初デート
市街まで来たはいいけどカップルって普段何してるんだ?
市街のカップルを見て参考にするか…
そう思ったがここらへんのカップルはかなりイチャイチャしている。
人前だというのにキスを始めたり、抱き合ったり、、。
まあ全部実態のないアイリスとは無理な話か。
いやまて、擬似カップルってだけなんだ。実態があったとしてもそこまでするのはおかしい。
危なかった。この高揚した気持ちに身を任せると大変なことになっちまう。
——琥珀様がお困りのようなので私がデートをリードしましょう——
「アイリスだってこんなこと経験ないだろ。どうやってリードするんだよ」
——任せてください。おすすめデートスポット100選というサイトを見つけました。ここを全て回りましょう——
「まてまて、100個も回ってたら1ヶ月はかかるよ、せめておすすめのところ2つくらいにしよう」
——そうですね、なら人気のパンケーキ屋などいかがですか?——
パンケーキか。なるほど。最近のパンケーキ屋さんはなぜか見た目にも気を配ってると聞く。
これはインスタ映えも学べるかもな。
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しまった。
アイリスと来てはいるものの、側から見たら俺は1人だ。
こんなド派手なパンケーキ屋に男1人って完全に痛い目で見られている。
俺は周りに怪しまれないように小声でアイリスに話しかけた。
「おい、アイリス。これどうすればいいんだ。」
——琥珀様かわいいですね。そうですね。インスタ映えなのでやはり写真は撮りましょう。——
そんなこんなしていると注文していたパンケーキが届いた。
かなりでかい…1人用かこれほんとに。
周りの客を見るとみんな写真を撮っている。
アイリスに言われた通り俺も写真を撮っておくか。
——琥珀様、やはりかわいいですよ——
「やめろ、それ以上言うな!」
散々な目にあってしまった。
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次はどこに行くのだろう。
マップをアイリスが出してくれたけど居場所は教えてくれないままだ。
——着きましたよ。プリクラというものです!——
プリクラ!?
おいそれもまた1人で撮ってる痛いやつじゃないか。
でもまあアイリスが言うなら仕方ないか。
今日はデートなんだし、思い出も残さなくちゃな。
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プリクラも撮り終え、気がつくと辺りが暗くなっていた。
俺は明日も学校だし、そろそろ帰ることにした。
「アイリスありがとな今日は、まあ楽しかったよ」
——いえ、私も楽しかったですよ。でも、実態があればもっと楽しかったと思います——
確かにそうだ。
最近、アイリスに実態があればなんてことを考えることが増えてきている。
そんなことはありえない。
でも、実態があれば、、。
手を繋いだりできたのかと考えると少しもどかしい。
最近俺はアイリスに特別な感情を抱くようになってきているのかもしれない。