58話
いつものように暴言を、ただ聞くだけの電話を終えて息苦しさを覚えていた。パパに助けを求めることも考えたが、リハビリ中のパパに迷惑をかけるのは躊躇ってしまう。
飲み物を取りに冷蔵庫に向かった。冷蔵庫の前で身体の異変に見舞われた。
頭がクラクラして目の前が暗くなってきた。倒れるのは良くないとしゃがんで対処をしようと冷蔵庫に手をついてしゃがんだ。
覚えているのはそこまで……。
「あれっ?」
気がつくと布団に寝かされていた。そんなことはなかったはず。あのまま真っ暗になって……。
昨日のことが頭をよぎる。確か飲み物を取りに冷蔵庫に向かって……頭がクラクラして……。
そんなことを思い出していると、テーブルの上のメモを見つけた。
パパの思いを受け、気持ちを伝えるためにパパの家にいく。
「ぱぱぁ……」
「起きたか。事情を話す必要はない。一応部屋を用意することまではした。あとはよつ葉が決めていい」
昨日の異変に気づいていたんだと。よつ葉のことを心配して飛び込んできてくれたなんて。
よつ葉が考えていいと言ってくれているけれど、はじめからパパと暮らしたいと思っていたから迷うことなど何もない。
「今夜からここで寝る」
「分かった。どこまで荷物を持ってくるかは自分で決めなさい。こっちとしても、看護師がすぐ隣りにいてくれるなら、願ったり叶ったりだ」
「うん」
昼食を食べ終えてから、二人で手分けをして、パパは部屋の掃除を終わらせる。よつ葉は隣の部屋で持ってくるものを整理する。
部屋着やパジャマ、お布団を用意して一緒に運んでもらう。
その間に、パパはよつ葉のために1つの部屋を空けておいてくれた。
「今夜から心配いらないね」
「心配させるほうが間違っているんだけどな……」
よつ葉がひとり部屋で倒れていたことを心配したパパ。そのことにより幼い頃、泣いて別れたパパと十数年ぶりに一緒に暮らせることになった。




