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夢はひとりみるものじゃない  作者: 小林汐希・菜須よつ葉
42/71

42話

 1月も中頃になり、学校のゼミではなく外部講座に通っている。


 外部講座初日の今日は昨年の試験を解き成績考慮のクラス編成されるらしい。


 試験の結果によってクラス分けがされる、ほぼ合格圏内にいるAクラス。最後の特訓、底上げを要するCクラスに分けられる。国家試験と同様に午前と午後に行われ翌日、クラス編成が発表になり講座が始まる。


 次の日、講座会場へ行くとクラス編成表が貼り出してあり確認すると、前原君とよつ葉はAクラス。紺野君、柊君、ゆみちゃん、美佳ちゃん、美羽ちゃんはBクラス。小野君だけがCクラスだった。パパに、お昼にメッセージでAクラスだったと報告。



 普段利用しない路線を使って講座会場へ通っていた。改札に便利な車両に乗っていて事件が起きた。


 普段から混んでいる路線というのは知っていた。降り損ねないようにドアの前に立っていた。電車が動きだして異変を感じ始めた。後ろから押される感覚があったけど混んでいるからだと思っていた。しかし、だんだんエスカレートしてきた。下半身を押し付けてきた。怖くて声も出せずとにかく次の駅で降りよう。それまでは我慢していた。それがいけなかったと思う。押し付けてくるのが酷くなってきた。男性特有なものが主張していた。もう限界と思ったところで電車の扉が開いて震えながらホームに降りた。卑劣な行為をしたと思われる人は車両奥に紛れていったと思う。


 ホームのベンチで涙を堪えて落ち着かせていた。そこからはどうやってここまで来たのか覚えていないくらいショックを受け病院の入り口まで来ていた。そしてパパの病室の前に来ていた。扉を開けパパに抱きついていた。


「ぱぱぁ!」


「よつ葉、もうここにはふたりしかいない。なにも怖いことはないから、ゆっくりと話してごらん」


 パパに背中を撫でてもらい、落ち着いてきた頃に少しずつ話し始めた。全て話したらパパが話始めた。



「よつ葉、じゃぁ、これは防御を少しでもあげるための策だ。少し不便になるかもしれないが、試してみてくれ」


 「これまでに乗っていたところは、階段になるべく近いところだったということ。

 それを車掌の前、つまり一番後ろに乗るように。なにかあったときに、すぐにサインが出せる場所に乗ること」


「そして、もうひとつは、一番最後に乗るように、ドアに背を向けるようにと。前側はバックも持っているし、顔も見えるから手出しはしてこない。後方の顔が見えずに無防備になってしまう場所を潰すように」


 パパに色々と対策を教えてもらい明日の通学に備える。落ち着いてきたよつ葉を確認したパパがよつ葉に話しかけた。


「ここから帰れるか?」


 いつもの時間になりパパがよつ葉を夜間出口に送ってくれてた。そしてパパがよつ葉をタクシーに乗せた。そして運転手さんに、よつ葉の住所を伝えて、料金も支払ってくれていた。


 タクシーの窓から流れる景色を見ていたら、電車内での事が思い出され涙が頬を流れた。


 タクシーが家の前で止まった。お礼を伝えタクシーを降りた。部屋に入りパパに帰った事を連絡しておいた。色々あった1日が終わった。

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