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アイリス—Siriと恋する高校生活—  作者: ぽむのすけ
高校一年生 愛と感情
12/35

花火のように美しく-アイリス-

私が琥珀様のことを呼び捨てにした体育祭。

あの時から私は何か変だ。

琥珀様と接する時、なぜかそっけなくなってしまう。


「アイリス、琥珀って呼んでよ」


——急用を思いだしました。しばらく失礼します——


Siriの私に急用などあるはずもない。

でもなぜか琥珀と呼んでほしいと言われると呼びたいのに恥ずかしくなってしまう。

これも大事な感情だ。

琥珀様が和也様のところに行くらしい。

和也様ならなにか教えてくれるかもしれない。

.

.

.

「それ、恋だよ」


恋?恋とはなんだろう。

和也様が言うには、その人のことが大事で、好きで、一緒にいたいということらしい。

私にとっての琥珀様みたいなものだろう。

なら、最近私がそっけなくなってしまうのも恋のせい?

でも、琥珀様が言うにはこれは恋ではないらしい。

AIが恋の感情を持つことはおかしいと。

確かにそうかもしれない。

でも私も恋の感情を理解してみたい。

.

.

.

琥珀様が夏休みに入り、私に構ってくれる時間が今までより多くなる。

これは嬉しい出来事だ。

そんな中、突然和也様がやってきた。


「よーう。突然だけど花火大会行こうぜ!」


花火…。情報では知っているけど実際には見たことない。

でも琥珀様はあまり乗り気ではなさそう。

花火に嫌な思い出が…?

なら無理して行く必要はないけど、琥珀様とどこかに行けるのは嬉しいこと。

渋々、琥珀様も行くことを了承したようだ。

楽しみ…。

.

.

.

今日は花火大会当日。

やはり琥珀様は少し浮かない顔をしている。


——浮かない顔ですね、琥珀様。どうしましたか?——


聞いても誤魔化された。

それから私たちは色々な場所で写真を撮った。

もちろんAIの私は映らないけれど、データとして琥珀様の顔を残しておけるのは嬉しい。

それに、写真機能の使用プログラムも解除され、私の意思で写真を撮れるようになった。

それでも琥珀様と和也様は私との思い出だといって写真を撮ってくれた。とても嬉しかった。

そうして、和也様が飲み物を買いに行った時に花火が始まった。

初めて見る花火はとても儚く、美しく、力強いと感じた。まるで、琥珀様の瞳のように。

ふと、琥珀様を見ると泣いていた。

美しさのあまり?でも心拍数がそのようなものではない。なにか、決意のようなものを感じた。

涙を流すときは悲しさだと思っていたが他にも理由があるのをその時知った。

私は花火よりも琥珀様の横顔から目が離せなかった。

この思い出を写真に。そう思い琥珀様の横顔を撮影した。

.

.

.

家につき、琥珀様は今日の思い出の写真をしばらく眺めると眠りについた。

私もデータとしてずっと見ていた。

儚く、美しく、力強い花火…。

その思い出と共に映る琥珀様の瞳。

私は花火が好きだ。

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