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王都ヒコーネ

「あ、王都が見えてきたで!」


窓の外を見てよしえさんが大きな声で叫んだ。


「おぉぉ!あれが王都かぁ!」


声に釣られて窓の外を見ると、そこにあったのは圧倒的な壁だった。どこどこまでも高い続く壁。


「なんですかあれ?凄い壁があるんですけど。」


「それが王都です。外敵の侵入を防ぐために、高い壁に囲まれているんです。」


馬車でいよいよ近くまで来てみれば、これはなかなかの迫力がある。壁の高さは10mくらいだろうか。オークの身長が3mくらいだと思えば、こんなもんだろうか。


馬車はそのまま正門ぽいところまで進み、受付を済ませ中へ。王様からの迎えの馬車とはいえ顔パスにはならなかったところなんかセキュリティ評価高い。


そして、正門を抜けいよいよ王都内部へと・・・!


「おぉぉぉ!!」


そこに見たのは、紛う事なきRPG風の街並みであった。まるで、そういう趣旨のテーマパークに来たかのような錯覚を覚えるくらいにRPG風。


「うおぉぉぉぉぉ!すげぇぇ!」


普段住んでる街もそれっぽいと言えばそれっぽいのだが、スケール感が違う。なにより、城があるのだ。城が!


街の中央っぽい場所に建ってるであろう一際存在感のある建物。城。


「城がありますよよしえさん!城が!」


「なんやのマー君。そんなん見たらわかるがな。」


「あのお城の名前はなんていうんですか?なんとか城みたいな名前があるんですか?」


かっこいい城を目の前にしてテンションが上がってしまう。


「あの城は、ヒコーネ城っていうんやで。王都ヒコーネの城やからな。ヒコーネ城や。」


ヒコーネ城!なかなかいい名前じゃないか。


「街並みも凄い綺麗ですよね!僕、こういう街並みを見るとテンション上がるんですよ!この、レンガっていうか石っていうか、とにかく、いいですよね!」


「あぁ。綺麗な街並みやねぇ。でも、アレは見た目だけやで。実際は、レンガでも石でもなくて、マナストーンっていう材質で出来てるんやで。」


またなんか、僕の中のファンタジーをぶち壊す用語が出てきた。


「普通に家を建てて並べただけでは、魔法やらなんやらですぐに燃えてしまうかもしれんやろ?だから、魔法やら火災に強い素材で出来てるんよ。」


「魔法に強い、素材。マナストーン。ですか。」


ガラガラと、音を立てて何かが崩れていく。


「そう。この近くの鉱山で取れるんやわ。採掘された時の見た目はただの鉱石なんやけど、魔力を通せばある程度形や色を自由に変化させられる便利な物よ。そのうえ、魔法やらの耐性も強い!と。」


なんだその万能な石は。ここ最近異世界が留まるところを知らない。


「一応、この王都内で家を建てる時には、そのマナストーンを使う事が義務付けられています。さすがに全部というわけにはいかないので、外壁などの一部。ですが。」


と従者の人から補足説明が入る。


「王都側で決めたルールですので、新築する際には補助金もいくらか出ます。本来の値段に比べればかなり安く建てられますよ。それでも高いですが。」


なるほど。王都に家がある。というだけでそこそこエリートなのかもしれない。


「まぁ、正直に言ってしまえば、家というより城壁の役割もあるんですよ。見た目は普通の街ですが、実際の耐久力などを考えると立派な城塞都市だと言えると思います。」


こちらになんのアポも無しにドカドカモンスターが殴りこんでくる世界観だと思えば、それくらいしてもおかしくないのかもしれない。


「さて。ではさっそくお城に・・・と、言いたいところですが、長旅でみなさんお疲れでしょう。こちらで宿を用意しましたので、本日はそこでお休みください。また明日、改めて迎えをよこしますので。」


そう言って馬車は街の中の宿へと向かった。




「なんだこれ・・・。」


馬車で連れてこられたその宿は、見た目から完全に高級な宿のそれであった。


宿に1歩入れば、メイドや執事がズラっと並び、一斉に頭を下げてご挨拶。


「ようこそいらっしゃいました!」


・・・なにこれ。落ち着かないんですけど。


「よしえさん。なんですかこれ。僕達本当に何の用事で呼び出されたんですか?」


小声でボソボソ会話する。


「いや、知らんよ!私もビックリやわ!」


「なんでしょうね?ドキドキしますよね!」


嬉しそうなメイドさん。こうして他のメイドさんと見比べてみても、マキノさんの可愛らしさはなかなか王都級。



「では、お部屋にご案内します!」


僕の元へ可愛らしいメイドさんがやってきた。よしえさんやマキノさんにはイケメンの執事さんが。


どうやら各自別々の部屋が与えられたようで、みんなバラバラの方向へ連れられていく。



「こちらがお部屋になります。」


スっと部屋の扉を開けてくれるメイドさんに促され、部屋の中へ入ってみると・・・



「うわぁ・・・。」


思わず声が出た。とんでもなく豪華だったのだ。


1人で寝る部屋だってのに、なんで高級なリビングのようなフッカフカのソファーやらが置いてあるのか。部屋の隅にはバーカウンターのような物と、様々な飲み物が用意されている。


部屋にあるテーブルの上には、なんかよくわからない異世界の果物っぽい何かが置いてある。食べていいのかもしれないが食べ方がわからない。


「こちらが寝室になります。」


メイドさんの案内で寝室に向かうと、これまた凄いベッドだった。


ゴロゴロする。どころか、ゴロゴロゴロゴロゴロゴロくらいは出来そうな大きさのベッド。試しにちょっと寝てみたが、ダメだ。あれは人をダメにする。


なんでも、ベッドの場所には非常にやんわりと回復魔法が常にかけられているらしく、そのままヒーリング効果もバツグンだそうだ。


「では、私はこちらの部屋にいますので、御用があればこのベルでお呼びください。」


そう言ってベルを渡された。ベルを渡してくれたメイドさんは、宿泊部屋の中に用意された専用の待機部屋へと向って行った。


とりあえず、本当にちゃんと機能するか気になったのでさっそくベルを鳴らしてみた。


「何か御用でしょうか?」


ニッコリ笑ってメイドさんが部屋から出てきた。


「・・・えっと、とりあえずなんか飲み物ください。」


特に用を考えてなかった。ごめんね。


「お酒がよろしいですか?」


「いや、お酒じゃないのをください。」


メイドさんが用意してくれたジュースすげぇ美味しかった。もう僕この家の子になる。

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