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法則その8 テレビに映っていない部分はスゴイことが起こってます

◇◇


――ねえ、お兄ちゃん! ホラー映画って、画面に映っていないところってどうなってるんだろうね! 意外と重大なことが起こっていたりして! あはは!



………

……


「僕のチームと、イルッカのチームの二つに分かれよう!」


 ホラー映画において主人公の提案というのはたいてい受け入れられる。

 もし反対でもしようものなら、たちまち孤立して死亡フラグを立てることになるだろう。

 しかしそれは時と場合による。

 俺は今、ほぼ全滅が確定したチームに割り振られたのだ。

 反対しない方がおかしいだろ。

 

「待ってくれ。俺はチームを率いる自信がない。だから別のヤツをリーダーにしてくれ」


 クライヴは首を横に振った。

 そして太陽のような笑顔で言った。

 

「僕の心の中にいるアルメーヌが言ったんだ。『おにいちゃんとイルッカおじちゃんをリーダーにすれば、きっと私を見つけてくれるわ。自分たちを信じて!』ってね」


 あの化け物め。

 人の心の中にまで姿を現したということか。

 

「ここはアルメーヌちゃんを信じましょう! そしてみんなを信じるの! 私たちなら絶対にアルメーヌちゃんを見つけて、洞窟を抜けられるってね!」


 ヒロインは主人公にとっての拡声器みたいなものだからな。

 もはやこうなってしまっては、俺の意見など通るはずもない。

 ああ、まいったな。

 こりゃ、本格的にまずいことになったぞ。

 俺のチームに割り振られたのは俺を除くと8人。

 アニメで生き残ることができたのはこの中でたった1人。

 

 しかも生き残るのは、ヒロインのナタリアなんだよな……。

 

 

………

……


 ちなみにアニメでは主人公と別のチームになった後のナタリアの様子は描かれていない。

 主人公視点で描かれ、緊張状態で出口までたどりついたところでヒロインとアルメーヌの二人と合流する。

 主人公が再会を喜ぶ中、彼女の口から「全員死んだ」と衝撃的な事実を聞かされるのだ。

 あのシーンはさすがのミカもゾッとしていたな。

 俺にいたってはナタリアこそが化け物なんじゃないかって疑ったっけ。

 いわゆるミスリードだが、見事に引っ掛かってしまったというわけだ。

 

 ではアニメで描かれなかったナタリア側の様子はどうだったのか、というと……。

 

「あーあ、たるいなぁ。なんで私がこんなむさっ苦しい男どもと一緒じゃなきゃいけないのよぉ」


 さっそくナタリアが本性を現していた。

 情熱的で仲間想いの彼女の豹変に、他のメンツはついていけてないようだ。

 みな黙ったままチラチラと彼女の様子をうかがっている。

 

「なんだぁ? その目は!? 言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ!」


 鋭くとがった口調に誰も何も言えない。

 アニメで彼女のことを知っている俺だけは特に驚きもせずに、黙って集団の中に身を潜めていた。

 ……とその時だった。

 

「あ! あそこに誰かいるぞ!」


 仲間の一人が指さした先にいたのは、なんとアルメーヌではないか。

 一斉にみんなが彼女のもとへ走り出す。


「無事だったのか!?」

「ケガはないか?」


 口々に心配する声がかけられる中、一人だけ違った言葉をかけたヤツがいた。

 

「んで。化け物はどんなだった?」


 ナタリアだ。

 アルメーヌはビクッと肩を震わせると、顔を青くした。

 いかにも「思い出したくないの……」と言わんばかりだ。

 しかしナタリアは容赦なくつめよった。

 

「あんたさらわれたんでしょ? だったら顔くらいは見てるわよね? 暗いから見えなかったとか言い訳したらただじゃおかないわよ。こっちは二人も死んでるんだからね。二人も。さあ、はきなさい。化け物はどんなヤツだったの?」


 ここで「それ、私です。てへ」とアルメーヌが自分から名乗り出たら面白いんだが、まさかそんな馬鹿なことはしないだろう。さて、どう答えるのか、とくと拝見しよう。

 

「あ、それ私です。てへ」


「……」

「……」

「……」


「はああああああ!?」


 まじか!? まじか!? まじかああああ!?

 じ、じ、自分で名乗りやがった!

 

 

 

 


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