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第2話 下準備

二話目です。準備回です。

「さてさてそんじゃあ契約内容を再確認と……」


パトはにんまりと笑顔を作ったまま巻物のようなものを広げながらふむふむと首を縦に振っている。


「あの…」


「はいはいごめんごめん。えっとねまず俺は君の願いである君以外の乗客全員を助けてあげました。その対価として君自身の人生をかけてもらった訳だが…異世界「地球」住民の命はなかなか高いのよね」


「それって……」


「俺が助けた200余りの人間の命と君1人の人生では到底釣り合いが取れないんだなぁ。つまり助けてあげれてないんだよね。今はね」


「えっ!?じゃあみんなは…?!」


「今は俺の力で事象を止めてるところだよ。保留って感じかな」


「そんな…私…もう差し出すものがないんですが…」


「うん。だからね君にはちょっと働いてもらおうと思うんだよね。それで相殺してくれればいいからさ」


パトの声はとても弾んで聞こえる。


「目の見えない私になにか出来るかな…」


「うーん。結構大変だと思うけど…まあ何とかなるんじゃね?」


サクラの顔に少し笑顔が戻る。


「本当に!じゃあ手伝います!私に出来ることなら何でも!」


「君ならきっとそう言ってくれると思ってたよ!」


サクラはパトの歓喜の声にさらに笑顔になった。


(私に出来ることがある。目の見えない私にも人を救うことが出来る!)


「それで私は何をやったらいいですか!」


「ふふふ。そんなに慌てなさんなまずはお仕事のための準備をしないとね」


(準備?なにか道具を使うことなのかな?)


「よーし。まずは目の見えない君のためにその杖をグレードアップさせてあげよう」


「グレードアップ?」


パトはそう言うとサクラから杖を受け取ると何やらブツブツ呟いた。


「聖なる光よ。この者の杖に行く手を導く光を与えたまえホーリーアーチ」


サクラには見えないが杖が光を放ち所々に美しい装飾が施されていく。


「よーし。ちょいとこれ持ってみな」


「はい。うっ少し重くなった…」


パトから白杖を受け取るとサクラの中に何かが入り込んでくる。


(なに……これ)


サクラは生まれて初めての感覚に襲われた。


視界はいつも通りに暗闇に覆われている。


しかし気配、第六感と呼ばれるものなのか、この空間には何があり、何人いるかがわかる。


(凄い…詳しい形や顔が見えないけどそこに何かがあるという感覚がわかる…凄いよこれ!)


サクラは初めての感覚に心が踊った。


(私の前にいるのが多分パトさん…感覚的に私と同じくらいの身長…足元には桜のポット…何も無い部屋かと思ってたけど壁に門のような細工がされてるのも分かる…凄い!凄い!)


「どうだい?君の杖に魔法をかけて魔杖にさせてもらったよ。かけた魔法はホーリーアーチって言ってな……」


「ちょーーと待ってください…魔法?魔杖?なにを言ってるんですか?」


「はぁ今更何言ってんだよ。飛行機の乗客助けてやろうってやつだぜ。魔法くらい使えるだろうがよ」


「はっはぁ…」


サクラの頭はパンク寸前だ。


「話を進めるぜぇ。取り敢えずこれで目が見えないことは少しマシになっただろ。でも気をつけろよー。ホーリーアーチは今は俺の魔力のストックで発動してるが無くなったら自分の魔力使えよ。使い続けると魔力切れで動けなくなるぜ。オンとオフは何となく感覚で分かるだろ?使わない時は切っておけよ」


「は…はぁ」


「さて次にだ。今のお前の格好はこれから行くところには少し異質すぎるからな…一応着替えも持ってきてやったぜ。着替えてくれ」


「わ……分かりました……」


(いったいどこに連れてく気なんだらう……)


サクラは着替えを手渡された。


(…………ホーリーアーチオン)


パトの気配が全く消えてない。


「あっあの……」


「ん。なんだ?早く着替えろよ」


「もしかして見てます……?」


「別に減るもんじゃないんだしいいじゃねぇか。あっ、待てよ俺が人間に欲情するとか思ってんのか?グラマラスなお姉さんならまだしも成長途中のペチャパイなんて興味なんて……いてっ!……おいやめろって……何すんだよ!」


サクラは白杖でパトを殴りつけていた。


「えっち!後ろ向いててください!それに私ペチャパイじゃないです!BよりのAです!まだまだ成長するんです!」


「ぺちゃぱいじゃねぇか!」


「また殴られたいですか?!!」


サクラは白杖を振り上げて可愛い顔にそぐわない形相でパトを威嚇した。


「す……すまん着替えたら言ってくれ…」


パトは後ろを向いて座り込むと目を塞いだ。


(全く…乙女の着替えをなんだと思ってるんですか……)


サクラは白いワンピースを脱ぎ、パトの用意した服に袖を通した。


素材の触り心地は絹のような滑らかなものでとてもいい。


前開きで日本の浴衣のようなものらしい。


サクラは色や柄は分からないが変なのじゃないことを祈った。


色は深紅、柄は肩から胸元にかけて白い桜の柄がはいっている。


パトなりに気を使ったデザインである。


「着替えました。どうでしょうか?」


少し照れ気味にサクラが聞いた。


「うん。似合ってるよ。さすが俺センスあるー」


(何だろうそう言われると不安になる)


「じゃあ同じの数着こいつに入れといたから着替えとして使ってくれ」


パトから手渡されたサイドポーチの口を開け、手を入れてみると腕がすっぽり入ってしまうほど深い。


「それはマジックポーチ。結構色々入る魔道具だ。これから行くところでは基本装備だからやるよ。大事に使えよ」


「魔道具……本当に私どこいくんですか…まさか異世界とか?なんちゃって……」


「そうそう異世界、異世界、察しがいいな。お前には異世界救ってもらうからよろしくね!」


「……ほへ?」


サクラは口をポカーンと開けて、マジックポーチを落とした。

ブックマーク2件いただきました。

ありがとうございます!

次回もまだ準備回です。

宜しくお願いしますm(*_ _)m

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