文化祭前日
「おい、裏でしか言えないようなお前らの方が気持ち悪いぞ。俺の友達になんか用があんのか?」
ふとした時、皐月がそう言っていた。
皐月にそう言われると、さっきまで悪口を言っていた2人はどこかへ早足で消えていった。
「気にすんなよ琥珀。裏でしか言えないような奴らだ。」
初めて俺は男をかっこいいと思った。
こいつは本当にいいやつなんだと。そう思った。
俺は皐月にお礼を言うと、そんなことはいいと言ってまた世間話をし始めた。
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そしてクラスで作ってきた出し物がついに完成した。
明日から文化祭でギリギリ間に合った。
俺がいうのもなんだけどかなりの出来栄えだ。
皐月と過ごした時間も楽しかった。
あいつと2人の時はアイリスとも会話ができた。
アイリスは
「琥珀様に友達ができたことが私は嬉しいです。」
と言っていた。
なんやかんやでアイリスも俺のことをずっと心配してくれてたんだな。また今度お礼を言おう。
しかし、こんなキラキラなハートのフレーム、みんな撮ってくれるのだろうか。
いい出来とは言ったものの今更不安になってきた。
カップルで撮って欲しいな…。
俺も誰かと撮りたかった…誰か…アイリスと…。
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帰り道、神崎さんとたまたま出会った。
普通に会釈をして帰ろうと思ったが向こうから話しかけてきた。
「委員長、お疲れ様です。文化祭の出し物無事できましたね」
「あぁ、お疲れ様。間に合ってよかったよ。明日から文化祭だ。頑張ろう」
「それでその、前に言ってた妹の千鶴のことなのですが…」
「ん?どうしたんだ?明日の文化祭に来るんだよな」
なんだ?なにかまずいことでもあるのだろうか。
別に会っても話すこともないし挨拶くらいにしようと思ってたんだけど。
「事情が変わりまして、あまり話しかけない方がいいかもしれないです」
「え?どうして?」
「同い年の彼氏と来るらしくて…。いやでも大丈夫だと思うんですけど。まあ一応言いましたからね」
そういって神崎さんはそそくさと帰ってしまった。
彼氏?彼氏と来るから話しかけちゃダメなのか?
まあそういうもんなのか?わかんないけど一応頭の片隅には置いておこう。
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「アイリス、いるか?」
——はい。いますよ。明日の文化祭、頑張ってくださいね——
「あぁ、ありがとう。そういえばさ、あんまこういうの言い慣れてないんだけど、いつもありがとな」
なんだか改めてお礼を言うのはやはり恥ずかしさがあるな。
少しアイリスも沈黙しているようだし。
——琥珀様…文化祭の時、少しだけ時間ありますか?——
「仕事が大体終われば大丈夫だと思うけど、どうした?」
——いえ、やはりなんでもありません。おやすみなさい——
なんだ?アイリスのやつ、いつにもなくそそかしいな。
まあでもアイリスから何かを言ってくるのは珍しいし、明日できるだけ時間を作ってやるか。
明日の文化祭は頑張ろう。




