。」
「いや、どちらが勝ってもおかしくなかった。正直ここまで接戦になるとは思わなかったよ。」
「アイリス…さんだっけ。あんたにも悪いことを言った。すまなかった」
——いえ。大丈夫ですよ。お見事でした——
アイリスも気にしてないみたいだし、俺も勝ったし。今回の件は一件落着って感じかな。
アイリスとも、こいつとも色々あったけど最終的には良かったってことか。
「一ノ瀬先輩。約束は約束だ。なんでも言うことを聞く。言ってくれ」
そういえばそんな話だったな。
まあ結構前から考えてたことがあるし、それを頼むつもりだったが。
誰にも言ってない、密かな作戦を成功させるために。
「わかった。お前ほどの天才の力を借りなきゃできないことだ。」
そう。宮崎大雅ほどの天才の助力を求めなければ実現しない作戦。
いや、宮崎大雅がいても無理かもしれない。
誰が協力してくれても叶うことはないかもしれない作戦。
それは。
「アイリスを実体化する。協力してほしい」




