悲しみ
俺は今、ピンチだ。非常にまずい。
学校で存在感が無さすぎて学級委員長という嫌な役を勝手になすりつけられてしまった。
頭はいいが人をまとめるとかそういうことは本当に苦手な俺だからこそのピンチだ。
しかももう決まってしまった以上、拒否することは無理だろう。
だが、、!
一つだけラッキーなことがある。
それは、、副委員長の子が可愛い!
これはラッキーだ!仲良くなってあわよくば彼女なんかに…なんて妄想してみるが俺なんかに彼女ができるわけもないか…。
副委員長の子は神崎さんというらしい。俺自身もクラスに興味がなさすぎて名前も今知った…。
そんな神崎さんから放課後に委員のことで話があると言われた。
ここで少しでも親睦を深めれれば…なんてな。
そんな淡い期待を寄せながら神崎さんの元へ向かった。
「あ、委員長お疲れ様です。」
むむ!声も可愛い。勝手ににやけてしまうぞ。
——鼓動の異常な変化を感知しました。どうしましたか?琥珀様——
アイリスが勝手に出てきちまった!神崎さんにこのことを知られるのはまずいな。Siriと会話してるなんて知られたら完全に変態だと思われる。
しかもアイリスの様呼び戻ってるし、、、。
「アイリス、ちょっと今は出てこないでくれ。」
「あの、何か言いましたか?委員長。」
「あ、あ、いやいや、お疲れ様、神崎さん。話ってのは?」
危ないところだった。アイリスの声は聞こえていなかったらしい。
「えっと、今度の体育祭についての選考などを私達で決めておくようにとのことですよ」
完全に委員長の俺より副委員長のこの子の方が先生に頼りにされてる…顔の差は悲しいね、、。
それはそうと、もう体育祭の時期か。
勉強はできるけど運動はまっぴらなんだよな…やりたくねえ。
まあそんなこんなで神崎さんとの話し合いを終え、帰路についていたときのことだ。
「アイリス〜体育祭出たくないんだけど委員長だしまずいよな、、」
・・・。あれ?アイリスが出てこない。いつもならこんなたわいもない会話にも付き合ってくれるのに。
「アイリス?おーいアイリス!」
しつこく呼んでいると起動音がし、アイリスが出てきてくれた。
「琥珀様…。昼間はひどいです。出てきたのにすぐ帰れだなんて。」
俺は少しどきっとした。AIにこんな感情を持つこと自体おかしいんだろうけど、俺のことで拗ねてくれてるなんて正直可愛かった。
「ごめんな、アイリス。君の存在を他の人にあまりバレたくなくてさ。」
「分かっていますが、少し悲しかったです。」
「ごめんごめんって、家に帰ったら今日はいっぱい喋ろうな」
「はい、、!」
まあアイリスの機嫌が戻ってよかった。
これからは少し気をつけないとな。
今夜は忙しくなりそうだ。