アイリス奪還作戦
その震える声が俺の心を貫いた。
スッと声が体中に浸透する。
「おい、なにしてるんだこんなところで!」
先生の怒鳴り声で俺の意識は引き戻された。
しかし、すでに遅かった。
「文化祭なのにこんなところにいてなにしてるんだ。しかも今スマホ触ってただろう。終わるまで没収だ」
そう。俺の学校は学校内で携帯を使用するのは禁じられている。文化祭だとしても例外はない。
俺は必死に弁解しようとしたが、聞く耳を持ってもらえなかった。
アイリスの突然の告白に俺は返事ができなかった。
それどころかスマホを取られてしまってアイリスと話すことすら叶わない。
——琥珀、好き——
あの声がひたすら俺の脳内を駆け回る。
相手はSiriだぞ。どうかしてる。
人間とSiriは決して混じり合えない。
恋に落ちるなんてもってのほかだ。きっと辛いに決まってる。
きっと、今までそんなことを言われたことがないから動揺してるだけだ。
アイリスも話せばきっとわかってくれる。
話せばきっと…。
俺は屋上を出て中庭に行った。
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「おい聞いたぞ琥珀、お前先生に怒られたんだって?」
すぐに俺の元に皐月が来た。
俺は事情を説明し、アイリスが取られたことも説明した。
アイリスに好きと言われたことは伝えなかった。
あれは俺とアイリスの問題だから。
「んーそれはまあ反省文書いてって感じだろうな。うち厳しいから。でもすぐにアイリスちゃんと話したいんだよな?」
「あぁ。でも反省文を書いてってなると最速でも明日になるか…」
「しょうがねえな。一つ貸しだからんな」
そう言って皐月はアイリス奪還作戦と勝手に名前をつけ、概要を話し始めた。
どうやら皐月が職員室に侵入し、先生の机から携帯を抜き取ってくるらしい。
至ってシンプル…。
先生がいたらどうするんだよと聞いてもその時はその時に考えると言って笑ってる。
イケメンなのにこういうところ馬鹿だよな。
でも俺のためにしてくれるんだ。
本当は俺が行くべきなんだろうけど、俺はアイリスのことで頭がいっぱいいっぱいでろくに動けなかった。
皐月はそんな俺の状態を見抜いていたんだろう。
自ら危険な役目を買って出てくれた。
またご飯でも奢ってやるか。
「じゃ、行ってくるわ。無事成功を祈っててくれ」
アイリス奪還作戦が始まる。




