1日カップル
夏休みが終わった。
平凡でつまらない夏休み。だけど花火大会は楽しかった。俺自身が成長できたことも感じる。
和也とアイリスには感謝しないとな。
また憂鬱な学校生活が始まる。
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「委員長、そういえば文化祭のこと考えてますか?」
そういえばうちは他の学校より少し文化祭が早いんだった。
夏休みが終わってすぐに文化祭が始まる。
「いや、ごめん。なにも考えてなかった。うちのクラスって確か展示メインだよね」
「そうです。みんなが言うにはなにかインスタ映えするものを展示したいそうですよ」
やっぱ神崎さんはクラスのみんなから相談されてるんだな。俺には誰も喋りかけてくれないのに。
しかも、インスタ映えか…。
俺にはまじで縁のないことだな。
ここは神崎さん達に任せようかな。
——その考えはだめですよ琥珀様。委員長たるもの、やはりクラスの中心でなければ——
「でもなぁ、アイリス。インスタ映えなんて全くわかんないし。」
——確かに琥珀様、そういう面ではまっぴらですもんね——
まあ言われた通りなんだけど、やっぱその辺も勉強していかなきゃだめだよなぁ。
週末、アイリスと和也に少し頼んでみるか。
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「なんだ琥珀、俺にインスタ映えを聞くなんてずいぶんと落ちたもんだな」
笑いながら和也がそういった。
和也もそういえば俺と似たようなもんだったな。
でも俺よりは最近の流行に詳しいはずだ。
少しは参考になるだろう。
「インスタ映えってのはな、いかにトキメキを与えれるかなんだよ」
トキメキかぁ。和也に言われると腹立つな。
でも今日は教えてもらう立場だし、堪えよう。
「トキメキっていうとどんなもんだ?」
「やっぱハートだろ。カップルの写真なんか載せれば確実にインスタ映えはするぞ」
カップル!?
恋愛なんて俺にとって縁のないものだし。
そんな気持ちわからないよ。
——琥珀様、であれば、私が今日だけ恋人役をいたしましょうか?——
アイリスが恋人か。
まあ悪くはないな。実体がないとはいえ、俺のことを一番知ってるだろうし。
「じゃあアイリス、今日だけお願いするよ。なんもわかんないけどよろしく頼むな。」
——わかりました。では今日一日よろしくお願いします。——
そうして、アイリスと俺の1日カップル生活が始まった。