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はじめてのおつかい

よしえさんが服を持って戻ってきてすぐに、町長さんのところへスライム討伐の報告に向かった。


「おぉ!ありがとうございます!これはモンスター討伐のお礼です!」


そう言って、なにやら入った革の袋を渡された。中を確認してみると、大量の金貨らしき物が入っていた。


「え!スライム討伐でこんなにお礼をもらってもいいもんなんですか!?」


ちょっとまぁ見た事の無い量の金貨なので驚いてしまった。


「いえ。実は、先日退治していただいたハイオークには王都の方から懸賞金がかけられていまして。そのお金が届いたので、どちらかといえばそちらがメインになります。」


よしえさんに瞬殺されてしまったのでどれほどの強さか知る事は出来なかったが、これだけの懸賞金がかかるくらいだから相当だったのだろう。


「でもいいんでしょうか?こんなにいただいてしまって。」


「はい。どうぞ貰ってください。正当な報酬ですので。」



そんなわけで、突然小金持ちになってしまった。後で数えたら袋の中の金貨は100枚。1枚の価値がよくわからないけど、決して安くはないと思う。


銀行の類があるのかどうかわからないけど、突然こんなに金貨を持って歩くなんて不安で仕方ない。


こんなにたくさんどうしたもんかと考えていると、よしえさんが突然


「マー君。一緒に買い物に行こか。」


と言い出した。


「さっきのスライムの時もそうやけど、マー君は弱いんやから丸腰は危ないと思うわ。簡単なもんでいいから、何か武器でも買いに行こうか。」


元々平和な世界で生きていた人間としては『何か武器でも買いに行こうか』という誘われ方は衝撃的だけど、よしえさんの言う事も一理ある。


使う使わないは別として、武器を持っている。という事には大きな意味があると思う。


僕達は、街の武器屋を目指す事にした。



「いらっしゃいませー!」


街の大通りをブラブラ歩けば、武器っぽい看板を出している店があったのでそこに入ってみた。


それにしても、武器屋というからには当たり前だけど店内には色々な武器が揃っていた。


まるで服屋のジーンズ感覚で剣がぶら下がってるので凄い光景だ。選べる24色のサヤ!みたいに売り出せば売れるだろうか。


「どんな武器をお探しですか?」


キョロキョロ迷う僕に店員さんがたずねてきた。こういう店員の押しの強さは異世界でも変わらないみたいだ。


「え・・・っと、初心者でも扱いやすいできれば軽い感じの剣なんかがあれば・・・。」


武器なんか選んだ事も無いので基準も全然わからない。異世界では、お母さんが選んだ武器しか使ったこと無い。みたいな事もあるんだろうか。


「じゃあ、これなんかどうですかね?初心者でも扱いやすいショートソードです。」


そう言って店員さんが持ってきたのは、両刃の剣だった。刃の長さはヒジからピンと伸ばした指の先くらいまで。


元の世界でこんな剣を持って歩けば文句無く超一級品の危険人物だけど、これをショートと言ってしまう異世界の感覚。


試しに剣の柄を両手で握って持ってみる。ちょっとした金属バットくらいの重量のその剣。こんな物で生き物を殴るとか完全にクレイジー。


でもそれが異世界標準なので、いい加減慣れなければいけない。


「じゃあ、これでお願いします。」


その他にも、剣のサヤと、それを装着できるベルトのような物もセットで売ってくれた。お金の事はよくわからないので、よしえさんに金貨から払ってもらった。



「なんやマー君!かっこいいやない!」


持っているだけでは意味がないので、さっそく装備してみた。これでパっと見はそれっぽい冒険者だろうか。


ちなみに、一応防具屋にも行ってみたけど何も買わなかった。


理由は、金属鎧が重過ぎて着れなかったから。じゃあ革の鎧をくださいと言ったら、ちょっとガラの悪い店員さんに失笑された。


「どんな革で鎧を作るか知らねぇが、兄ちゃんが持ってるそのショートソードですら、本気で刺されて穴が開かない革なんてねぇよ」


との事だった。確かにそんな気がする。そう言われると、じゃあ革の鎧ってなんだよ。ゲーム脳で恥かいたわ。


そもそもが、突然直径1mの火の玉が何個も飛んでくるような火力の世界だと思えば、最低でも金属でないと意味がなさそうに思えた。


じゃあ盾とかありますか?と聞くと、これもまた失笑された。


「対モンスターなら主な攻撃手段は爪やら牙だ。両手で持つような大盾ならまだしも、兄ちゃんみたいなもやしっ子が片手で持てるような盾なら腕ごと喰われておしまいだろうよ」


と。ぐうの音もでない。涙目で論破された。さらに言えば、武器を使うようなモンスターの場合はもう単純にその力の強さが脅威だったりで、これもまたもやしっ子では話にならないそう。


そんなわけで防具はあきらめた。



ガッカリした僕を見かねて、よしえさんがなんかよくわからない大きなクマみたいな生き物がバーーンと胸にプリントされたシャツを買ってくれた。


「かっこええで!マー君!トレンディでナウなヤングにバカウケやわ!」


よし。これは部屋着にしよう。ごめんなオカン。


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