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第3話 出発

「い…異世界って…世界を救うって…私が?」


「そうそう。地球人ってそれだけ価値あるのよ…200余人だと世界救ってもらわなきゃ割に合わないのよ」


「ちょっと待ってください何で地球人ってそんなに重宝されてるんですか?普通の人ですよ…?」


パトはぽんと手を叩いた。


「そういや言ってなかったな。地球人は異世界の中でもスペック高いのよ。特に日本人は日頃のストレス耐性が凄すぎて、異世界に転生、転移させると何かしらの凄い力発揮するのよ。ニートが勇者になっちゃったり、魔王になった奴もいるんだぜ?」


「それってよくアニメやマンガになってるやつですよね……見たことありませんけど聞いたことはあります」


「そうそうあれってフィクションに見えて、結構的を得てるんだよなぁ。ちなみに俺は異世界転生初めてでさ、これから救ってもらう世界も流行りに乗じて、異世界人に救ってもらおうとしたんだけど、まさかこんなにタイミングよく契約できるとは思わなかったよ。はははは」


「はははって…私目が見えないんですけど…ハンデあるんですけど…」


「大丈夫大丈夫。ホーリーアーチもあげたし、それに転生者って大体チートスキルとか魔法授かっちゃうんだよね」


「私も何か授かっちゃうんですかね?」


サクラはほぉうっとちょっと興味を示した。


「じゃあ試してみるか。ジ・センスサークル!」


パトが手を振りかざすと一人立てるほどのサークルが地面に記された。


「そんじゃあそこに入ってみー。何かしらの能力貰えるはずだよ」


「えっそんな簡単なんですか……?」


「まあこれは手当みたいなもんだからなぁ。現世つまり地球での行いや出来事によって、聖剣が貰えたり、ユニーク魔法が貰えたり、不死とかの特殊体質やスキル貰えたり、まあ様々だな」


(そうなんだ……でも私も異世界に行くなら何かしらの力が欲しい…)


サクラはサークルの中に足を踏み出した。


「はぁぁぁ……ぁ」


気が抜けるような声がサクラから発せられた。


(何これ…とても優しい感じがする……まるでお母さんに抱きしめられてるような……)


『異世界者サクラは全盲に対するユニーク魔法として「欠損魔法」を獲得』


『同時にユニークスキル【補助者パートナー】を獲得』


『飛行機事故による強い衝撃により、スキル【衝撃耐性】、【爆破耐性】を獲得。スキルを統合し、レアスキル【物理耐性】へと進化します。失敗。補填措置としてレアスキル【物理抵抗】成功』


『死因水死による経験により、スキル「水中呼吸」「水圧耐性」、「水中移動」を獲得。スキルを統合し、レアスキル「水全耐性」と進化します。成功』


『白杖ホーリーアーチと魔力回路のリンクを開始。魔道具として登録に成功』


高音の女性の声が頭の中に響く。


「そいつは異世界者に響くワールドボイスだ。何か習得又は獲得した時に教えてくれるぜ。親切設計だろ?さーてどれどれ?」


パトは契約書を再び広げる。


「こいつにはお前のステータスが記されるようになってるんだよ。スキルの説明からバストまで何でもな……」


「殴りますよ」


「すまんすまん…しかしなかなか前世が悲しい終わり方だっただけになかなかのステータスだな。ふむふむ」


ユニークスキる【パートナー】

「パートナーと契約できる」


ユニーク魔法【欠損魔法】

「自分の所有物を対価に魔法を発動させる。魔法は対価に近い性質となる」


レアスキル【物理抵抗】

「物理的なダメージを半減する」


レアスキル【水全耐性】

「水中での呼吸、移動が出来る。水系の攻撃に対して、完全な耐性を持つ」


魔道具【白杖ホーリーアーチ】

「魔力による気配感知を行える魔道具」


「おお!初めから耐性スキルが付くなんてラッキーだな!それに欠損魔法って面白そうな魔法じゃねぇか!俺も見たことない魔法だぜ!パートナーっての聞いたことないな…説明だけ見るとお手伝いさんを雇えるって事か?まあ上々の結果じゃねぇのか」


「そうなんだ…本当に?」


「まあはっきり言って分かんねぇ。スキルってのは成長するもんだしよ。魔法だってやりようによっちゃ覚えることも出来る。さらには祝福や種族ステータスなんてもんもあるしよ」


サクラの頭の中はパンク寸前だ。


「まあ使ってみてだな。嫌なら使わなくてもいいし、自由にやってくれ、俺は上から見てるからよ」


(はぁ私本当に異世界救うの?目の見えない私が…)


「さて、マジックポーチに金、飯、武器は最低限入れといたし、異世界語の翻訳知識も頭にインストールしといたし」


「は?いつの間にそんなことを……」


「そろそろ出発してもらうよー。準備はいいかね?さあ冒険の始まりだぜ」


(目が見えないけどいい笑顔してるんだろうなぁ)


「あっ!一つだけいいですか?!」


「ん?」


「このサクラの木を植えたいんですけど…」


「ああそれね……植えてやりたいけど異世界だと魔素が土に溶け込んでるからなぁ…多分かなり成長が遅くなると思うぞ。植えれないとは言わねぇけど…」


「そ……そうですか……」


「転移先にでも植えとけばそのうち成長するさ。そうだな…世界を救う位には大輪の花を咲かせるんじゃねぇかな」


パトは確信じみた笑顔を浮かべている。


「それって何年後なんですか……」


サクラは呆れたような顔をしたが咲かないことはないという言葉がサクラの希望となった。


「じゃあそろそろ送るぜ。この空間維持するのも辛いんだからな」


「はい!」


「よーし。最終確認だ!マジックポーチ持ったか!」


「はい!」


「魔杖は持ったかーーー!」


「はい!」


「よし!ペチャパイよ!異世界へ旅立て!」


「はい!……あ゛?今なんて言いました?」


パトは焦るように壁に装飾してある門を開くとサクラの背中を押した。


「次会ったら覚えて置いてくださいよー!」


サクラは最後までパトの姿は見えなかったが押されて振り返った瞬間屈託のない笑顔をしているパトの顔が見えたような気がした。


(新しい世界、知らない場所、目の見えない私にとって苦しいものになるかもしれない。だけどみんなを助けるため、そして新しい私を見つけるため!)


「これから行く世界がどんな世界かわからないけど…桜のように舞い散るその時まで頑張ってみせる!待ってろよ!異世界!」


サクラは異世界に向かって走り出した。

次回から異世界編やっとスタートです。

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