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夢はひとりみるものじゃない  作者: 小林汐希・菜須よつ葉
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10話


 延長申請した病院実習も充実している。一番の影響は……父親の存在だと思う。


「お~の~く~~ん」


 談話室の中から舞花さんの声がして談話室にぞろぞろと入っていく舞花さんに呼ばれた人達。


「舞花さん、体調はどうですか?」

「小野君たちがいたときと変わらないわよ」

「いやいや、良くなってないとダメでしょう」

「あらぁ、小野君も言うようになったわね」


 舞花さんは、以前ここで実習を受けていた看護学生達を見つけて声をかけていたのです。


「今日はどうしたの?」

「成田教授お手製の国家試験対策のプリントを持ってきたんです」


 舞花さんの質問に前原君が答える。


「尚君は優しいわね」


 舞花さんは前原君ひいきなので前原君には甘いところがある。


「いやいや舞花さん、よつ葉の様子をみるついでに持ってきただけですよ」


 小野君が訳のわからないことを言うので、舞花さんは


「よつ葉ちゃんの様子を見に行こうなんて、本当に尚君は優しいわね」


「舞花さんにも会いたかったですし」

「まぁ、小野君と大違いね」

「舞花さん、酷いですよぉ」

「あらぁ、小野君こんにちは」


 談話室が舞花さんのペースで流れていく。


「ねぇねぇ尚君、就活はどうだったの?」

「希望病院から内定もらいましたよ」

「さすがね! 尚君は」

「紺野も、よつ葉も希望病院に一発合格でした」

「頼もしいわ」


 小野君はいつになくおとなしい。


「舞花さんは今日は旦那様お見舞いに来てないんですか?」

「今日は忙しいらしいわよ。それよりあなたたち彼女とかいないの?」

「いませんよ」

「勿体ないわね。同じ班の女の子はどうなの?」「仲間ですよ」

「あの……ゆみちゃんって子、可愛らしいじゃないの」

「舞花さん、勧めてます?」

「告白しちゃいなさいよ」

「舞花さん、恋じゃないですから」


 賑やかな談話室



「よつ葉ちゃんは?」

「あいつは、色々大変だから恋なんてしてないんじゃないかな?」


 舞花さんの質問に答える前原君


「紺野に聞いた方が早くね?」


 小野君が話に割り込む。それを舞花さんが聞き逃すはずもなく


「ちょっと、小野君! もっと詳しく聞かせなさい」

「仲が良いんですよ」

「どんなとき?!」

「いつも?」

「小野君! もっと具体的に!」


 小野君があたふた返事に困っていると、話の本人が現れた。


「小野!」

「うわっ、紺野!」

「よつ葉に渡したのか?」

「ナースステーションに行く前にここに来ちゃって」


 前原君が紺野君に説明をしている。


「あらあら、イケメン智君、よつ葉ちゃんに会いに来たの? 帰り道に連れ去ってデートかしら?」

「舞花さん、想像力すごいですね。その力を使わないの勿体ないから、小説書いたらどうですか?」

「それならもう書いてるわよ。って違~~う。よつ葉ちゃんとの、い・ろ・い・ろ・よ♪ さぁ、どうなのどうなの?」

「あいつの頑張る姿に、俺も負けてられないなと思わされるんですよ」

「よつ葉、意外と負けず嫌いだよな」


 前原君も紺野君の言葉に続いた。


「好き……とか。告ろう!とか? ないの?」

「そんなこと考えてたら国家試験の対策講義で脱落ですよ。スマホ取り上げられ朝10時から夕方5時までの講義に毎日進んで参加するよつ葉に置いていかれるからな」


 紺野君が舞花さんに真面目な顔で話すから、舞花さんもこれ以上茶化す事ができない雰囲気になり


「俺、よつ葉にプリント渡してくるわ」


 そう言って席を立つ紺野君に前原君も「俺も行くわ」と言って席を立ち上がった。


 談話室で舞花さんを囲む楽しい? お喋りタイムは終了して、本来の目的を果たすべく談話室を出る看護学生たちだった。

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